風邪をひきやすくなる季節。こじらせると症状が長引いたり、体力低下をまねいたりとなにかとやっかいなので、できるだけ早めに治したいもの。そこで、漢方に基づく風邪の対処法を、漢方アドバイザーの久保奈穂実先生に教えていただきました。
漢方では風邪は大きく分けると、発熱やのどの痛みが出る〈熱の風邪〉と、ゾクゾクと寒気がする〈冷えの風邪〉の2タイプがあり、その人の体質などによってどちらの風邪をひきやすいかが分かります。対処法も異なるので、タイプを見極めて、とにかく素早く対処することが大切です。風邪タイプの診断法と、タイプ別の食の養生法をご紹介します。こじらせずに早めに治してください。
あなたの風邪タイプはどっち?
風邪をひいたなと思ったら、以下の項目で自分に当てはまるものをチェック。多く当てはまったほうが自分の風邪のタイプです。
熱の風邪タイプ
□ 熱っぽい(発熱)
□ のどの腫れ、痛み
□ せきが出る
□ 口が乾く
□ 黄色くてドロッとした粘りけのある鼻みず
冷えの風邪タイプ
□ ゾクゾク悪寒がする
□ 熱は高くない
□ 関節が痛い
□ せきはそれほど出ない
□ 透明なサラサラした鼻みず
のどが痛くて熱っぽい、熱の風邪タイプとは
熱の風邪は寒けはなく、発熱やのどの痛み、口の乾きなどの症状が出るのが特徴。鼻みずは黄色くて粘りけがあります。このタイプは体に熱がこもっているので、体を温めすぎるのは逆効果。熱をさますことがポイントです。
熱の風邪タイプの食養生
炎症を取り除き、熱をさます働きがある食べ物を、なるべく生でとって熱の風邪は、梨や大根、なす、ごぼう、ミント、れんこん、豆腐、トマトなど炎症を取り除き、熱をさます働きのある食べ物をとるのがおすすめです。梨、大根、れんこん、豆腐、トマトは、うるおいを与え、口の乾きをやわらげるのにも効果的。熱をさますことが大切なので、大根なら大根おろしやサラダにするなどなるべく生でとってください。辛いものは炎症を悪化させるので避けましょう。また、粘りけのある鼻みずがたくさん出る場合は熱とともに余分な水分もたまっているサインなので、きゅうりなどのうり類や大根、はと麦など熱をさましつつ余分な水分を排出する食品を取り入れてください。
ゾクゾク冷えの風邪タイプとは
ふだんから冷え性の人がひきやすいのが冷えの風邪。熱は高くなく、くしゃみが出たり、ゾクゾクとする悪寒や関節痛があるのが特徴。鼻みずは透明でサラサラ。体を冷やさないようにし、温めるのがポイントです。
冷えの風邪タイプの食養生
体を温める食材を温かい状態で食べて、じんわりと汗をかくと改善が早くなる冷えの風邪の場合は、しょうがやねぎ、しそ、玉ねぎ、パクチー、紅茶など、体を温める食品をとるのがおすすめです。辛いものも食べてOK。スープや鍋のような温かい調理法でとることもポイント。体を温めてじわっと汗をかくことで治りやすくなるので、たとえば、風邪をひいたなと思ったらすぐに、ねぎとしょうがをたっぷり入れたスープをとって汗をかくと治りやすくなります。アップルジンジャーティーもおすすめ。冷えの風邪は、熱の風邪の食養生で紹介したような熱をさます食材や生野菜など、体を冷やす食べ物は避けましょう。
教えてくれたのは……
久保奈穂実先生
漢方アドバイザー。国際中医薬膳管理師。「成城漢方たまり」で年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。 SNSにて発信するやさしく実践しやすい養生知識や簡単薬膳レシピが人気。著書『1日ひとつ、疲れが消えるおいしい漢方365』(世界文化社)も好評。
風邪は、ひかないように日頃から養生することが大切です。風邪予防のためにも早く治すためにも充分な睡眠を心がけましょう。風邪をひいたかなと思ったら、長引かせないためにも、自分の風邪のタイプを見極め、それぞれに合った早めのケアを忘れずに!
(『オレンジページ』2023年12月2日号より)
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