今回こそ!と思ってダイエットを試みるも、なかなかやせられない……というお悩み、ありませんか?じつは、甘いものが好き、暴飲暴食してしまう、などの太っている人にありがちな行動は、意志とは関係なく、脳に作用するさまざまな物質の増減によって起きているんです。
太る行動をまねいてしまう脳のしくみを知れば、ダイエットがスムーズに!今回は、太りがちな食習慣の原因と、改善アイディアをご紹介します。
甘いものが欠かせない人は「大豆製品をとるべし」
つい甘いお菓子やドリンクに手が出るのは、脳がセロトニン不足を感じているから。食生活や生活習慣の乱れからセロトニンの分泌が低下したり、ストレスにさらされたりすると、脳は簡単にセロトニンを増やす方法として、糖質をとろうとします。すると、空腹でなくても甘いものを欲してしまい、肥満をまねく一因に。
おすすめは、
大豆製品を積極的にとること。セロトニンの材料はアミノ酸の一種のトリプトファン。トリプトファンはたんぱく質が豊富な食品に含まれますが、とくに納豆や豆腐などの大豆製品や乳製品、卵などに多く含まれるので、積極的にとるようにしましょう。
濃い味のものや脂っこいものをよく食べる人は「だしを飲むべし」

濃い味や脂肪には一種の中毒性があります。というのは、それらを食べることで分泌されるドーパミンの高揚感を脳が求め、繰り返し食べるうちに依存性が高まっていくから。また、とりつづけることで味覚が鈍ってさらに濃い味のものや脂肪が欲しくなるうえ、満腹中枢もダメージを受けて食欲が止まらなくなってしまいます。
味覚のリセットに有効なのがかつおだしを味わうこと。かつお節にはセロトニンの原料のトリプトファンが豊富で、セロトニンはドーパミンの衝動を抑えてくれます。顆粒だしや削り節に熱湯を注いだものを、一日1杯好きなときに飲めばOK。
ドカ食いがやめられない人は「体をほぐすべし」
ドカ食いのおもな誘因はストレスと睡眠不足。ストレスは交感神経を高めて体をこわばらせ、その緊張状態から解放されたい脳は、食べることでセロトニンやドーパミンを増やそうとします。また睡眠不足はレプチンの減少と、グレリンの増加をまねきます。
こわばった体をほぐすと副交感神経が優位になり、脳もリラックスモードになります。
おすすめは〈肩入れストレッチ〉。背中の大きな筋肉をほぐして、全身のバランスを整えます。入浴後の血行がよくなっているときにやればより効果的。
【肩入れストレッチのやり方】①両足を大きく開いて腰を落とし、両手をひざに当てる。
②上体をひねりながら、肩を左右交互に内側に入れる。左右5 回ずつ行って。

どれも取り入れやすいアイディアばかり。思い当たる太りがちな食習慣があった人は、ぜひ参考にしてみてください!
教えてくれたのは……
工藤孝文先生
ダイエット外来・糖尿病内科医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへ留学。現在は福岡県みやま市の工藤内科副院長。診療のかたわら、雑誌やテレビ、講演でも活躍。『THEデブ脳』(枻出版社)など著書多数。