
『海に眠るダイヤモンド』舞台・話題の【軍艦島クルーズツアー】体験!長崎グルメも♪

2015年に世界文化遺産に登録された、長崎県長崎市にある端島炭坑。その形から端島は軍艦島とも呼ばれています。2024年に放送されたTBSテレビ 日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」の舞台となり、この島をめぐる軍艦島クルーズが今人気を集めています。
海からの景色を楽しみ、軍艦島の歴史を感じるクルーズの旅。そして、その後に堪能したい話題の長崎グルメ、 2024年10月にオープンしたばかりの「長崎スタジアムシティ」で食べられる身のふっくらとしたアジフライと、中島川・寺町周辺にあるカフェでていねいに作られた焼き菓子をご紹介します!
ドラマをきっかけに注目が集まる軍艦島クルーズ
軍艦島は、かつて石炭採掘の中心地として栄え、最盛期には1k㎡に満たない島に5000人以上が暮らしていました。1974年の閉山とともに廃墟となった建物群は、どこかノスタルジックでフォトジェニック。長崎県の沖合に浮かぶこの島まで高速遊覧船で行き、上陸して軍艦島の歴史や生活について詳しく解説してくれるガイドつきツアーがあります。

2025年1月現在、5社が軍艦島クルーズツアーを運航中。各社で出航場所・時間、ツアー内容や料金、定員数などが異なるので、自身の旅のスケジュールに合わせて選ぶのがよさそうです。ただし、ドラマの影響もあってすでに満席となっているツアーもあり、前もって計画・予約をするほうが安心です。
今回体験したのは、JR長崎駅から徒歩10分の長崎港から出航する、やまさ海運の軍艦島上陸周遊クルーズ。誓約書などの必要書類を提出して料金を支払ってから、高速遊覧船に乗り込みます。1月中旬の平日にもかかわらず、定員225席は満席。午後1時、軍艦島に向けて出航しました。

長崎港から南西約19kmの沖合にある軍艦島まで、船で約30分。1階の屋内席、2階の屋外席があります。海から長崎市の風景を見渡すことができ、山の斜面に建物が続いている様子からは長崎市がいかに坂の街であるかを実感できます。風景を楽しみたいなら2階の屋外席や1階デッキがおすすめですが、風が強くて寒い場合もあるので、風・寒さ対策をお忘れなく。
船は長崎港口に架かる女神大橋の真下を通り、岬のマリア像や神ノ島教会などを眺めているとあっという間に軍艦島に到着しました。しかし、天候と安全基準を満たさなければ島に上陸できず、島に到着するまでどうなるかわかりません。近年の月ごとの運航率・上陸率がやまさ海運のWEBサイトでも確認できるので、心配なかたは確認してから申し込みをしましょう。

この日は上陸できると船内アナウンスがあり、乗客からは安堵の声が上がっていました。上陸不可となったときも周遊クルーズで軍艦島を船から眺めることができますが、天候状況によってはそのまま長崎港に戻るケースもあるそうです。
いよいよ上陸。廃墟を目の前に大興奮
軍艦島では、見学通路と見学広場3カ所が設定されており、島の全域を見学できるわけではありません。しかしながら、通路と広場から残された建造物やその痕跡を充分に眺めることができますし、ガイドさんの話に耳を傾けることで軍艦島のことをより詳しく知ることができます。

1891年に本格的な採炭が開始されて、1974年に閉山しました。海底炭鉱として開発が進められて坑道が最終的に深さ1010mに達して、気温30℃、湿度95%の条件下で作業が行われていたこと、一日の仕事終わりには炭鉱作業員が真っ黒になって作業着のまま風呂に入って汚れを落としていたことなど、当時のハードな労働環境について話を聞きました。

また、島の暮らしについても興味深く、学校や病院、商店のほか、映画館やパチンコホールなどの娯楽施設が整っていたこと、1916年に建てられた7階建て鉄筋コンクリート造りの鉱員住宅が日本最古の高層アパートであること、昭和30年代の家電三種の神器(白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫)の普及率が一般的には数割だった時代に、島内では普及率100%だったことなどを知り、島への関心がさらに高まりました。

見学を終えて再び乗船した後、遊覧船で島の周辺をめぐりながら、見学通路や広場からは見えなかった小・中学校や病院・隔離病棟などを海上から見学。そして、行きと同じ航路を逆戻りして、再び長崎港に到着しました。下船後に軍艦島上陸証明書を受け取り、クルーズツアーは終了。あっという間の2時間30分でしたが、タイムスリップしたような気分が味わえる楽しい時間でした。 –{下船後にお腹が空いたら長崎グルメ!}–
最新施設「長崎スタジアムシティ」で至高のアジフライ
2024年10月に開業した大型複合施設「長崎スタジアムシティ」。サッカースタジアム、アリーナ、ホテル、商業施設、オフィスビルがあり、こちらもJR長崎駅から徒歩10分の場所に位置しています。プロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」のホームで、約2万人収容のサッカー専用スタジアムは見ているだけでも圧巻。この景色を眺めながら滞在したり、食事をしたりとほかでは味わえない体験ができます。

同施設内には食事、スイーツ、ドリンクなどを楽しめるあらゆるジャンルのお店が並び、どれにするか迷ってしまうほどどこも魅力的。今回はここ「長崎スタジアムシティ」だけに出店する、FOOD HALL2Fの至高のアジフライ研究所 磯祿を紹介します。

長崎県の五島列島沖でとれた新鮮なアジから作るアジフライが店の看板商品です。アジは小さいと刺し身に向き、大きいと味がのらないため、サイズにこだわって全長24~29cmのものを選び、食べやすいように骨を抜いて、薄くころもをつけて揚げています。熱を通しすぎないように気をつけながら揚げられたアジフライは、身がふっくら。ひと口食べただけでアジの甘みとうまみが口に広がり、幸せな気持ちになります。

この店を経営する久保さんと川本さんは、長崎県平戸市にある平戸島の北西に位置する人口約6000人の島・生月島(いきつきじま)の出身。人口減少にともなって元気がなくなってきているこの島を盛り上げたいと、このお店のほかにもバーやキッチンカー、キャンプ場経営を手がけて、自然や食などの島の恵みをいろいろな方法で多くの人に伝えています。

一番人気はご飯や味噌汁がついたアジフライ定食(1353円)ですが、アジフライバーガー(968円)も提供。単品アジフライ(544円)にビールを合わせる通の食べ方もあるそうです。2階フードホールのスタジアムが見えるテーブル席で、極上のアジフライを食べながら楽しくておいしい時間を過ごせます。
–{ていねいに作られたおすすめスイーツ2種}–
町歩きをした後に長崎焼き菓子でホッとひと息
日本初の石造りアーチ橋として知られる、長崎市の中島川に架かる眼鏡橋。そこに隣接するエリア・寺町には重要文化財があるお寺が多数あり、古きよき町並みを見ることができます。その散策の途中でぜひ立ち寄りたいのが、カフェを併設する長崎焼き菓子専門店のママン・ガトーです。

看板商品は、丸い缶に発酵バターを練り込んだ生地を入れて焼き上げ、空気に触れることなく熟成させた「釜焼き熟成缶ケーキ」。素材の持つ力と素材のおいしさを味わえるよう保存料、着色料、香料はいっさい使わず、厳選したこだわりの材料を使用しています。「ケーク・オ・フィグ」は、洋酒に漬け込んだ上質なトルコ産ドライいちじくを生地に練り込んで焼き上げ、さらに食べごろになるまで2カ月を要する、滋味深いケーキ。いちじくが香りつつ、甘さ控えめで調和された味わいを楽しめます。

この「ケーク・オ・フィグ」はカフェではカットしたもの(500円)を味わえますが、店舗で1缶でも購入でき(3500円)、熟成の過程で変化する味わいやアルコールとの組み合わせも楽しめるそうです。「薄く切ってマスカルポーネを合わせたり、またシャンパンやポルト酒といっしょにめしあがったりといろいろな味わい方ができます」と店主の本田さん。

また、熟成された焼き菓子と並んで、フレッシュな素材のおいしさも楽しんでほしいとカフェのみで提供されているのが「長崎スフレセット」(1500円、ドリンク・お代わりつき)です。発酵バターと長崎県産の卵を使ったスフレは、注文してから焼き上げまでに30分かかります。県内産レモンが使われているためにさっぱりとした後味。直径15cmほどの器を見た瞬間に「こんなに食べられるのかしら」と心配になりますが、一度スプーンを入れると止まらぬおいしさでした。
時間を有効に使いたいかたは、このスフレを注文してから散策に出かけて30分後に戻ってきてもOK。時間をかけてていねいに作られた焼き菓子のしさはもちろんのこと、その背景にあるストーリーにも思いをはせて味わうと、忘れられない旅の思い出となりそうです。

自然の恵みと歴史が紡いできた風景にあふれる長崎の旅。心もおなかも満たせる至福のときを過ごせそうです。
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取材協力/長崎県 撮影・文/久保田真理(ついたち)