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「向いてると思う。トモは料理上手だよ」。母・栗原はるみの言葉で料理の道へ。栗原友さんインタビュー

ピンクの髪がトレードマークの栗原友さん。料理の道に入った理由や、今後やりたいことなどをききました。

料理家にして魚屋さん、料理本の執筆から、メニュー開発まで幅広く活躍する、栗原友さん。
築地で営む鮮魚店「クリトモ商店」では、魚をさばき、お総菜やまかない作りまでをこなします。家では、娘の朝ちゃんのために毎朝お弁当を作り、定期的にYouTubeの撮影。お休みの日や仕事の合間に筋トレ、ゴルフの練習も欠かしません。

トレードマークのピンクの髪をなびかせて自由に生きる姿は、まぶしいほどパワフル! 
そんな栗原友さんのYouTubeチャンネル『クリトモ式』と、オレンジページnetのコラボ連載がスタートします。

今回は、連載スタートにあたって栗原友さんをちょっと深掘り。食のルーツ、日々の料理、今ハマっているもの、そして、これからのこと……。飾らない人柄があふれ出します!

父のこだわりぬいた料理、母のやさしい料理。食べるって楽しい! が原点

ーー母は栗原はるみさん、弟は栗原心平さん、お父さんもとてもグルメだったとお聞きしています。家族からどんな影響を受けましたか?

父はとてもグルメで、いろんな国の料理を食べていたし、作ってくれました。チョコレートをかくし味に加えたスパイスカレー、毎年詰めものが替わるローストターキー、何週間もかけて作るコンビーフも。小さいころから料理する姿を見ていたし、いっしょに作ることもありました。おかげで、いろんな味を経験することができました。

母は私が8歳のころに料理家として仕事を始めてとても忙しくなり、私と弟は母に教わって自分たちで料理をすることも。中学生のころは、ツナをおいしく食べたい一心でツナカレーを作ったり、ツナマヨ丼を作ったり。母が私のツナ料理をほめてくれたのはよく覚えています。

母は、私が中学、高校のころ毎日お弁当を作ってくれました。好きなおかずをきいてそれを入れてくれる。私は無邪気に「から揚げ!」なんて言ってましたね。母は朝から毎日のようにから揚げを作ってくれました。あの母だからね、とてもていねいなんです。

実家では、新しい味を経験させてもらえる環境があって、おいしいものを食べるって楽しい! の繰り返しでした。


おいしく食べたい一心で料理をするのは、今も子どものころと変わらない。

「トモは料理上手だよ」。母が背中を押してくれ、料理の道へ

 ーーもともとファッション関係のお仕事をされていたそうですが、料理の道に進むきっかけは?

料理の仕事を始めたのは、声をかけてもらったから。語学留学先のロンドンから帰国して、アパレル会社でPRの仕事をしていたときのことでした。

実家にいたころは、「料理は得意な人が作ればいい、私は食べる専門」と思っていたのですが、ロンドン留学中に友達を家に招いて料理をふるまったら、みんなおいしいって喜んでくれて、すごくうれしかった。料理を作る楽しみを知った後だったのも、よかったのかもしれません。

母に相談したら、「向いてると思う。トモは料理上手だよ」って言ってくれたんです。それで、やってみよう、という気持ちになりました。

初めての仕事は、アスクルの請求書についている小冊子。やってみたらとても楽しかった。この経験が料理の仕事を始めるきっかけとなりました。

料理はひらめき&適当! でも、見た目にはこだわります

ーー友さんの料理は、固定概念にとらわれない自由さがあります。そしてオシャレ! アイディアの源はどんなところにありますか?

「料理のアイディアはどうやって生まれるんですか?」と、よくきかれます。でも、わかんない! ひらめいたらやってみる。子どものころからそんな感じ。父の味、母の味、お店で食べた味、友達の手料理の味、海外で知った味……いろんな味の経験が役立っているのかもしれません。

アンテナは常に張っていて、SNSで見かけて、おいしそう! と思ったら、すぐに食べに行くし、スーパーで気になる新商品を見つけたら試してみます。ドレッシングもお菓子も調味料も何でも。

YouTubeでいつも言っていますが、料理は「思いっきり適当に作ってください」と言いたい。料理は毎日のことだから、しんどくなって楽しくなくなるぐらいなら、適当でいいと思うんです。オリーブオイル大さじ1って毎回量るのめんどうじゃないですか? ボトルから1秒垂らせばいい。

でもね、料理の見た目にはこだわります。たとえば、クリーム煮を白い雰囲気でまとめたいと思ったら、余計な色は入れない。こしょうも黒じゃなくて白を使う。意外と細やかでしょ?


「野菜を切るのは苦手なのよ~」と、ぶっちゃけるのも友さんの魅力。クリーム煮は4月に紹介予定なのでお楽しみに。

楽しく続けるために。しんどいときは頼る、準備しておく

ーー忙しい日々を送るなかで、料理がしんどい……と思う日もあると思います。どうやって乗り切っていますか? 

毎朝、娘のお弁当を作っているんです。それはもうしんどい! でも、なんとか続けられているのは、〈適当さ〉と〈ストックを準備している〉おかげ。カレーを多めに作って冷凍しておいたり。本当に余裕がないときは「Uber Eats」に頼って、その余りをお弁当に詰めたり、買ってきたお総菜を娘の弁当に入れたり。水曜日は夫が仕事が休みのときがあるので、余裕があるときは娘にお弁当を作って本人も楽しそう。

こちらが初めての「パパ弁の日」のパパ弁当。愛情たっぷり!

そういえば、この前、娘に「私の弁当は大人っぽすぎる」と言われました。いわゆる卵焼き、ウインナ、ミートボールみたいなおかずじゃないから、大人っぽいって思うんでしょうね。だから、たまにはそういうおかずも入れてあげるようにしています。

でも、私がこだわって作る台湾ねぎ餅は、とても喜んでくれるんです。これこそ大人っぽいと思うんですけど。「さめてもおいしいの?」ってきいたら、「これはさめても好き」って言うの。うれしくて、いつでもお弁当に入れられるように、今も冷凍室に入っています。

この日のねぎ餅は、卵といっしょに焼いたもの。

–{絶品のみそ汁に出会い、ハマったある食品とは……?}–

今、ハマっているのは発酵フードと煮干しだし。しょうゆ麹、乳酸発酵の白菜漬けを仕込んでいます

ーー食べ物で今ハマっているものはありますか?

今、ハマっているのは発酵と煮干しだし。知り合いの家で飲んだみそ汁がものすごくおいしくて! どうやって作っているのかをきいたら、煮干しだしにしょうゆ麹を使っているって。

さっそく家でしょうゆ麹を仕込み、煮干しだしをとってみそ汁を作るようになりました。乳酸発酵の漬けものも大好きなので、大きな樽にたっぷり白菜漬けも仕込んでいます。意識高いですね、私。年ですかね~。こういうのが好きになってきました。


自家製しょうゆ麹とだし用の煮干し。こってり生クリームも好きだけれど、しみじみとしたおいしさにもひかれるようになってきた。

ーー2019年に乳がんが発覚、2020年にはがん予防のため卵巣と卵管を摘出。現在は治療を終えてフル稼働中ですが、病気を経験して食への意識は変わりましたか?

それはまったくないですね。だって、「ケンタッキー」を食べたいという日もありますから。我慢せず、食べたいものは食べます。毎日の食事では、野菜とたんぱく質をバランスよくとることを意識しています。病気をしたからというより、家族のためかな。娘にはかたよらず、いろいろなものを食べさせたいと思っています。

バランスといっても、厳密にこうじゃなくちゃって決めているわけではなくて、昨日は野菜が少なかったから、今日は多くしようという感じ。1週間ぐらいのスパンで栄養バランスがかたよっていなければOKです。

気になるフードロス問題は、娘の食べ残しをなくすことから

ーー食にかかわる仕事をする中で、これからやっていきたいことはありますか?

フードロス問題はとても気になっていて、『クリトモ商店』でも取り組んでいます。お総菜も定期的に販売するのですが、普通はお店だとお総菜は売れ残ったら廃棄ですが、私たちは余るほど作らないし、もし余ったらスタッフが夕飯に持ち帰ります。

魚の場合は、刺し身用にさばいたら、頭や骨などのあら、血合いなどは破棄しますが、うちではお総菜に使ってできるだけゴミにしないようにしています。まぐろの血合いを使ったカレー、魚の顔のまわりの身をほじって食べるとおいしいあら炊きなど。おいしく食べて、捨てるところが減れば最高ですよね。

でもね、まずは娘のお弁当の食べ残しをなくすことからやらなくちゃ。好き嫌いはほとんどないんですが、まだ胃袋が小さいからときどき残しちゃうんです。胃袋が大きく育ってほしいね。

分量も適当、作るのも適当! だから気楽に見てください

ーーYouTubeチャンネル「クリトモ式」の見どころは?

YouTubeを見て、「こんな感じね!」というのをつかんでもらえればOK。分量も適当、作り方も適当。でも、おいしくできるから大丈夫! そんな料理を紹介しています。

料理は自由。ひらめいたら、アレンジしてみればいい。そのほうがしんどくないし、楽しいでしょ? だから、「思いっきり適当に作ってください」なんです。


YouTubeでは、友さんが試食するシーンも見どころのひとつ。お酒を飲んでもOKの日は、キッチンのカウンターで料理を食べながらお酒を飲む、思いっきりふだんの友さんの姿が見られます。お気に入りのお酒が登場したり、食べ方のひらめきアレンジが飛び出すこともあるので、動画は最後まで要チェックです!

>>Youtubeチャンネル「クリトモ式」はこちら

〈PROFILE〉
栗原  友さん 
愛称は「クリトモ」。母は料理家の栗原はるみさん、父は元キャスターの故・栗原玲児さん。弟の心平さんも料理家。築地の鮮魚店「クリトモ商店」を営むかたわら、スーパーマーケット「オオゼキ」の顧問としても活躍。著書に『ひとりぶん、ふたりぶん 刺身パックでさかなつまみ』(プレジデント社)など。
インスタグラム(@kuri_tomo


愛猫の「しらす」と黒猫の「キンメ」を溺愛! 写真はおめめパチクリの「しらす」。
『クリトモ式で定番を格上げ!』月1更新・過去の連載はこちら>>>

写真/富森浩幸 取材・文/藤岡操