さまざまな愛の形を感じさせる
美しくて気高い物語だと感じています

劇場アニメ「ベルサイユのばら」で加藤和樹さんが演じるのは、スウェーデンの伯爵、フェルゼン。「作品を知るまではいけすかない人物だと思っていた」と前編で話していましたが、そもそも原作に対してどのような印象があったのでしょうか？

「姉がいたので、漫画自体はぱらぱらと読んでいた記憶はあります。少女漫画という印象が強かったせいか、男が入り込む世界ではないかなと思っていました」

それが変わったのは、フランス革命という史実を知ってからだったと話します。

「熟読してからは、180度印象が変わりました。革命自体はとても悲惨な出来事ですが、そのなかで気高く強く、美しく生きて散っていった人たちがいる。その生き様を見て、なんて美しい物語なんだと感じました」

以前、加藤さんは別の舞台で革命派側を演じたことがあります。今回のフェルゼンは、革命を起こされるアントワネット側に近い立場。まったく違う目線でフランス革命を演じたことになります。

「どちらも経験できてよかったなと思っています。どちらにも正義があれば悪い面もあるんだと。もちろん、貴族側は民衆の声に耳を傾けるべきだったと思いますが、革命が起こればそれで終わりというわけでもない。自分の命よりも大切な存在がいて、その存在のためにはいつ死んでもいいという覚悟があって。すごいですよね」としみじみ話します。

革命下、登場人物それぞれの恋愛もようが描かれていきますが、あらためて愛についても考えさせられたと続けます。

「いろいろな愛の形があるんだな、と。激しく求める愛もあれば、見守る愛もあきらめる愛もあるし、近すぎて見えない愛もある。心のままに動ける状況ではないからこそ、せめて心だけは自由であるべきだと思わされました」

多くのファンと同じように、加藤さん自身の胸に残っているのも、オスカルとアンドレの関係性だと言います。

「バスティーユ陥落のために乗り込んでいったオスカルと、ひたすら支えつづけるアンドレの姿は、胸が締めつけられて苦しくなるくらいです。ああいう人たちがいたからこそ、時代が動いたんでしょうし、そのなかでお互いを求め合うふたりの絆を思うと……最近涙もろくてすぐ涙が出てきちゃうんですよ。オスカルをいちずに思いつづけたアンドレってすごいですよね。自分やまわりの状況がどのようになっても、どこまでもオスカルを守ろうとするアンドレ、あんた最高だよ！　って思っています」

取材こぼれ話

前編でのイチオシでラーメン二郎についての話が出ました。加藤さんは言わずと知れた「ジロリアン（ラーメン二郎ファン）」。

「ラーメン二郎を食べるとにんにくの効果を実感するんですよ。やっぱり疲れに効くんです。家ではキャベツをちぎってボールに入れて、塩昆布とごま油、そこにすりおろしたにんにくを加えた即席サラダをよく食べています。にんにくって本当にパワーが出るので、みなさんもぜひ」

「気品と風格と愛情深さと。心の動きを大切に声にしました」加藤和樹さんインタビュー

綾瀬はるかさんイチオシ！

〈ドラマ「オザークへようこそ」〉

Netflixシリーズ「オザークへようこそ」シーズン1～4 独占配信中

Netflixのドラマをよく見ています

ふだんからいろいろな作品を見るのですが、これはめちゃくちゃはまって、一日3～4話見ていました。毎回続きが気になるんです。麻薬組織の資金洗浄の話で、ギャングも登場するし複雑なんだけど、家族の絆も描かれていて。話題になった「地面師たち」に雰囲気が少し似てるかも。「地面師たち」もおもしろかったけど、こっちのほうが描写が生々しいです（笑）。

これに注目！

劇場アニメ「ベルサイユのばら」

Ⓒ池田理代子プロダクション／ベルサイユのばら製作委員会

2025年1月31日（金）全国ロードショー
原作／池田理代子　
監督／吉村 愛　脚本／金春智子　
声の出演／沢城みゆき、平野 綾、豊永利行、加藤和樹、武内駿輔、江口拓也、入野自由ほか
製作／劇場アニメベルサイユのばら製作委員会
配給／TOHO NEXT、エイベックス・ピクチャーズ

池田理代子の漫画『ベルサイユのばら』が、1972年の連載開始から50年のときを経て、完全新作として劇場アニメ化。男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと、オーストリアから嫁いできた王妃マリー・アントワネットを中心に、フランス・ベルサイユで時代に翻弄されながらもそれぞれの運命を美しく生きる人々の姿を描く。

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間宮祥太朗さんからの直筆メッセージ

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（『オレンジページ』2024年11月17日号より）

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撮影／鈴木康史　取材・文／晴山香織　ヘア＆メイク／瀬戸口清香　スタイリング／立山 功　［掲載協力］Yohji Yamamoto POUR HOMME

●2024年12月現在の情報です。

「気品と風格と愛情深さと。心の動きを大切に声にしました」加藤和樹さんインタビュー