
超簡単でヘルシー。罪悪感ゼロの『豆腐がゆ』のレシピ。馬田草織さんのナイショごはん
馬田草織さんの〈豆腐がゆ〉

「罪悪感なしで食べられる、うちのクイックごはんの代表」
「塾前じゃないごはん」でもおなじみ、ポルトガル料理研究家で文筆家の馬田草織さん。連載ではJCこと中学生の娘さんと囲む食卓の様子や、母娘特有のあるある~なやり取りに共感させられることもしばしば。
そんな馬田さんのレシピといえば、シンプルなのに絶妙に気がきいていること。料理研究家としてのエッセンスだけでなく、ライターとして数々の取材現場での経験に裏打ちされているのがよくわかります。
気になる馬田さんのナイショごはん、さっそく見せてもらいました。
娘との暮らしで生まれる、名もなきごはん
「2人暮らしのわが家では、五分づきの米にもち麦を混ぜたものを鍋炊きして、残りは冷凍ストックがお約束。冷凍ご飯を作るのは娘の担当です。ちゃ~んと重さを量って、書き記すんですよね。私じゃこうはいかない(笑)。でも、この計量にけっこう助けられてます」
キッチンには冷凍用の手書きシールがびっしり。「お恥ずかしい……。でも暮らしって、こういうものですよね」。
豆腐がゆに欠かせない、取材で出会った逸品たち
このおかゆに欠かせないのが、梅酢と小梅。特に梅酢は味の要! 以前、海外からの若手シェフと梅の名産地・和歌山県日高郡みなべ町を取材して以来、すっかりとりこに。年1回まとめて取り寄せています。ほんのり酸味が加わることで、味がしまるんです。そうめんチャンプルーやチャーハンにふりかけて炒めるのもいいですよ。




「このレシピが生まれたのは3~4年前。いつものおかゆに、中途半端に余った豆腐をポンと入れてみたのがきっかけです。やってみたら食べごたえはしっかりあってたんぱく質はとれるのに、罪悪感がないのがめちゃくちゃいいじゃん! って娘と2人、盛り上がって(笑)。何より簡単でおいしい。以来、すっかり定番です」

「ご飯と豆腐がちょっとくずれて、とろみがつくのがいいんですよね。梅酢のほどよい塩けが食欲をそそるし、このとろっと感が胃にしみるおいしさというか。
深夜に小腹がすいたときはもちろん、冬の寒い朝に食べても。朝ごはんに娘と2人で分け合ったり、自分一人だけのクイックランチにもよく登場します。あ、二日酔い明けにもいいですよ(笑)」
馬田草織さんの
『豆腐がゆ』のレシピ
材料(1人分)
絹ごし豆腐……1/2パック
冷凍ご飯……茶碗1杯分
梅酢……小さじ1~2
塩……少々
梅干し(小梅)……1個
好みのトッピング(いりごま、高菜漬け、ザーサイ、焼きのりなど)……適宜
作り方
(1)冷凍ご飯は電子レンジ(600W)で2分ほど加熱して取り出す。小鍋に入れて水1カップを注ぎ、中火にかける。煮立ったら、箸でざっとほぐす。
(2)梅酢を加えてさっと混ぜ、豆腐をスプーンで一口大にすくって加える。ふたをして2分ほど煮る。
(3)全体にとろみがついたら、塩で味をととのえてでき上がり。梅干しと好みのトッピングでどうぞ。
「焼きのりをたっぷりのせて、ごま油をたらりもお気に入り。真っ黒なのりがとろけて、形がなくなっちゃうぐらいがいい。ボリュームを出したいなら、卵とじにしたり、納豆を加えたり。飲んだ後のしめなら、しば漬けやザーサイ、高菜、黒七味Ⓡをひとふり、なんてのもあり。
ちなみに夏のナイショごはんは『オイルサーディンの炭酸梅茶漬け』。ご飯に缶詰のサーディンと薬味をどっさりのせ、炭酸水をかけるだけ。これは娘もお気に入りです」
気取ってないのに、絶妙に気がきいていて、きちんとおいしい。馬田さんのナイショごはんは娘さんとの暮らしがかいま見える、シンプルで温かいレシピなのでした。

文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイ・トボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
Instagram @badasaori

料理・器/馬田草織 撮影/砂原 文 文/編集部・小栁 ヘッダー写真/新居明子