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綾瀬はるかさん「経験や技術をそぎ落とし、演技の原点に戻った作品。今出会えてよかった」

俳優 綾瀬はるかさん
あやせ はるか/ 1985年、広島県生まれ。2004年テレビドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」(TBS系)でゴールデン・アロー賞新人賞を受賞。さらに15年映画「海街diary」で毎日映画コンクール女優主演賞、ヨコハマ映画祭主演女優賞、23年映画「リボルバー・リリー」で報知映画賞主演女優賞を受賞するなど、その演技力と存在感が高く評価される。
綾瀬はるか(ホリプロオフィシャルサイト)
経験や技術をそぎ落とし、
自分の演技の原点に戻って。
今、この作品に出会えてよかったと思います
一昨年、監督デビュー作の映画「こちらあみ子」で数々の賞を受賞して話題を呼んだ、森井勇佑さん。待望の2作目、「ルート29」で描くのは、他者との交流を避けるように生きる清掃員・のり子と、風変わりな少女・ハルの不思議なロードムービーです。のり子を演じたのは、1年弱の充電期間を経た綾瀬はるかさん。「次に出る作品は縁を感じるものを」と考えていたとき、今作の台本に出会ったといいます。
「作品の中では語られませんが、のり子は過去にいろいろあった人だと思うんです。自分も相手も傷つくのを避けるためマイペースに生きる、本当はやさしい人。演じはじめて、すぐのり子になじむ感覚がありました」

仕事先の病院で出会った女性から「娘を連れてきてほしい」と頼まれ、衝動的にハルを捜しに行くのり子。一見驚くような行動に、綾瀬さんは共感したそう。
「自分もあまり考えず行動するときがあるなって。でも、ちゃんと考えるとできないことも、勢いでやってみると状況が動いたりしますよね」
その言葉どおり、作中ののり子にも変化が。奔放ながら他者を受け入れるハルの包容力に触れ、自身の殻を脱いでいきます。今作でハルを演じる13歳の新星・大沢一菜(おおさわ かな)さんとの共演は、綾瀬さんにとっても大きな刺激に。
「かなちゃんは本当にピュア。自由に生きるハルとかなちゃんが、演技を超えて重なる瞬間があって、すごく大事なものを見ている感覚でした。経験や技術が身につくと10代のころの演技には戻れないけれど、この作品では、身につけたものをそぎ落とした表現を求められている気がして。撮影中は、かなちゃんがそばにいてくれたからのり子になれたし、撮影後も、原点からこの仕事をスタートできた気持ちになれました。今この作品に出会えたことに感謝しています」

リラックスした現場の雰囲気も「家族みたいでした」と綾瀬さん。
「スタッフがかなちゃんの親戚のおじさんたちみたいになっていて(笑)。ちょうど近所でお祭りをやっていたので、かなちゃん、森井監督、高良健吾くんと行って、みんなでラーメンやかき氷を食べたり。おだやかな時間でした」
綾瀬はるかさんイチオシ!
〈ドラマ「オザークへようこそ」〉

Netflixのドラマをよく見ています
ふだんからいろいろな作品を見るのですが、これはめちゃくちゃはまって、一日3~4話見ていました。毎回続きが気になるんです。麻薬組織の資金洗浄の話で、ギャングも登場するし複雑なんだけど、家族の絆も描かれていて。話題になった「地面師たち」に雰囲気が少し似てるかも。「地面師たち」もおもしろかったけど、こっちのほうが描写が生々しいです(笑)。
これに注目!
「ルート29」

11月8日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
監督・脚本/森井勇佑
出演/綾瀬はるか、大沢一菜、市川実日子、高良健吾、河井青葉ほか
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間宮祥太朗さんからの直筆メッセージ

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撮影/鈴木康史 取材・文/唐澤理恵 ヘア&メイク/中野明海 スタイリング/吉田 恵
●2024年10月現在の情報です。