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世話焼きな本屋さん

お客さんの悩みや気持ちに寄り添う本を、ちょっと世話焼きな書店員たちが心をこめて選書いたします。どうか素敵な本との出会いがありますように。

新しい挑戦に!美村里江&山口博之が選ぶ『あなたの背中を押してくれる本』6選

新しいことを始めてみたいけれど、知らない場所に飛び込むのは勇気がいります。背中を押してくれる本、教えてください。

今回の選書担当

俳優・エッセイスト 美村里江さん

俳優としてドラマ、映画、舞台等で幅広く活躍。無類の読書家でもあり、新聞や雑誌でのエッセイ・書評の寄稿や連載も多数。

ブックディレクター・good and son代表 山口博之さん

旅の本屋「BOOK246」、選書集団「BACH」を経て独立。オフィスや病院等、書店にとどまらないさまざまな場所のブックディレクションを手がける。

俳優・エッセイスト 美村里江さん
おすすめ3選

成瀬は天下を取りにいく

北欧こじらせ日記
著:週末北欧部 chika 世界文化社 1540円  

「好き」をアンカーにしつつ、寄せたり引いたりする波に一度は乗ってみる人生は素敵です。北欧好きの著者は、お金を貯めて年1 回フィンランドへ旅行するだけでは飽き足らず、北欧にかかわれる会社をねらって就職。転職もはさみつつどこでも熱心に働き、熟した北欧愛から、ついにはフィンランドでの「日本人のすし職人」の求人に目標をしぼりました。夜間のすし職人養成学校へ通う算段をつけ、周囲の協力も得た途端、なぜか中国で働くことに! 気になることには熱心に取り組み、人生プラン外の道に放り込まれても、それを「自由」と受け止めて白紙を楽しんでみる著者。失敗も貴重な経験、と明るく思える本シリーズは現在5 冊目。ぜひご一読ください。

フィンランド移住の夢をかなえるため、会社員のかたわら「すし職人」修業!? 北欧好きをこじらせ、フィンランド通いがライフワークだった著者の移住コミックエッセイ。

はじめてのひと 既刊1~9 巻
著:谷川史子 集英社 461〜572円

平成初期の漫画『各駅停車』のころから、私の大好きな作者です。本作は〈読後感のよさ〉を心がけて作品を生み出してきたという作者が、これまで描くのを避けてきた感情に向き合い、少し苦みのあるお話にしたかったそうで、幅広い世代のいろいろな「はじめて」がときに鮮烈に、ときに淡く描かれております。初めて一人で何でもやってみる。初めて素直になってみる。初めて怒ってみる。初めてみっともない自分を許す。初めて恋に飛び込んでみる……。他者にはわからなくても、自分にとっては一大事、大冒険、という個人的なチャレンジって人生にはけっこう多いですよね。日常の中のトライをふんわり肯定してくれる、おすすめ作品です。

初めて好きになった人、初めて憎んだ人、初めて私を愛してくれた人。大人になっても経験するたくさんの〈はじめて〉とそのみずみずしい気持ちを描く連作集。

かわいそうだね?

千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話
著:済東鉄腸 左右社 1980円

ラノベ発の長文系タイトルもすっかり定番化しましたが、これほど興味深いものは初めて。デザインにもワクワクして手にしました。期待以上に興味深いルーマニア語作家としての活動や、そこまでの半生がつづられ、それでいて堅くなくフレンドリーなエッセイです。「このおれはたとえクルミの殻に閉じこめられようと、無限の宇宙を支配する王者と思い込める男だ」 という、かのシェイクスピアの「ハムレット」(白水社刊· 小田島雄志訳)の言葉から始まり、作者は日本から、千葉から、なんなら家からもほぼ出ず、どのように現在の経歴にたどり着いたのか? どこに住んでいても世界につながり、仕事ができる時代の実例。軽快な文章を楽しみつつ追体験してみてください。

実家からほとんど出ず、〈映画オタク〉な暮らしをする最中に出会ったのはルーマニア語! 日本を出ぬままルーマニア語作家となった著者のノンフィクションエッセイ。

ブックディレクター・good and son代表
山口博之さん
おすすめ3選

さみしい夜にはペンを持て

ようやくカナダに行きまして
著:光浦靖子 文藝春秋 1595円

当時、お笑いタレントの光浦さんが突然カナダに行くと聞いて驚きました。本書はまだコロナ禍、お笑いやテレビの世界から〈逃げる〉ようにカナダへと渡った、2021 年7 月から1 年間の格闘の記録です。おもしろいことが正義だったお笑いの世界の生きづらさから解放されながらも、そこは〈おもしろ〉はおろか、会話もほとんどできない英語社会。彼女はさまざまな背景をもって語学留学してきた人々と出会うことで、笑いのハードルは低いほうが幸福なのではと気づきます。同じ学校で学ぶコロンビア人の友人やカナダ在住日本人の〈オバンジャーズ〉たちに助けられ、ヒーヒー言いながらゼロから新しい暮らしをつくる神経質な光浦さんの姿に、なぜか勇気をもらえる一冊。

芸能界で活躍してきた光浦靖子が50 歳でカナダに渡り、初の海外一人暮らし! 不安、期待、興奮に包まれながら新しい世界を歩む、等身大の留学エッセイ。

元気になれそう 映画「魔女の宅急便」より

ナチュラルボーンチキン
著:金原ひとみ 河出書房新社 1760円

「簡潔、それは一種の洗練であり、合理化であり、倹約でもあり、人生に波風の立たない静けさをもたらす魔法のようなもの」であり、「仕事と動画とご飯というルーティン。それが私」という主人公の浜野は、出版社の労務課で働く45 歳の女性。そんな彼女の価値観と生活を〈雑に打ち壊していく〉のは、ホストクラブ通いが好きな20 代の編集部員·平木。自分がコントロールできないものを恐れていた浜野を、平木はおもしろい相手を見つけたとばかりに誘い出し、浜野は自分では絶対に踏み出さなかった世界や人に出会っていきます。息苦しい空気に心地いい風を通すような、自分とは違う存在に近づいてみることの愉快さと豊かさにあふれた作品です。

出版社で働く45 歳事務職の浜野は、ルーティンな毎日が好き。ある日、20 代の編集者·平木の自宅を訪れると、ホストクラブの高額レシートの束が転がっていて――。

スキップとローファー

しあわせは食べて寝て待て 既刊1~6 巻
著:水凪トリ 秋田書店 各792円

昨年ドラマ化された本作。持病があり、フルタイムで働くことのできない38歳のさとこは、ままならない自分と足りない収入、迫る未来への不安とともに生きています。借家の更新を機に引っ越しを決めたさとこは、内見先の団地で鈴というおばあちゃんと、同居人の司と出会います。司から薬膳を教わり自分の体を見つめなおしながら、社会のペースに合わせて働きつづけるのではなく、心地よく生きる自分のペースを見つけ出していく過程は、生きることには本来もっと選択肢があっていいのだとハッとします。「果報は寝て待て」の精神に、食べること、それもだれかといっしょに食べることをプラスすることで、ただ待つのではない前向きさが生まれている作品です。

免疫系の病気がある主人公の麦巻さとこは、週4 回のパート生活。体や暮らしに不安を抱えていたが、団地に引っ越したことをきっかけに、心身ともに癒やされていく。

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イラスト/河原奈苗

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