
なめらかさに感動! 『なめこあんかけ茶碗蒸し』のレシピと『基本のだし』のとり方【寿司屋直伝】
この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介しています。
今回は、お店でも大人気の野本流・寿司屋のあんかけ茶碗蒸し! 年越しそばやお雑煮など、年末年始にも使える、基本のだしのとり方も紹介します。
コツさえつかめば、なめらかでおいしい茶碗蒸しがフライパンで作れますよ。
では、さっそく作っていきまーす‼

【其の一】
ふきんを敷いて蒸すべし!

おうちで作ると、どうしても〈す〉が入ってしまいがち……。その原因は温度調節がうまくいっていないから! ふきんやさらしを敷くことで、熱が伝わりすぎず〈す〉が入りにくくなります。
【其の二】
卵液は2~3回こすべし!
卵液を2~3回こすことで、プリンのような、なめらかな茶碗蒸しに。ほんの少し手間をかけるだけで、舌ざわりが格段によくなりますよ。
『なめこのあんかけ茶碗蒸し』と『基本のだし』のレシピ
材料(4個分)
【なめこのあんかけ茶碗蒸し】
〈卵液〉
卵……2個
基本のだし★……1と1/2カップ
薄口しょうゆ……小さじ2
なめこ…1袋
基本のだし★…1カップ
みりん……大さじ1
薄口しょうゆ……大さじ1
塩……少々
〈水溶き片栗粉〉
片栗粉……小さじ1
水……小さじ1
ゆず……適宜
【★基本のだし】
水……1リットル
昆布……10g
削り節……15g
『基本のだし』のとり方
(1) 鍋に水、昆布を入れて30分おく。弱火にかけて沸騰直前で昆布を取り出す。
(2) ひと煮立ちさせて火を弱め、削り節を加えて1分煮る。
(3) 削り節が少し沈んだら、厚手のペーパータオルなどを敷いたざるなどでこす。
だしの保存期間
かつおの風味がなくなってくるので早めに使うのがおすすめ!
冷蔵:翌日まで
冷凍:冷凍用の保存袋に入れて約2週間
『なめこのあんかけ茶碗蒸し』の作り方
下ごしらえ
ゆずはさっと水でぬらし、塩適宜(分量外)をつけてこすり、水で洗って水けを拭く。
(1)
なめこは水で洗い、ざるに上げて水けをきる。ゆずは皮の黄色い部分をせん切りにする。水溶き片栗粉の材料を混ぜる。
(2) 卵液の材料を混ぜ合わせ※、こし器や目の細かいざるなどで2回こす。目が粗いざるしかない場合は3回こしてください。
※「基本のだし」はさましたものを使ってください。熱いまま混ぜ合わせると卵が固まる可能性があります。
(3)
フライパンに入り、ふたができるサイズの耐熱の器4個に(2)を均等に流し入れ、ラップをする。
(4)
フライパンにふきんを敷き、器の高さ1/3くらいまで水を入れて火にかける。沸騰したら(3)を並べ、ふたをして中火で2分、弱火にして10分蒸す。
(5) 鍋に、基本のだし、みりん、薄口しょうゆ、塩、なめこを入れて火にかける。ひと煮立ちしたら火を止めて水溶き片栗粉を混ぜながら少しずつ加える。再度火をつけて1分ほど煮てとろみをつける。蒸し上がった茶碗蒸しにかけ、ゆずの皮をのせる。
これで、寿司屋直伝・なめこのあんかけ茶碗蒸しの完成です!
驚くほどなめらかな食感と、とろ~っとしたなめこのあんかけが最高。
個人的には、茶碗蒸しには具はなくてもいいと思っています。茶碗蒸しはのどごしが命(笑)!
おいしい〈だし〉で、なめらかに仕上げるのが野本流。
『基本のだし』のとり方を覚えれば、あなたも和食名人に一歩近づきますよ!
汎用性の高いだし汁だと思うので、ぜひいろいろな料理に使ってみてください。
谷中松寿司の旬ネタ
最後に松寿司の旬ネタをご紹介! 今回は「カワハギ」です。
漢字だと「皮剥」と書くことも。皮がはぎやすいのでこの名前がついたといわれています。
身は比較的淡泊な味ですが、フグの仲間というだけあって、フグにも負けないおいしさです。冬になるときもが大きくなるのが特徴!
松寿司ではきもをペースト状にしたソースをかけてお寿司にしています。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
次回の更新は1/12(金)。「基本のすしめし」のレシピを紹介します。
野本やすゆき
料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。
大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。
料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。
YouTube:野本やすゆきチャンネル
Instagram:nomotobase
谷中松寿司:yanakamatsusushi

写真・文/野本やすゆき