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「刺し身はもちろん、肉や野菜もおすすめ」料理研究家ジョーさん。に聞く。漬けの魅力とは?【インタビュー後編】

身近な食材&調味料で簡単に作れておいしいレシピが大人気の料理研究家のジョーさん。

オレンジページnetではジョーさん。の新連載「ジョーさん。の漬けめし」が7月1日にスタート ! これを記念して、前編では料理家研究家になったきっかけや、思い入れの深いレシピ、こだわりの調味料などについて語っていただきました。

後編はオレンジページに抱いていた思いや、日々研究しつづけている「漬け」レシピについて話を伺います。

「オレンジページ」はいつも新しい発見やアイディアに出会わせてくれる存在

――まずは直球の質問をひとつ……。オレンジページの印象を教えてください!

印象ですか? 雑誌の『オレンジページ』っていうと、出版業界に詳しくない人だと、大きな出版社のなかの生活実用部門が作っている雑誌なのかな、と思うじゃないですか。でも、そうじゃなくて、社名がそもそも「オレンジページ」だった。そこがすごいところで(笑)。以前、編集部のかたにお会いしたときに、その編集者のかたのキャラがいい意味で濃かったのが印象に残っていますね。そういうキャラの濃い&熱量の高いやり手の編集者さんが何人かいらして、そのかたたちが作っている雑誌っていうのが、存在感として好きです。これは僕の勝手なイメージですが。

 また、雑誌やムック、書籍で紹介されているレシピを実際に作ってみて、素直に「おいしいな~」と思っていました。あと、読み手としては、いつも発見がありますよね。

――お気に入りのオレンジページの雑誌やムックはありますか?

僕がすごくおもしろいと思ったのは、『好評の「フライパン1つでできる」レシピを集めました。』。たとえば、餃子のレシピが、餃子を並べて焼いてフライパン1つでできますって紹介されていたら、「そりゃ、そうだろうよ……」となりますが、餃子の皮をフライパンに並べて、そのうえに餃子のたねをのせて、さらに餃子の皮を重ねて、と重ねて焼くだけのレシピを見て、ちゃんと新しくておもしろいアイディアが盛り込まれているのがオレンジページさんがオレンジページさんであるゆえんだな、と。

『オレンジページCooking』もめちゃくちゃ読んでいますよ。素材を絞り込んだ「大量消費」シリーズも、本当の意味でのお役立ちってこうだよなって思いながら読み込みましたね。手で押さえてなくても開きっぱなしになる本の作りもすばらしい。料理を作りながら見やすいですよね。「大量消費」シリーズはパク……、いえ、むちゃくちゃ参考にさせてもらっちゃってます(笑)。


ジョーさん。仕事場本棚にあった「オレンジページ」刊行物。

–{連載「漬けめし」について深堀りします!}–

素材にうまみがしみ込みおいしさアップ&作り置きができる「漬け」はいいことずくめ

――漬けめし連載にあたって。ジョーさん。がTwitterに投稿されている刺し身の漬けレシピが軒並み好評なイメージですが、「漬け」が人気な理由って何だと思いますか?

日本人はやはり刺し身が好きなので、刺し身好きに刺さるということがひとつ。もうひとつは、漬けることで、作り置きという要素が自動的にくっついてくるということじゃないでしょうか。漬けておいて、あとは温かいご飯さえ用意すれば、すぐに漬け丼が完成するので、忙しいときでもスムーズに料理が用意できます。

――刺し身をさくで買ってきても、食べきれなかったりするので、そういうときにも漬けは便利ですね!

そうですね、食材を無駄にしないでおいしく食べきることができるのもポイントです。僕が漬けが好きなのは、もうちょっとほかの食べ方がしたいかなって思っているものに対してのアレンジ提案ができるところ。まぐろの刺し身は普通に食べてもおいしいけど、ちょっと余ったものをアレンジしておいしく食べたいとか。ゆで卵の味つけ版も同じですよね。ゆで卵ってそのまま食べてもおいしいけど、もうひと味変化つけたいとか。

――ジョーさん。的に「漬け」のおすすめポイントはどこですか?

漬けにすることによって、うまみやほかの味を補填することができるので、おいしくなるという点ですね。おいしくない刺し身というのは、冷凍・解凍を繰り返すことで味が抜けてしまっていることが原因なんですけど、そこにしょうゆやみりん、酒を加えることで、刺し身が復活するだけでなく、調味料の味を足すことができる。そして、漬けることで刺し身が透き通って、ねっとり感が増しておいしくなります。


冷蔵庫から出された「漬け」試作品の数々

写真の漬けは、ぶりのごまポン酢漬け、しょうゆ漬け、塩麹漬け。まぐろのしょうゆ・みりん・酒漬け、塩麹漬け。すずきの昆布じめ。いま絶賛試作中で、素材や調味料をいろいろ替えて、味のバランスをみているところです。

 あと、漬けにすると日もちしますよね。僕は平気で1週間くらいはやるけど、本当は2~3日、しょうゆをたくさん入れれば、3~4日。漬けないよりは、明らかに日もちはします。また、先ほどお話しした、作り置きができること、食材を無駄にせずに食べきることができること、ももちろんポイントです。

――ふだん、どういうときに漬け料理を食べているんですか?

僕は最近トレーニングで筋トレをしているんですけど、Meal Prep(ミールプレップ)という食事法がありまして。たんぱく質、野菜、炭水化物、3種の料理を一度に大量に作って冷蔵庫で保存しておいて、それぞれ1食分ずつをバランスよく食べるという方法で、要するに作り置きです。Meal Prepとして、刺し身の漬けは最高。運動するときには、たんぱく質が重要になるんですけど、魚はたんぱく質もばっちり。安いときに刺し身をさくで買ってきて、4等分とかにして何種類かに分けて食べたりしています。肉に比べて脂質が少ないのもいいですよね。ご飯で炭水化物もしっかりとれます。

野菜に関しては、その季節のおいしい野菜をたっぷり入れたスープを作って、そのスープで野菜をまとめてとることにしています。

王道の刺し身以外にも、これからの夏野菜は漬けに最適

――王道の刺し身以外にも、漬けておいしいものはほかにありますか?

漬けたうえで焼いていいなら、お肉ですよね。もちろん、ゆで卵も。野菜もありです。野菜の場合は、だし漬けとか。意外と、焼き肉のたれが漬けに使えるんですよ。

――焼き肉のたれですか⁉ 肉以外にも使えるということでしょうか?

そうですね。原材料の表示の最初に野菜や果物が書かれているタイプの焼き肉のたれに限りますが、その手のたれを使ってもらえば、かなりのものが漬けにしておいしくなります。野菜やフルーツの酵素の効果でしょうか、味に熟成感が出るんですよね。ブロッコリーやセロリ、なすなら薄めた焼き肉のたれに漬けるとか。オクラやパプリカ、湯むきしたトマトなど、夏野菜は何でもいけそうです。冬なら大根もありですね。

――実際にレシピも考案されたり?

まぐろの刺し身の焼き肉のたれ漬けは、過去にTwitterで投稿しました。バズるほどではないけど、数千いいねがつきましたね。カレー用の肉を焼き肉のたれに漬けておいてから入れるとおいしいよ、とか。今後も、焼き肉のたれは可能性ありですね。

 ――では、最後に連載を楽しみにしてくださっている読者のかたにひとことお願いします!

漬けのレシピは、漬けておけばあとは盛りつけるだけで、おかずや副菜が一品でき上がるという簡単さが魅力だと思っています。僕自身、料理研究家としてのバックグラウンドが、自分の母のために作りはじめたのがきっかけでもあって、常々、食卓に着く人を増やしたいという気持ちがあります。ぜひ忙しいお母さん、お父さんに漬けレシピで料理する時間を短縮してもらって、家族みんなでいっしょに食卓に着く時間を増やしてもらえたら、これ以上うれしいことはありません。

もちろん一人暮らしのかたにもおすすめです。漬けるだけで、ちょっと凝った感じの見栄えの料理ができるので、一人暮らしの食卓が華やかになりますよ。

<PROFILE>
ジョーさん。
料理研究家。SNSの総フォロワー数は46万を超える。『めんどうなことしないうまさ極みレシピ』(KADOKAWA)など、レシピ本を5冊上梓(2023年6月現在)。2021年に法人化した、レシピ動画制作、フードスタイリング、撮影、記事執筆などを行う食に特化した制作会社を運営している。

Twitter:@syokojiro
Instagram:syokojiro1206
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCtcHkx4bI-tc-YzDOKkKsJw

公式レシピサイト「タベタノ?」:http://tabetano.main.jp/

撮影/三好宣弘〈RELATION〉 取材・文/佐々木紀子