【簡単セルフチェック】その疲れ、イライラ。もしかしたら「糖質疲労」が原因かも⁉
睡眠不足でもないのに、食後になると眠くなったり、疲れたり、なんだかイライラ……。
それは、血糖値の乱高下によって起こる「糖質疲労」かもしれません。そこで、糖尿病専門医・山田悟先生に糖質疲労を解決する〈ゆる糖質オフ〉のコツを伺いました。あなたの糖質疲労を確認できるセルフチェックリストも。
糖質疲労とは?
一般的にいう血糖値とは、健康診断で空腹時に計測する「空腹時血糖」のこと。じつは近年、血糖値のなかでも、食後の血糖値が急上昇する「食後高血糖」のリスクが注目を集めています。
「食後高血糖になると、急上昇した血糖値を下げるためインスリンが過剰に分泌され、血糖値が急降下します。このように血糖値が急上昇と急降下を繰り返すことを〈血糖値スパイク〉と呼び、食後の眠けや倦怠感、イライラといった〈糖質疲労〉を引き起こすことに。慢性的な〈糖質疲労〉は、動脈硬化や認知機能の低下などの原因にもなりえます」(山田先生)。
さらに、空腹時血糖が高くなる10年前には食後高血糖が始まっているというデータもあり、〈糖質疲労〉を放置すると、糖尿病のリスクを高めることになるそうです。
糖質疲労セルフチェック!
1個でも当てはまったら糖質疲労の可能性あり
□たくさん食べても食後すぐにおなかがすく
□朝ごはんを食べていない
□お昼ごはんは麺類やおにぎりだけですませることが多い
□食後1~3時間すると眠けやだるさを感じる
□休日にしっかり休息しているのに疲れやすい
□健康診断で空腹時血糖のヘモグロビンHbA1cが5.6%以上
食後血糖値は健康診断では計測できないため、糖質疲労の有無が食後高血糖の可能性を判断する目安に。上記のチェック表に1つでも当てはまったら、あなたも糖質疲労かもしれません。 正確な食後血糖値の数値を知りたいときは、「検体測定室」※ がある ドラッグストアで調べることができます(有料)。
※指先から採取したわずかな血液をもとに、生活習慣病に関連する数値などを測定できるスペース。
糖質疲労にならないための「ゆる糖質オフ」の基本ルール
糖質疲労を防ぐには、食後高血糖にならないよう毎日の食事で糖質オフを心がける必要が。山田先生が実際の糖尿病治療にも取り入れている「ゆる糖質オフ」は、3つのルールで、しっかり食べながら食後高血糖を防ぎます。
1.1食の糖質摂取量を20~40g程度に抑える

米、パン、麺、いも類など、血糖値を上げる糖質 (炭水化物)が主成分となる食材は、1食あたり20~40g程度(米の場合おにぎり1/2~1個分)に抑えるのがよし。「米を食べない」など、極端に減らす方法はリバウンドで逆に食べすぎてしまう傾向があるため、「ゆるく減らす」ことが大事。
2.カロリーは気にしなくてOK

糖質オフ=カロリーオフと連想しがちですが、食後高血糖を防ぐには脂質とたんぱく質をしっかりとるほうが有効。とくに良質な脂質の代表・オリーブオイルは、たっぷりとることでの動脈硬化予防も立証ずみです。ただし、古い油やマーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は避けて。
3.脂質とたんぱく質を最初に食べる

以前、ダイエットや血糖値の上昇を抑える方法として、食事の初めに野菜を食べる「ベジファースト」が流行りました。しかし近年は、最初に脂質とたんぱく質を食べ、次に野菜、最後に炭水化物を食べるほうが、より食後高血糖を効果的に抑えられると考えられています。
意外ですが、から揚げにマヨネーズをかけると、食後高血糖を抑える効果がさらに高くなるのだそう。
ふだんの食生活や食べ方を少し見直すだけで、体の変化を感じられるはず。無理のない〈ゆる糖質オフ〉を取り入れて、心地よく体を整えていきましょう。
教えてくれたのは……山田 悟さん
糖尿病専門医。北里大学北里研究所病院院長補佐・糖尿病 センター長 。日本における糖質制限のトップドクターとして、患者の生活の質を高める糖質制限食を糖尿病治療に積極的に取り入れている。著書に『糖質疲労』『脂質起動』(サンマーク出版)など多数。
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監修/山田 悟 イラスト/蔵元あかり 原文/池田 泉 文/池田なるみ








