免疫力・老化防止・メンタル安定も!話題沸騰の「腸内酵素」の働きを高める食生活7選
「腸活」という言葉はすっかりおなじみですが、次に注目したいのは〈腸内酵素〉。腸内細菌がつくり出す酵素で、免疫力アップや老化防止、メンタルの安定など、心身のさまざまな健康につながります。
そこで、腸活ドクター・髙畑宗明さんに、腸内酵素の働きを高める食生活を教えてもらいました。
「腸内酵素」の働きを高める食生活
1.空腹時間をきちんと確保

次の食事までの間隔をあけて、空腹時間をつくることも大切。腸の免疫細胞がリフレッシュし、栄養を吸収する細胞もターンオーバーできます。朝食と昼食の間は6時間、昼食と夕食の間も6時間、夕食と朝食の間は12時間あけるのがおすすめ。夜9時以降の食事は血糖値が上がりやすく、ストレスホルモンが増加し、交感神経が高まって、朝の排便リズムにも悪影響を及ぼします。夕食が遅くなりそうなら、6時ごろにおにぎりを1個食べるなど、分食を取り入れるとリスクを回避できます。
2.食物繊維はバラエティ豊かにとる

腸内では、酪酸菌が腸内環境を整える働きをする酪酸をつくり出します。その材料として重要なのが食物繊維。きのこや全粒穀物のβ-グルカン、海草のアルギン酸・フコイダン、こんにゃくなどのグルコマンナン、果物の皮のペクチン、玉ねぎやバナナ・根菜類に含まれるイヌリンなど、多様な食物繊維をとることが、さまざまな酪酸菌を働かせるために大切です。
便の量を増やす不溶性食物繊維と、腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維を、2:1の割合でとるのが理想。また、重量当たりの食物繊維含有量が多いブロッコリー、ごぼう、にんじん、青じそ、ピーマン、ほうれん草などを意識的に食べるようにしましょう。
【おすすめの食べ方】

高野豆腐とオクラのチャンプルー
低糖質で良質なたんぱく質が含まれ、食物繊維も豊富な高野豆腐を使って、食べごたえのあるチャンプルーに。高野豆腐は水でもどして食べやすく切り、塩、こしょうをする。フライパンにごま油を熱し、高野豆腐を焼きつける。オクラ、溶き卵を加えて炒め合わせ、しょうゆ、削り節を加えて仕上げる。
| おもに不溶性食物繊維が多い食材 | おもに水溶性食物繊維が多い食材 | 不溶性・水溶性の両方をバランスよく含む食材 |
|---|---|---|
| 玄米 キャベツ ブロッコリー にんじん さつまいも じゃがいも 大豆 あずき しめじ しいたけ えのきだけ など | わかめ 昆布 もずく 寒天 りんご キウィ バナナ オクラ モロヘイヤ など | ごぼう 大麦(もち麦) オートミール 切り干し大根 アボカド |
3.良質の油をとる

加工食品のとりすぎや、加齢などで悪玉菌が増えると、腸は慢性的に炎症状態になります。これを抑え、善玉菌の増加・腸内活性化に導いてくれるのがオメガ3脂肪酸。あまに油やえごま油のα-リノレン酸、青魚のDHA・EPAが代表的です。
青魚は週に2~3回とるのが理想ですが、手軽なさばの缶詰を利用するのもあり。あまに油やえごま油は熱に弱く、加熱調理はNGなので、一日小さじ1を目安に料理にちょいたしして摂取を。
油は腸の中で潤滑油のような働きをするため、便通改善が期待できます。オリーブオイルをパンにつけたり、サラダにかけたりするのもおすすめです。
4.乳酸菌の多い食材を日々の食卓に
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、腸の中を酸性にすることで悪玉菌を減らし、善玉菌の増殖を助けます。また、腸内を通過しながら、免疫細胞を刺激し、抗菌物質をつくるなどの働きをします。腸の中で定着しないので、毎日食べつづけることが大切。乳酸菌は酸に弱いため、胃酸が薄まる食後に食べるのがベストです。食物繊維、オリゴ糖といっしょに摂取するとより効果的。腸に届くまでに死んでしまった菌も、善玉菌のエサになるので無駄にはなりません。

漬けものにもたくさんの乳酸菌が含まれています。なかでも乳酸菌が豊富なのが、ぬか漬け、べったら漬け、キムチ。ザワークラウト、らっきょう漬け、メンマなども、野菜を乳酸菌で発酵させている食品です。植物由来の乳酸菌は胃酸に強く、生きて腸まで届きやすいので、日々の食卓に取り入れましょう。ただし、浅漬けタイプの漬けものは発酵していないため、乳酸菌を含みません。
【おすすめの食べ方】

もずくキムチ
水溶性食物繊維が豊富な市販のもずく酢に、乳酸菌たっぷりのキムチ、刻みねぎ、ごま油を混ぜ合わせるだけ。温かいご飯や、冷ややっこにのっけるのもおすすめ。
5.レジスタントスターチの多い食品をとる

レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)は、糖質なのに小腸で吸収されずに大腸まで届くのが特徴。食物繊維と同じように、ほとんど消化されずに腸内を移動し、腸内細菌のエサとなって腸内環境づくりを助けます。また、エネルギーになりにくく、たまっていた便を押し出すので、便通もよくなります。
レジスタントスターチにはいくつかの種類があり、なかでも注目は、米や小麦、とうもろこし、いも類などの炭水化物を一度加熱してさめるとできるもの。さめたおにぎりや冷たい麺類、ポテトサラダなどを一日1品以上食べるようにしましょう。
| レジスタントスターチが多く含まれる食品 |
|---|
| さめたおにぎり、すし、冷やし中華、 冷やしうどん、そば、そうめん、ポテトサラダ、 マカロニサラダ、じゃがいもの冷製スープ、 コーンフレーク、あんだんご、ようかん |
6.トリプトファンを含む食材をとる

「腸脳相関」という言葉が注目されています。腸内環境の悪化はメンタルにも悪影響を及ぼすので、腸を整えることは心にも体にも大切です。幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンの材料となるのは、トリプトファンという必須アミノ酸。卵、乳製品、豆腐、ナッツ類、ほうれん草、バナナ、キウィなどに含まれています。毎日ひとつかみのくるみを食べることで、抗うつ症状が緩和することもわかっています。
7.アブラナ科の野菜がおすすめ野菜がおすすめ
ブロッコリー、キャベツ、かぶ、カリフラワーなど、アブラナ科の野菜に含まれるグルコシノレートなどの成分は、腸内酵素により抗酸化作用や抗がん作用、抗菌作用、解毒作用などを発揮する成分に変換されます。高齢者の認知機能改善も期待されています。
【おすすめの食べ方】

ブロッコリーのペペロン蒸し
刻んだにんにくと赤唐辛子をオリーブオイルで炒め、一口大に切ったブロッコリーと塩、水を加えてふたをし、フライパン蒸しに。栄養成分を逃がさず、油といっしょにとることでβ-カロテンの吸収率もアップ。
今日から意識して食生活に取り入れることで、おいしく食べながら、心身の健康を育てていきましょう!
教えてくれたのは……髙畑宗明さん
農学博士。腸活ドクターとして活躍。腸内細菌と腸内発酵学の研究者として国内外で論文を発表。腸の健康に関する講演など幅広く活躍。著書に『「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない』(講談社)。
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監修/髙畑宗明 取材・原文/高丸昌子 料理・スタイリング/下條絵美 撮影/中村あかね イラスト/そで山かほ子 文/池田なるみ








