
まるでアートの様に美しい『古来種(こらいしゅ)野菜』とは。由来や食べ方も紹介!

日本で代々、種から受け継がれてきた古来種(こらいしゅ)野菜。味わい深いのはもちろん、色やカタチが個性的で、見ているだけでも面白いものがたくさん! そのような野菜を専門で扱う八百屋warmerwarmer(ウォーマーウォーマー)の高橋一也さんに、秋冬が旬のものを美しい写真とともにご紹介いただきました。
茹でるとさらに鮮やかに
もってのほか
「天皇の御紋である菊を食べるとはもってのほか」「もってのほか(思っていたよりもずっと)おいしい」などの由来でこの名に。少量の酢を加えてサッとゆでると鮮やかな紅紫色になり、和え物や酢の物で楽しめます。筒状の花弁も特徴的。
生産地:山形県/分類:キク科キク属

美術館に飾られるほどの存在感
縮緬南瓜(ちりめんかぼちゃ)
直径約30cm、重さ約5kg の大型で、皮の表面には縮緬のような独特のひだがあります。水分が多く、あっさりと上品な甘みを持つ日本南瓜のひとつ。お出汁で炊くと皮のひだに味がのります。果肉を餡(あん)にしても美味。
生産地:愛知県/分類:ウリ科カボチャ属

独特の色あいが美しい
赤もちとうきび
もちもちっとした食感と素朴な甘さは、いつかどこかで食べたことのあるような懐かしい味。かつては各地にさまざまなもちきびがあり、白、黄、紫、黒、茶色など多様だったそう。30 分ほどゆでるのがおすすめ。
生産地:滋賀県/分類:イネ科モロコシ属

直径20cm の迫力ある縁起物
しし柚子(鬼柚子)
通常の柚子の10 倍とも言われる大きさ。名前の由来は、獅子や鬼の顔のような見た目から。魔除けや邪気払いの縁起物として飾られることが多いようです。食用には、皮の下の白いわたの部分の厚みを活かして、マーマレードやピールなどに。
生産地:山梨県/分類:ミカン科ミカン属

皮は鮮やかな赤紫色
雲仙赤紫(うんぜんあかむらさき)大根
雲仙市で栽培され、愛されてきた大根。元々は佐賀県の「女山三月(めやまさんがつ)大根」と言われています。鮮やかな赤紫色ですが、カットすると果肉は白く、うっすらと紅色の線が。その紅色を活かして、甘酢漬け、おろし、干し大根などに。
生産地:長崎県雲仙市/分類:アブラナ科ダイコン属

配色のバランスはまさに自然美
なつめ
生でいただくとリンゴのような梨のような、ほんのりとやさしい甘さ。古くは『万葉集』にもうたわれ、岐阜県や愛知県では「秋の食卓の定番」というご家庭も。うま煮や焼酎漬けなどにしたり、中国では漢方薬に使われます。
生産地:岐阜県高山市/分類:クロウメモドキ科ナツメ属

粘りけが強く、すりおろしても白色が続く
伊勢芋(いせいも)
江戸時代から栽培・販売されていたと言われています。おろし器にくっついて離れないほど粘りがあり、白色から変色せず、クセのない味。すったら出汁で伸ばして、とろろに。主に贈答品や和菓子の材料として重宝されています。
生産地:三重県/分類:ヤマノイモ科ヤマノイモ属

朝ドラにも登場した、地域の名物野菜
芥屋(けや)かぶ
勾玉(まがたま)のようなL 字のような、この形状は「糸島の芥屋地域でしか育たない」と言われています。紅色部分は土の上、白色部分は土の下。果肉は白色です。漬物や甘酢漬けで親しまれますが、ゆでるだけでもおいしい。
生産地:福岡県糸島市/分類:アブラナ科アブラナ属

教えてくれたのは……高橋一也さん
1970年生まれ。キハチアンドエス青山本店、自然食品小売業 ・ ナチュラルハウス での勤務を経て、 2011年 warmerwarmerとして独立。日本全国の有機農業生産者、有機農業関連団体と連携し、古来種野菜の普及、次世代の農産物市場開拓などを目的に活動している。 著書に『古来種野菜を食べてください。』(晶文社)、『八百屋とかんがえるオーガニック』(アノニマ・スタジオ)がある。

(オレンジページ刊『日本のうつくしい野菜 』より抜粋・一部改変)
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原文/warmerwarmer 撮影/Janny Suzuki、高橋晃美 文/編集部・嶋田