
40・50代で備えておきたい【医療費】2本の柱。民間保険の種類と、貯蓄の目安は?

「病気になったとき、どうやってお金を準備すればいいの?」そんな不安を抱える人は少なくありません。
ポイントは、公的制度・民間保険・そして貯蓄。基本を知っていれば、もしものときも慌てずに済みます。
ファイナンシャル・プランナー黒田尚子さんに、40~50代が備えておきたい保険の種類や貯蓄の目安を教えてもらいました。
備えておきたい2本の柱
まずベースになるのは、公的医療保険や高額療養費制度などの公的保障。その不足分を補うのが民間保険です。
さらに公的制度や民間保険の給付金・保険金はすぐに受け取れるわけではないので、そのぶん、貯蓄から支払えるように準備しておくのが基本。いざというときの「保険」と予測不能な出費にも対応できる「貯蓄」、この2本柱で備えておきましょう。
保険の種類と保険料の目安は?

保険料で家計が圧迫され、貯蓄ができない状況に陥るのは本末転倒。公的保障の内容を確認したうえで、必要なものだけにしぼり、年代やライフステージによって保障内容を見直すことが大事です。
また、保障を得ながら貯蓄もできる「貯蓄型保険 」も人気ですが、「掛け捨て」に比べて保険料が割高で、保障内容が不充分なことも。保障と貯蓄は分けて考え、基本は「掛け捨て」で備えるほうが合理的です。
保険の種類 | 保険料の目安 | ポイント | |
---|---|---|---|
医療 保険 | がんを含めた病気全般の 入院・手術を広く保障。 先進医療特約をつければ 治療の選択肢の幅が広がる。 | 月額2000~ 4000円程度 | 「更新型」の場合、50代以降は 保険料が急に高くなるので注意。 早めに「終身型」に切り替える 方法もあり。 |
がん 保険 | 保障の対象をがんに限定。 がん治療は長期化しやすい ため、通院や治療に手厚い 保障がつくタイプが増加。 | 月額2000~ 3000円程度 | 50代以降はがんリスクが高まる。 心配な人はがん保険やがん特約を上 乗せするなど保障拡充のタイミング。 |
就業不能 保険 | 病気やけがで働けなくなっ た場合の生活費を保障。 特に世帯主や高齢出産家庭 に有効。 | 月額2000~ 5000円程度 | 自営業者や個人事業主は、無収入期 間を補う「 傷病手当金 」が受給で きないため加入を検討する。 |
死亡 保険 | 被保険者が死亡した際、遺 族(受取人)のその後の生 活を補ってくれる保障。 | 月額1000~ 3000円程度 | 扶養家族の有無、ローン、子どもの 教育費など必要に応じて加入。 子どもの独立後は死亡保障は不要 or 減らす。 |
老後(定年)までに備えておくべき医療用の貯蓄額は?

厚生労働省によると、日本人1人あたりの生涯医療費は約2900万円。その約半分は70歳以降にかかるというデータが。
70歳以上の総医療費の平均(1361万円)に自己負担率(2割)をかけて計算すると、自己負担額は約272万円に。この金額を目安に「 医療費として使えるお金 」として貯めておくと安心です。
目安となる「医療貯蓄額」 | |
---|---|
独身・扶養家族なし | 100万~200万円 |
共働き世帯(子どもあり) | 200万~300万円 |
介護や通院の付き添いが想定される世帯 | 300万~400万円 |
公的保障のほかに、民間保険と貯蓄、バランスよく備えることでリスクを分散できます。もしものときのために、今から準備しておきましょう。
※2025年7月9日時点の情報です。

2023年、病気の経済的問題に悩む患者や家族の支援のため「患者家計サポート協会」を設立。最新刊は『がんとお金の真実 』(セールス手帖社)。
詳細はこちら監修/黒田尚子 イラスト/沼田光太郎 原文/太田順子 文/池田なるみ