じつは函館名物だった!「いかナポリタン」【オレペの中の人・宮川のうちごはんレシピ】


入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。

vol.51
入社29年目〈人が喜ぶため〉に料理をしている宮川の場合
『じつは函館名物だった! 父リクエストのいかナポリタン』
私担当の回で、何度か登場している父。ここ数年、年齢とともに体調を崩すことが増え、先日も十日ほどの入院ののち、無事に帰宅。
病院食続きだったので「まず何が食べたい?」と尋ねたところ、「いかが入ったスパゲティ。味はナポリタンみたいなの」とのリクエスト。父(と私)の「いか好き」は、以前「塩辛のガーリックバタースパゲティ」の回でお話した通り。入院中、いかが恋しくなっていたようです。
いかを使ったナポリタンは、じつは北海道・函館市のご当地グルメの新顔として、数年前に登場したメニュー。函館を代表する食材「いか」と、大人から子どもまで人気の「ナポリタン」を合わせたオリジナル料理で函館を盛り上げよう! と地元の飲食店が集い、「函館イカナポリタンの会」が発足したのだそう。
数年前の、「函館のいかそうめん食べ放題の朝食付きのホテルに泊まりながら、活きいかを食べに朝市に繰り出す旅」のときの道中、このいかナポリタンののぼりを立てたお店を発見。「さすが函館!」と気になりつつ、残念ながらその時は食べられずに帰京。
のちに調べたところ、「函館イカナポリタンの会」はイタリアンレストランや洋食屋さんをはじめ、カフェやバーからそば屋さんまで、さまざまなメンバーから構成され、お店ごとに工夫を凝らした「いかナポリタン」を提供しているとのこと。ケチャップにいかすみを加えた真っ黒のもの、上にいかの姿焼きがどーんと乗ったもの、そばのつゆを合わせた和風テイストのものなど、メニューを見ているだけでワクワク。
父のリクエストはまさに、この函館名物!ということで、私のオリジナルの一品を考案してみました。「函館イカナポリタン」を名のる条件は「いかを入れる」「ナポリタンの味である」、そしてもう一つ「地場野菜を使う」こと。そこで野菜は、地元の畑のパプリカをメインに、玉ねぎ、マッシュルームなどを合わせることに。
ナポリタンの味の決め手はトマトケチャップですが、さらにフレッシュトマト、トマトピューレを入れて、「トマトの三位一体作戦」に。さらに「いか焼きそば」をイメージして中濃ソースをプラスしたところ、いかによく合う味になり、大成功! 父も「うん、そうそう、これだ。うまい」と喜んで食べてくれました。情勢が落ち着いて、また旅行ができるようになったら、父と一緒に、本場の「いかナポリタン」を食べに函館に行けたら、と願っています。
ナポリタンの味つけといえば甘いケチャップですが、生トマトの酸味、トマトピューレのこく、さらに中濃ソースのスパイシーな香りを加えて、深みのある味に。いかは堅くならないように、具材を調味したあとにさっと炒める程度にすること、またいかだけでは淡泊なので、ベーコンのうま味を加えることもポイントです。
野菜をあまり食べてくれない父のために、ナポリタンには野菜をたっぷりと入れ(加熱するとかさが減って◎)、さらにかぼちゃのスープを添えました。スープの作り方は簡単で、まず玉ねぎを炒めてからかぼちゃを皮ごと加え、かぶるくらいの水を加えて20分ほど煮ます。ブレンダーでなめらかにし、好みの量の牛乳や豆乳でのばして、塩、こしょうで味とととのえればできあがり。暑い日だったので冷製にしましたが、あつあつももちろん、おすすめです。
オレぺの中の人のうちごはんレシピ
『函館名物をアレンジ!
いかナポリタン』

材料(2~3人分)
- スパゲティ 200g
- するめいかの胴 1杯分
- ベーコン 2枚
- トマト 1個
- 玉ねぎ 1/2個
- パプリカ(赤・黄) 各1/2個
- マッシュルーム 1パック(5~6個)
- にんにくのみじん切り 1かけ分
- バター 大さじ1
- オリーブオイル 大さじ1
- 白ワイン 大さじ2
- A
- ・トマトケチャップ 大さじ7~8
- ・トマトピューレ 大さじ2
- ・中濃ソース 大さじ2
- 塩 こしょう
作り方
- スパゲティを表示時間より1分長めにゆでる。ゆで汁をきり、バターをからめておく。
- いかは幅1cmの輪切りにする。ベーコンは幅5mmに切る。トマトはへたを取り、ざく切りにする。玉ねぎは縦に薄切りにする。パプリカはへたと種を取り、横半分に切ってから、縦に幅1cmに切る。マッシュルームは幅5mmに切る。
フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて中火にかけ、香りが立ったら玉ねぎを加えて炒める。玉ねぎが透き通ってきたらトマトを加え、汁けを飛ばすようにしながら、トマトが柔らかくなるまで5分ほど炒める。
ベーコン、パプリカ、マッシュルームを加え、野菜がしんなりとするまでさらに3分ほど炒める。
Aの材料を加え、なじませるように炒めてからフライパンにの片側に寄せ、あいたところにいかを入れる。白ワインをふり、いかの色が変わるまでさっと炒める。
- スパゲティを加え、全体にからめるように炒める。味をみて、塩、こしょう各適宜で調味する。

- Editor No.03 宮川京子(通称・ミヤカワさん)
- 神奈川県横浜市出身。大学卒業後、1992年に「ただただ料理が好き」という志望動機でオレンジページに入社。出版社の業務形態などをまったく知らず「オレンジページに入れば、自分で料理を作って写真を撮ってレシピが書ける」と思い込み、後にそうではない事実を知る。戸惑いのスタートから早29年。料理本担当一筋の日々で、常に頭のなかは食べることと作ることで埋め尽くされている。
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