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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

旅先のキッチンから、ドイツのおいしい便り【飛田和緒さん連載・ドイツ編】

2024.06.19

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。いつもは、地元・神奈川県三浦半島の食材を使った昼ごはんを紹介してもらっていますが、今回はなんと、ドイツからの特別編! 家族旅行の滞在先のキッチンから、ドイツのスーパーで見つけた旬の食材を使った「さもない」お昼をご紹介いただきます。

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ドイツからこんにちは!

Guten Tag!

突然ですが、今月はドイツよりさもない昼ごはんをお届けしまーす。

30年ぶりに夫の仕事に娘とともに帯同し、仕事が終わったあと、1週間家族旅行を楽しんでおります。娘の受験やコロナもあって、家族で出かけるのは5年ぶりくらいになるかしら。今回はドイツ、フランクフルト空港から車で2時間ほどのとシュタットキルという街に滞在し、一軒家をお借りしてのんびり過ごしています。そんなわけで、ドイツで食べた昼ごはんを記します。

滞在しているところは本当になーにもない牧草地帯に囲まれたところで、車がないとどこへも行けない……見渡す限り草原で、ときどき牛や馬、羊がおいしそうに草をほお張っている様子を見ることができます。

24時間レースに参戦。2日間このラウンジでケータリングサービスの食事が提供され、ドライバー、メカニックほかスタッフのみなさん、ゲストの方々が食事を楽しむ場所。娘とわたしはほぼここに居座っておりました。
夫が24時間レースに参戦。2日間、このラウンジでケータリングサービスの食事が提供されます。ドライバー、メカニックほかスタッフのみなさん、ゲストの方々が食事を楽しみます。娘とわたしはほぼここに居座っておりました。
アウトバーン(ドイツの高速道路)を車で飛ばせば1時間ほどのCochemや、Bonn、Kolnの観光地を散策したり、ルクセンブルグやベルギーにも足を延ばしましたが、なぜか3人ともにカフェが一軒あるくらいの片田舎の街が気に入って、宿に帰るとホッとするという、ただ住まいを移しただけのようなことになっておりますが、お向かいのお宅の番犬トニーが必ず出迎えてくれ、鳥が飛び交い、花々が美しいことに小さな喜びを感じております。

今はサマータイムで夜10時くらいになったらやっと日が落ちます。明るい時間がかなり長いから、ついつい食事の時間が長くなり、そして酒量も増えますね。

滞在先のキッチンでドイツの食を楽しむ

一軒家ということでキッチンも充実、道具がそろっており、近所のスーパーに出かけて地元食材を料理を調達して料理を楽しんでいます。
今はホワイトアスパラガス! 3月半ばくらいから市場に並びはじめ、もうそろそろ旬は終わりに近いそうですが、スーパーにも山積みにされていて、外食先では必ず「Spargel(シュパーゲル〈ホワイトアスパラガス〉)、おいしいよ!!」とおすすめされ、どこへ行っても宿でも毎日のように食べています。

ホワイトアスパラガスとゆで卵のサラダ

現地駐在のかたに、「太めのものを選んでくださいね。皮をむくと細くなりますから」とアドバイスをいただき、さっそく太めのシュパーゲルを購入。皮を厚めにむき、皮もいっしょにレモン汁と塩を合わせた水に入れてゆでました。

ゆで卵と、刻みパセリ、塩をかるくふって、卵の黄身と塩、レモン汁、オリーブオイルで作ったマヨネーズ風を添えて。日本でも春先からスーパーに並んでいましたが、旅先で思う存分食べられるからと我慢していたかいがありました。独特の風味としっとり、ねっとりした食感がたまりません。一生分食べたくらい、シュパーゲルづくしです。

とろとろキャベツが絶品!「キャベツと鶏肉の煮込み」

日本のキャベツよりも小ぶりで、肉厚でちりめん状に縮れた葉が特徴。ヨーロッパでは一般的でフレンチやイタリアンによく使われる。
日本のキャベツよりも小ぶりで、肉厚でちりめん状に縮れた葉が特徴。ヨーロッパでは一般的でフレンチやイタリアンによく使われる。
ある日のお昼は「ちりめんキャベツと鶏肉の煮込み」。にんにくとオリーブオイルを鍋に入れて香ばしい香りを出したら、しんごと切ったキャベツを並べてこんがりと焼き色をつけました。骨つき鶏もも肉は焼かないでそのまま入れてという家族からのリクエストどおりに。

水をひたひたよりも少なめに入れて、あとはふたをしてことこと煮るのみ。キャベツが柔らかく煮えたら、塩とこしょうで味つけ。鶏肉から出るうまみでキャベツがおいしく煮えました。ディルをたっぷりと加えたサワークリームを添えて。キャベツがとろとろに柔らかくて、おいしい。
ちりめんキャベツは、いわゆる日本のキャベツよりもふんわりと巻きが柔らかくて、日本でいう春キャベツのよう。でも、生食には向いてなくて、断然煮込みがおいしい。翌日は牛乳を加えて、もう一度ちりめんキャベツを味わいました。

いちごに生クリームを添えて

いちごも旬ギリギリ終わりに近いですが、甘酸っぱくていちごらしい味がして、何度も買いたし。娘はスプレーに缶に入った生クリームをおもしろがって、毎回ブシュッと出して食べてます。果物はほかにあんずやプラム、平たい桃(日本では蟠桃〈ばんとう〉)、チェリー、すいか、ぶどうなど、夏に向けて豊富に並んでいました。

ドイツ流!?「ディル入りきゅうりサラダ」

きゅうりは巨大。長さが30cm以上あって、直径も5cmくらいはあるでしょうか。夫の仕事先で食べさせてもらったきゅうりのサラダがことさら気に入った娘。

それを再現したのが写真のとおり。薄い輪切りにして、塩でかるくもんでしっとりさせて、玉ねぎのみじん切り、レモン汁(気に入っていたサラダはおそらくおいしいビネガー……?)、オリーブオイルと、ほんの少しおろしたにんにく、ディルを合わせてあえました。

生で食べる!「スライスカリフラワーのサラダ」

夜な夜な生のカリフラワーをスライスして、フレッシュマッシュルームやベビーほうれん草、日によっていちご入りだったり、サーモンを入れたりのサラダは大皿にドンと作って、ドイツワインのお供に。

とろりとした濃厚なバルサミコ酢をこれでもかっていうほど、たっぷりとかけて食べます。甘みのあるバルサミコ酢をかけたら塩はひかえめに。そのほうがバランスがよくて、お酒もすすみます。

 

毎日のように、じゃがいも料理を

じゃがいもはカリッと焼いたり、サワークリームであえたポテサラにしたり、じゃがいももよく食べましたー。きっと探せばじゃがいもも種類はあるのでしょうが、何軒か行ったスーパーではメイクイーンのみ。それも大きな網の袋に30個くらいは入っていたでしょうか。

それでもじゃがいもが好きな家族。毎日じゃがいも料理を食べ、昼間出かける先々では必ずケチャップとマヨネーズがこれでもかっていうくらいかけてあるpommes(フレンチフライ)を買っては食べていましたから、体の大半はじゃがいもになりつつあります。

ドイツのソーセージ「メットブルスト」

今回の旅で初めて食べたのは「Mettwurst(メットヴルスト)」。豚のひき肉を燻製にしたり、生に近い状態に下処理したものをソーセージのような形で売っていて、包装から取り出すとペースト状で、現地のかたはパンに塗ってオープンサンドのようにして食べていました。
夫の仕事先で食べさせてもらって、これはなんだなんだときいて教えてもらい、スーパーで購入。
生もの好きなわが家は「ねぎとろみたい」と言ってご飯に合わせて、しょうゆをたらりとかけて手巻きずしにしたり、どんぶりにして食べました。伝統的な国民食とのことで「Mett」は行く先々のスーパーで売られていました。

ですが、生に限りなく近いので、もし食べる機会がありましたら、ご自身の判断で食してくださいとひと言お伝えしておきます。これは日本と同じですね。旅先ではこんな出会いがおもしろい。

とにかく、野菜がみずみずしくておいしい。ソーセージやハム、パンがおいしいことはわかっていましたが、実際に野菜を買って作ってみると、またそのおいしさがわかります。滞在先の街には残念ながら直売所的な市場はありませんが、スーパーで新鮮な野菜を買うことができました。

毎月お届けしている海辺の町からの昼ごはんとそう変わりなく、お伝えできてよかった。今もこの原稿を書いているそばで、娘がなにやら作りはじめました。食いしんぼう家族の旅はもう少し続きます。


 飛田和緒


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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