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更年期以降にも重要!『膣内フローラ』を知っておこう【からだのキーワード】

2023.07.15

雑誌やテレビなどでときどき耳にする、からだの不調や病気などにまつわるキーワード。気になるものをピックアップし、医師が詳しく解説します!

腸と同じく腟にも細菌がすみ、体を守っている
『腟内フローラ』とは?

ラクトバチルス乳酸菌が病気やデリケートゾーンの不調を防ぐ
人間の腸内には多くの細菌が種類ごとに群れをつくって生息し、その様子がお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」と呼ぶのをご存じの人も多いと思います。これと同様に腟内にも多くの細菌が生息していることがわかり、近年注目されているのが「腟内フローラ」です。

「腟内フローラ」の菌とは

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられ、そのバランスが善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の状態で、菌の多様性が高いと健康によいとされています。これに対し、腟内の善玉菌はラクトバチルスという乳酸菌のみで、この菌が100%の状態が理想的。ラクトバチルス乳酸菌がつくり出す乳酸は腟や外陰部を酸性に保ち、自浄作用を働かせてウイルスや細菌の増殖を防ぎます。この菌が多ければ、子宮頸がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)や、性感染症の原因になるクラミジア、淋菌などさまざまなウイルスや細菌から体が守られ病気を防げるのです。この働きによって、おりものトラブルや性器のかゆみやニオイなどの予防にもつながります。また、腟内にラクトバチルス乳酸菌が多いと妊娠率が上がるという報告や、子宮がん・卵巣がんの予防に関与しているという報告もあります。

更年期以降の女性にとっての「腟内フローラ」

さらに腟内フローラは更年期以降の女性にとっても重要な働きが。ラクトバチルス乳酸菌は女性ホルモンのエストロゲンが産生を促すグリコーゲンをエサにして増えますが、更年期以降にエストロゲンが減るとグリコーゲンがつくられずラクトバチルス乳酸菌が激減。すると腟内に悪玉菌が増え、腟や外陰部の乾燥、かゆみや痛み、腟の壁が乾いてただれる萎縮性腟炎、膀胱炎などの不調が起きがちに。このような更年期以降のデリケートゾーンの不調をGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と呼び、これは腟内フローラの悪化も原因のひとつなのです。

腟内フローラの状態は更年期や閉経後に限らず、疲れや睡眠不足、不規則な生活などの影響で体の抵抗力が落ちたときや、エストロゲンが減る月経中にも悪化しやすくなります。抗生物質の服用、性交渉、外陰部の洗いすぎ、ビデの使いすぎなども腟内フローラの状態が悪くなる原因。性感染症になりやすい人や、デリケートゾーンのトラブルが多い人は腟内フローラの状態が悪い可能性大。最近、婦人科などで腟内フローラの状態を調べる検査を受けられるところもあります。

健やかな腟内フローラのためには

外陰部の洗いすぎやムレに注意し、雑菌の増殖を防いで
腟内フローラをよい状態に保つには、入浴時にボディソープや石けんなどで外陰部をゴシゴシ洗わないことです。洗いすぎると粘膜のバリア機能が低下し、善玉菌も減ってしまいます。洗うときはお湯かデリケートゾーン専用ソープにしましょう。体を締めつけるショーツやガードルはムレて雑菌が増殖しやすいので避けましょう。ナプキンやおりものシートはこまめに替え、デリケートゾーンを冷やさないことも大切。また、月経不順や無月経の人はエストロゲンの分泌が低下している可能性もあるので婦人科へ。

そのほか、腸内にラクトバチルス乳酸菌がいると腟内にもよい影響を及ぼすといわれているので、発酵食品や食物繊維をとるなどして腸内環境を整えることもおすすめ。最近は、腟内に必要なラクトバチルス乳酸菌がとれるサプリメントや、腟内にダイレクトにラクトバチルス乳酸菌を挿入できる商品も登場しているので、利用するのもよいでしょう。

教えてくれたのは……吉形玲美先生
産婦人科臨床医として婦人科腫瘍手術等を手がけるかたわら、女性医療・更年期医療の臨床研究にも携わる。現在、浜松町ハマサイトクリニックなどで診療を行う。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社)がある。
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『オレンジページ』2023年7月2日・7月17日合併号より)

構成・文/和田美穂 イラスト/山中玲奈 

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