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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.131】『ローラとふたりの兄』

2021.12.03

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。12月に入り、ぐっと寒くなってきたこの頃。この季節にぴったりの、ほろ苦くも温かいホットチョコレートのようなフランス映画をご紹介します(フランスだからショコラショーか)。
特別な日のごちそうもいいけれど、名もなき日々の食事もまた愛おしいもの。この映画が伝えているのも、そんな日常の素晴らしさです。どこにでもいそうな3人兄妹のストーリーは、フランスらしいウィットに富んだ会話劇が満載。日々を懸命に生きるすべての人を応援してくれる内容です。


サラとサンドラ。似ていなくもない……? 何の話かというと、3人兄妹の次男ピエール(ジョゼ・ガルシア)が、あろうことか兄ブノワ(ジャン・ポール=ルーブ)の結婚式で、妻となるサラ(ポーリーヌ・クレマン)の名前を間違えてしまうのです。そのことがきっかけで兄弟ゲンカになり、仲裁に入るのは末っ子の妹ローラ(リュディヴィーヌ・サニエ)。2人とは年が離れているようですが、既に両親をなくした3兄妹の中でまとめ役を果たしているようです。
舞台はフランス西部に位置するアングレーム。弁護士として働くローラは、離婚調停の依頼人だったゾエ―ル(ラムジー・ベディア)に見初められ、結婚を見据えた恋愛関係に。眼鏡士として店を経営する長男のブノワは、妻サラがめでたく妊娠するも、彼はなんだか浮かない様子。唯一子どもがいるシングルファザーのピエールは、解体業の仕事を失う憂き目にあい、そのことを兄妹や息子になかなか打ち明けられません。


子どもができて悩む人。子どもがほしくて悩む人。そして、子どもとの関係に悩む人。互いを思いやりながらも、なぜか会うたびに言い合いになってしまう3人は見ていてもどかしく、多くの人が共感できる家族の姿がそこにはあります。
結婚や出産、病気や失業といった、人生における大きなイベントが次々に起こりますが、この作品で印象に残るのは、むしろその背後にあるささいな会話や出来事。辛い気持ちを軽くする何気ない一言だったり、逆に自分では気付かぬうちに相手を傷つけてしまうことがあったり……。あとになって「そういえばあの日」と思い出すのは、そんな日常のワンシーンなのかもしれません。個人的には、弱みを人に見せるのが苦手で、誰よりも愛情深いピエールのキャラが好きでした。


それにしても、弁護士やら店の経営者やら、ピエールも息子をイギリス留学させているし、3人ともリッチですね。「地方のプチ・ブルたち」と資料にもあるので、意識された設定のようです。お金持ちな人たちのぜいたくな悩みとも取れますが、逆に言えばお金が幸せを保証してくれるわけではないということですね。
不器用な3人の姿を通して描かれる、生きることの難しさと愛おしさ。家族の大切さを感じるストーリーですが、それだけではありません。友人でも同僚でも、はたまた他人でも。小さな出会いの積み重ねで人生はできている、そんなメッセージを感じる作品です。


ローラとふたりの兄』12月10日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
©2018 NOLITA CINEMA - LES FILMS DU MONSIEUR - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - FRANCE 2 CINEMA

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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