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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.127】『ドーナツキング』

2021.11.05

こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。アメリカ映画を見るとよく出てくるお菓子といえば……ドーナツ! 日本でもおなじみのチェーン店だけでなく、アメリカでは個人店も多いようです。そして、カリフォルニア州にある個人経営のドーナツ店のうち、実に90%以上はカンボジア系アメリカ人が経営してるのだそう。一体なぜ!? その基盤を築き、「ドーナツ王」と呼ばれた元カンボジア難民の方のストーリーです。


メインの材料は粉と砂糖、バターや卵の乳製品。調理法は「揚げる」! これでおいしくないわけがないですよね。この映画の主人公であるテッド・ノイさんがアメリカに渡り、初めてドーナツを口にした瞬間、すっかりとりこになってしまったのも納得です。
反政府勢力のクメール・ルージュが台頭し、内戦状態にあった1970年代のカンボジア。陸軍少佐だったテッドさんは、タイへの赴任中にカンボジア政府がクメール・ルージュに降伏し、帰る国を失ってしまいます。当時33歳だったテッドさんは、難民として家族とともにアメリカのカリフォルニアへ渡ることを決意するのです。
そこで偶然の出会いから、ドーナツに魅せられたテッドさん。ドーナツ店が夜中でも繁盛していることに目をつけ、自分の店を持つことを目標にしチェーン店で修業をすることに。ここから彼の快進撃が始まります。


日本ではあまり知られていないカンボジア内戦、そしてカンボジア難民の方々の歴史を垣間見られるのが、この作品の魅力の一つ。歴代大統領のコメントや当時の政策が紹介されるなど、世界中で難民と呼ばれる人が増えつづけている今、とても興味深く感じます。
さて、チェーン店の修業を経たテッド氏は、その後独立を果たし念願だった自分の店を持つように。さらには同じカンボジア難民を自身の店で雇い、いずれ彼らも独立できるように便宜を図ります。系列店はどんどん増え、ついには「ドーナツ王」と呼ばれる存在に。ここまでは良かったのですが、その後とんでもない展開が待っていて……。ドラマよりもドラマチックなテッドさんの人生は、ぜひ映画を見て確かめてくださいね。
彼が身元引受人となり、自活を手助けした同胞の2世、3世は、現在もカリフォルニアのドーナツ業界を盛り上げているようです。


それにしても、ドーナツというお菓子の懐の深さといったら。定番の輪っかタイプは「リングドーナツ」と呼ばれる一種で、他にもボール状やツイスト形などフォルムはさまざま。それぞれのお店がフレーバーやトッピングを工夫している様子も紹介されていて、SNS戦略など今のドーナツ事情がよく分かって面白い! 
考えてみると、名前は違っても世界中にドーナツ的な揚げ菓子ってあるんですよね。テッドさんも、ドーナツを食べてカンボジアのお菓子を思い出すと言っていました。材料はシンプル、味わいは素朴にして普遍的。だからこそ、甘いものを食べてみんなが笑顔になる、お菓子の原点のような存在なのかもしれません。劇中に登場するたくさんのドーナツ。見ているだけで幸せな気分に、と言いたいところですが、もちろん食べたくなります……。


ドーナツキング』11月12日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ツイン
©2020- TDK Documentary, LLC. All Rights Reserved.

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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