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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.112】『17歳の瞳に映る世界』

2021.07.09


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。ここ1年ほどで紹介した作品を振り返ってみると、女性が主人公のものが多かったように思います。今回の作品も、ヒロインは17歳の少女たち。ティーンエイジャーという単語から想像される煌びやかな世界はそこにはなく、むしろ若い少女たちだからこそ味わう、女性ゆえの真摯な痛みがありました。ペンシルベニアからニューヨークへの、長距離バスによる切ないロードムービーです。


いつもどこか不満顔のオータム(シドニー・フラニガン)は、アメリカのペンシルベニア州に暮らす17歳の女子高生。繰り返されるアルバイト先でのセクハラ、「メス犬はかわいい」など意味深な発言をする義父、同級生の男子たちの不愉快な言動……彼女の生活は恒常的な不安に満ちています。都会が舞台の華やかなアメリカ映画に慣れていると「いつの時代!?」と思ってしまいますが、地方の保守的な街では、まだまだこういう状況が続いているのかもしれません。
吐き気を催す日が続き、ウィメンズクリニックへ足を運ぶオータム。妊娠検査薬の検査結果は陽性。この州では親の同意なしに未成年は中絶できないことを知り、彼女はいとこのスカイラー(タリア・ライダー)と一緒に、合法的に堕胎できるブルックリンへと向かうのです。


彼女の人生を直接的に苦しめているのは男性たちなのですが、映画の中に出てくる男性陣は抽象的な存在かと。彼女のお腹の子の父親が誰なのかも明示されていないですし。それよりも、オータムを取り囲む女性たちの違いが印象に残りました。中絶を考えるオータムに、その行為を殺人として扱うビデオを見せるウィメンズクリニックのスタッフ。一方、救いを求めて向かったブルックリンのヘルスセンターで出会った女性は、「自分で決めた選択なら問題がない」と言う。望まぬ妊娠をしたオータムに対して、同じ女性の中でも彼女をさらに傷つける人と手を差し伸べる人がいる、そのことが切ないと思うのです。


「Never Rarely Sometimes Always」。原題となっているこのフレーズは、オータムがある場面で投げかけられる質問に対する答えの選択肢です。日本語にすると「一度もない ほとんどない 時々 いつも」。胸が苦しくなる、印象的なシーンでした。
常に身構えた表情のオータムが、たった一度だけ17歳らしい笑顔を見せる場面が心に残っています。


『17歳の瞳に映る世界』7月16日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
配給:ビターズ・エンド
©2020 FOCUS FEATURES LLC

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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