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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.83】「エイブのキッチンストーリー」

2020.11.12


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
おいしそうな映像にお腹がすいてしまう、料理や食べ物がテーマの映画。以前「東京ごはん映画祭」というイベントがあって大好きだったのですが、作品のチョイスがめちゃめちゃ面白かったんですよ。世間的には食べ物に関する映画とは認識されていないものも、ラインナップに入っていて。たった1杯のコーヒー、なにげない朝食メニュー、野菜の下ごしらえなど。「飯テロ」要素は特にないのに、料理や食べ物で人と人がつながる……。
『エイブのキッチンストーリー』も、まさにそんなストーリー。自らの料理で家族の争いを解決しようとする少年の奮闘に心うたれ、魅惑的な食べ物にも視線を奪われる、最強のごはん映画なのです。


ニューヨークで暮らす主人公のエイブ(ノア・シュナップ)は、大の料理好き。父方はパレスチナ系、母親はイスラエル系という複雑な家庭に生まれ、宗教や民族問題でいつも対立する家族の関係に頭を悩ませているのです。イスラム教とユダヤ教、どちらのコミュニティからも中途半端とみなされてしまうエイブ。煩わしい人間関係と違って、分量や作り方を正しく守れば望み通りの結果が得られる、料理のそういうところに魅力を感じているのかもしれませんね。そんな彼がある日出会ったのは、世界各地の味をかけ合わせる「フュージョン料理」。中東料理のファラフェルをアレンジしたメニューに自分の姿を重ね、活路を見出すのです。イスラエルとパレスチナをミックスさせた料理を自分が作れば、家族がもっと仲良くなるのではないかと……。


日本でも最近人気のファラフェルは、豆をスパイスやハーブと混ぜてすりつぶし、丸めて揚げる中東のコロッケ。ひよこ豆やそら豆など国によって違いがあるらしく、それを「こっちが正しい」と争うのか、同じ料理を分かち合う仲間とみなすのか……。
偶然の出会いからエイブに料理を指導することになる料理人のチコ(セウ・ジョルジ)はブラジル人。エイブに気づきを与えたのは、チコが作ったジャマイカ風アレンジのファラフェルでした。チコのバックグラウンドはあまり語られませんが、生粋のアメリカ人ではない2人だからこそ通ずるものがあったのかな?と感じます。
移民の多いニューヨークは、フュージョン料理の聖地。料理だけでなく、人々もフュージョン(=調和)できればいいのですが。


アラブの代表的なサラダ「ファットゥーシュ」、クラッカーのようなユダヤの伝統食「マッツォ」、ブラジル料理の「アカラジェ」etc.日本ではなかなかお目にかからない各国料理がたくさん出てくる今作は、グルメ好きもきっと大満足のはず。
おいしそうな料理のシーンのおかげでそこまでシリアスな雰囲気はないですが、エイブが自分のアイデンティティに苦しむ姿は、やはり見ていて辛いものがあります。イスラエルとパレスチナの関係を知るきっかけにもなるので、大人はもちろん若い人やエイブと同じ年くらいの子どもたちにも見てほしい作品です。

「エイブのキッチンストーリー」 11月20日(金)より、新宿シネマカリテほか全国ロードショー!
配給:ポニーキャニオン
©2019 Spray Filmes S.A.

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【お知らせ】

この「エイブのキッチンストーリー」とコラボした、
中東料理研究家・サラーム海上さんによる料理イベントを11月21日(土)に行います!
サラームさんとマツコの映画トークもありますよ♪
くわしくはこちら>>>


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【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和 

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