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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.73】「スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」

2020.09.03


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
同僚の1人が、シルバー人材センターの家事代行サービスを利用しています。忙しい生活の中で家事を誰かに手伝ってもらいたい、という気持ちで利用し始めたところ、子どもたちが祖父母世代と交流することができたり、社会性も身につくというメリットも発見したそう。
年を重ねても働く意欲のある人たちの居場所になるだけでなく、ビジネスとしても成り立っているのがいいなと思いました。
今回紹介する映画も、居場所がキーワード。本当に副題そのまんまなのですが、社会で見放された人たちの支援団体を運営する2人の、実話に基づくストーリーです。


マイノリティと呼ばれる人の中にも差があるなと、よく思います。まさしく今世界中を揺るがせているのが黒人差別に対するデモ運動ですが、その一方で、この映画に出てくる自閉症の人たちのように、デモすら行うことが難しく、その存在をなかなか世間に示すことができない場合も。
自閉症の青年たちをケアする団体「正義の声」を運営するブリュノ(ヴァンサン・カッセル)は、毎日大忙し。例えば彼らが外でトラブルに巻き込まれて警察から呼び出されることは日常茶飯事、仕事の斡旋にも奔走するし、重度の症状でどこにも引き取り手がない少年の受け入れも拒みません。
こんなに頑張っているブリュノの邪魔をするのが、法律や制度の存在。赤字経営で無認可、スタッフ数に対して受け入れ患者が多すぎると、監査員の調査によって閉鎖の危機に追い込まれてしまうのです。


首から下が麻痺した富豪の白人男性と、地位も教養もない黒人の介護人青年との交流を描き、フランスでも日本でも大ヒットとなった、この監督の代表作『最強のふたり』。病気や障害の悲哀をいたずらに強調せず、助けるものと助けられる者という関係に単純化しない、そのフラットな視点は今作でも踏襲されています。
ブリュノと患者たちの会話は常にどこかかみ合わず、それは素直に笑いを呼ぶ。また、ブリュノ自身はお見合いサークルに入会するもなかなかうまくいかない、そんな一面を持った人。決して「弱き者を守る聖人」などではなく、とても人間臭さに溢れているのです。
もう1つ重要な点が、「正義の声」で患者たちの世話をするのは、社会からドロップアウトしてしまった若者たちだということ。ブリュノの友人マリク(レダ・カテブ)がこの若者たちを教育し、相棒のもとへ送り込んでいるのです。
ときには施設をたらい回しにされることもある自閉症患者たちが、ここでは若者たちの居場所を作っている……その関係がいいですよね。


ちなみに主演の2人は、特にレダ・カテブはいつも悪役をやっているので、この役はどうなんだろうと最初訝しい気持ちが(笑)。でも逆に、単にいい人というよりは社会への怒りをエネルギーにしているような2人のキャラクターにぴったりな配役なんですよね。
彼らがこのような施設を運営するに至った背景も気になりましたが、それよりも「今困っている人と向き合う」ことが大事なのかな……。
2015年に国連が定めた、よりよい世界を目指すために達成すべき目標「SDGs」。なんだか環境問題ばかりが取り上げられますが、貧困や不平等をなくすなどいろんな目標があり、そのメインメッセージは「誰ひとり取り残さない」というもの。
この映画の内容を伝えるのに、これ以上の表現はないかもしれません。


「スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」 9月11日(金) TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開
配給:ギャガ
©2019 ADNP - TEN CINEMA - GAUMONT - TF1 FILMS PRODUCTION - BELGA PRODUCTIONS - QUAD+TEN

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和 


次回9/11(金)は「マーティン・エデン」です。お楽しみに!

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