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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.49】「栄光のマイヨジョーヌ」

2020.02.27


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
先日パウンドケーキを作ったのですが、イマイチな出来でした。パウンドケーキの主な材料はバター、砂糖、卵、小麦粉、これだけ。材料がシンプルだからこそ、混ぜ方や焼き時間などの微妙な差によって仕上がりの味が変わるんですよね。
面白いのは、必ずしも高価な材料を揃えれば美味しくなるわけではない、ということ。高い材料を買えないから言ってるわけではありません。いくら高くても、そのクオリティを最大限活用しないと台無しになってしまうということを言いたいのです。

これってチームスポーツでも一緒ではないでしょうか?
『栄光のマイヨジョーヌ』は、オーストラリア初のプロサイクリングロードレースチーム「オリカ・グリーンエッジ」の軌跡を追ったドキュメンタリー映画。
いわゆるスポーツドキュメンタリーなのかと思ったら、個人がチームのためにどう動くかとか、新しいメンバーをどう迎えるかとか、あれ?これって別にスポーツに限らない話かもと思えてきて……。
自転車という競技の面白さや特殊性がよく分かるし、何より彼らのチームワークに圧倒される胸アツ!な作品でした。


自転車というとツール・ド・フランスくらいしか知らなかったマツコですが、この映画のおかげでだいぶ知識が増えました。
まず、誰もが知るツール・ド・フランスをはじめ、イタリアとスペインのレースを含めて3大ツールというらしい。
そして何より驚いたのが自転車競技の仕組み。大会にはチームでエントリーをするけど、成績は個人の着順で決まるのです。ではなぜチームエントリーなのかというと……。
実は、チームの中のエースと呼ばれる1人を勝たせるために、他のメンバー(アシスト)は献身的な走りに徹するのだそう。そして、その献身なしに個人の優勝はないのです。
映画のタイトルになっている「マイヨジョーヌ」は黄色いウェア(ジャージかな)という意味で、ツール・ド・フランスでトップになった選手だけが着られる栄光の証。
しかも、驚くことにエースとアシストメンバーは公表されず、レースの途中でエースを変えることもあるってどんだけ複雑~。
こういう戦術的な面があるからこそ、競技する側にとっても見る側にとってもエキサイティングなんでしょうね。

さてこのグリーンエッジというチーム、なんだかみんながとっても楽しそう。自転車の世界ではこれが普通……?と思ったら、伝統あるこの自転車界ではけっこう軍隊的なチームも多いらしく、こういう雰囲気は珍しいとか。
だってね、例えば料理している動画とか口パクミュージック動画とかYouTubeで流してて、ファン獲得のためにエンターテイメント性をすごく重視しているんです。
これってすごく大事なことだと思うのです。ファンを獲得するには、何より選手と触れ合うチャネルを増やすのが一番ですから。


自転車選手ならだれもが憧れる「マイヨジョーヌ」。栄光の証であるこのウェアを、チームメイトに譲る……!?そんな前代未聞の事件が起こります。
これには自転車レースのシステムも関係していて、オリンピックや世界選手権などで採用されているワンデイレースと違い、上記の三大ツールでは毎日のようにレースが行われ、1日ごとの優勝者を決めながら、最終日に積算時間の最も少ない選手が総合優勝となるのです。
つまり、レースの数だけマイヨジョーヌを着るチャンスがあるわけで、そのシステムを利用して「チーム内に1人でも多くのマイヨジョーヌ着用者を増やしたい」と思った選手がいたんですね。

団体競技はチームワークが何よりも大事とはいえ、最終的には個々の力が問われる世界。助け合いこそすれ、栄誉を譲るという発想はなかなか理解しがたいものです。
フランス、イギリス、イタリアなど、自転車競技の強豪国はほぼヨーロッパの独壇場。そんな中、オーストラリア発(初)のサイクリングチームとして挑戦するグリーンエッジの選手たち。
だからこそチーム内の仲間意識や絆は一層強いのかも……と思いました。
 


もう1つ、コロンビアの選手がチームに加入するエピソードも良かった。
彼はレース中の事故で重傷を負い、運動機能の回復はわずか70%程度。なぜそんなケガを負った選手をわざわざチームに迎えたのか、そこにグリーンエッジのチーム作りの根幹がありそうです。
このチームではレースの結果だけで選手を判断せず、いかにチームに溶け込めるか、良い化学変化をチームにもたらすかを大事にしているとか。
明るく笑顔を絶やさないこの選手には、何かそういうプラスの作用が感じられたのでしょうね。
YouTubeへの動画投稿などにみられる「楽しむことも大事な仕事」というコンセプトもこのチームならでは。
スポーツという言葉は、もともと「気晴らし、楽しむ」という意味もあったことを思い出しました。

チームのために「犠牲」になるのではなく、「アシスト」する。華々しくスポットを浴びた人は、周りの人への感謝を忘れない。何より1人1人の個性を生かす。自転車レースに限らず、どんな組織でもこうありたいという、チームワークの何たるかを教えてもらえる映画です。
いつかマイヨジョーヌを着る日本人選手の姿も見られますように……!


「栄光のマイヨジョーヌ」  2月28日(金)新宿ピカデリー、なんばパークシネマほか、全国順次公開
©2017 Madman Production Company Pty Ltd


【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回3/6(金)は「劇場版 おいしい給食 Final Battle」です。お楽しみに!

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