骨盤底筋って何?
骨盤周辺にある筋肉や靱帯、皮下組織が集まったハンモック状の組織のことを骨盤底といい、その重要な構成成分のひとつが骨盤底筋です。泌尿器科医の関口先生によ ると、「骨盤底の上には膀胱や尿道などの臓器がのっていて、体幹を下から支える役割」をしているそう。
骨盤底筋は40代以降、だれでもゆるみがち
ところが40代から更年期にかけて、筋力が落ちたり、コラーゲンの質と量が低下したりすることで、骨盤底はゆるみがちに。すると「臓器が不安定な状態になり、排泄がうまくコントロールできず尿もれやガスもれ(おなら)が起こりやすくなります。また、姿勢も悪くなり、血流が滞って冷え性などの原因にも。ただし、骨盤底は骨盤底筋トレーニングを行うことで、再び引き締めることが可能です」。
骨盤底筋がゆるむと、尿漏れ、頻尿、ガスもれ、猫背、冷えなどの原因に!
これだけやればOK!
骨盤底筋BESTトレーニング
骨盤底筋トレーニングは、骨盤底筋を「引き締める」動作と「ゆるめる」動作を繰り返し行うだけ。まわりの目を気にすることなく、いつでも好きなときに実践できます。ただし効果的に行うにはちょっとしたコツがいるので、説明をしっかり読んで!
※イラストは立った姿勢ですが、座った状態でもできます。
➀骨盤底筋をゆっくり引き締める
●肛門と腟と尿道を引き締め、骨盤底筋を引き上げるまずは、おならを止めるイメージで肛門をゆっくり引き締め、次におしっこを我慢するイメージで腟と尿道をゆっくり引き締めます。最後に、骨盤底筋を中に引き込むイメージでゆっくり引き上げます。5秒くらいを目安に行いましょう。
●息はかるくゆっくり吐きながら行う引き締めている間は「ふう~」とかるく吐きましょう。息を吐ききるようにいきんだり、息を強く吐いたり吸ったりしながら行うと、呼吸器や腹筋に力が入り、骨盤底筋にうまく力が伝わりません。
②骨盤底筋をゆっくりゆるめる
●肛門と腟と尿道をゆるめ骨盤底筋を下げる引き締めた肛門、腟と尿道をゆっくりゆるめ、最後に骨盤底 筋をゆっくり下げます。急いでゆるめようとすると腹筋に力が入り、骨盤底筋が押し下げられたり、正しくゆるめることができなくなるので気を つけて。
●ゆるめることで息が体に自然と入る骨盤底筋を引き締めたときに息を吐いたぶん、きちんとゆるめることができると自然と体に息が入ってくるので、その動きに任せること。急に息を吸うと、骨盤底筋が押し下げられたり、胸だけ動いたりして、正しくゆるめることができません。なお、正しくゆるめられると、ため息になることはありません。
➀~②を5回繰り返す
5回×5を1セットにして、一日3セット(75回)を目標に!
骨盤底筋トレーニングは、立った状態でも座った状態でもできますが、いずれの場合も背すじをまっすぐ伸ばして行うことが大事。「姿勢を正して行うことで、骨盤底筋以外の筋肉に力が分散することを防ぎ、骨盤底筋を効率よく引き締められます」と笹岡先生。外から見えない筋肉なので正しい方法をしっかりマスターすることが大切なのだとか。気になる人は、ぜひトライしてみて!
教えてくれたのは……
関口由紀先生、笹岡愛加先生
女性泌尿器科専門医、女性医療クリニックLUNAグループ 理事長。テレビや雑誌、WEBなどさまざまなメディアを通して、女性特有の体の悩みに答える発信を行っている。著書に『女性の尿もれ・頻尿は骨盤底筋を鍛えて防ぐ!』(PHP研究所)など多数。
https://www.luna-clinic.jp/
女性医療クリニックLUNAネクストス テージ理学療法士。「骨盤底筋トレーニング自体はとても簡単ですが、目で見て確認できないのが難点。間違った方法で行うと効果が半減するので、正しい方法をきちんとマスターしましょう」。