老後のお金、いつから、いくらもらえる?知っておきたい『公的年金の基礎知識』
退職後の生活を支える柱となる「年金」。 いつから、いくらもらえるのか――気になってはいても、実はきちんと把握していない人も多いものです。
仕組みを知っておくことで、将来の備えがぐっと現実的に。そこで、年金の基本を国民年金基金連合会理事・井戸美枝さんに詳しく教えてもらいました。
年金は、ちゃんともらえる?
将来、年金はきちんともらえます。ただし物価上昇による実質的な支給の〈目減り〉は覚悟して

「年金がちゃんともらえるか不安」 という声を多く聞きますが、国の財政が破綻しないかぎり、年金制度が崩壊することはありえません。さらに、公的年金は物価にある程度連動して上がるしくみなので、老後、生活に必要なものが買えなくなるほどにはならないと考えていいでしょう。
ただし、将来の物価を予想するのはむずかしく、急激な物価上昇が続けば、支給額が上がっても実質的には目減りしてしまうことも。それを踏まえて老後の資金計画を考えるのがベストです。
公的年金とは?
公的年金は、〈人生の3大ピンチ〉を救う大切な社会保険
公的年金は、老後もらえる「老齢年金」だけではなく、そのほかにも病気やけがで障害状態になったときに受け取れる「障害年金」、家族の大黒柱を亡くしたときに受け取れる「遺族年金」の3つの社会保険から成り立っています。
年をとったとき、障害状態になったとき、遺族になったときという、3大リスクに対応して生活を支えてくれるもの。未納の場合、老後の年金を受け取れないばかりか、いざというときの障害年金や遺族年金も受け取れません。
公的年金は〈2階建て〉。働き方によって、将来の年金額に大きな差があります

令和7年の年金支給額(1カ月あたり)
※年金の受け取りは原則 65歳から。
国民年金 •••••• 6万9308円(満額)
厚生年金 •••••• 23万2784円(夫婦2人分)
※会社員の夫と専業主婦の妻のモデル世帯。男性の平均的な収入( 平均標準報酬〈 賞与を含む月額換算 〉45.5 万円)で40 年間就業した場合。
日本の年金制度は、建物にたとえると「2階建て構造」になっています。まず1階部分は、20歳から60歳未満のすべての人が加入する国民年金( 基礎年金)があります。2階部分は、会社員や公務員が加入する厚生年金です。国民年金のみに加入している人は、将来受給できるのは国民年金のみとなります。厚生年金に加入している人は、国民年金に加えて厚生年金の金額が上乗せされます。
年金をむずかしいものと思っていた人も、仕組みを知ればきっと身近に感じられるはず。少しずつ理解を深めて、安心できる未来を描いていきましょう。
※2025年2月5日時点の情報です。

ファイナンシャルプランナー(CFP 認定者)、社会保険労務士。前社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。国民年金基金連合会理事。近著は『 一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版 』(日経 BP)、『フリーランス大全第二版 』(エクスナレッジ)。
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監修/井戸美枝 イラスト/沼田光太郎 原文/太田順子 文/池田なるみ








