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元タカラジェンヌ 食と美のトビラ

元宝塚歌劇団 星組娘役・有沙 瞳さん「気持ちをポジティブに切り替えることが美への近道」【美のトビラ】

元タカラジェンヌ 食と美のトビラ
華やかで気品ある夢のようなキラキラのステージ、宝塚歌劇。約3時間のステージを彩るタカラジェンヌたちは清く正しく美しく、そして心身ともにパワフル! その生き生きとした魅力の源である「食」と「美」のこだわりを、宝塚歌劇OGのかたがたに現役時代を振り返りながら教えていただく連載です。

美の根底にあるのは「ハッピー」。有沙さんのポジティブマインドに迫る

前回に続き、元星組娘役の有沙瞳(ありさ・ひとみ)さんが登場。有沙さんが考える「美」のあれこれについて、詳しくお話をうかがいます。

>>前回・元宝塚歌劇団 星組娘役・有沙 瞳さん「あずきへのこだわりはだれにも負けません」【食のトビラ】

一日の疲れや気を流して、まっさらな気持ちで翌朝を迎えるためのこだわりごと


――(有沙さんのインスタをのぞきながら)退団の日のブーケも素敵でしたね。羽根が入っているのはあまり見かけないですよね。

ありがとうございます。自分や自分が演じた役をお花でたとえられたらうれしいなと思い、宝塚大劇場の千秋楽と東京での千秋楽とで変えてみたんです。宝塚公演では、思い入れのある『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』のルイーズのイメージで自分自身もワインレッドカラーが好きなことから大人っぽい感じのブーケに。東京公演のは、『1789―バスティーユの恋人たち―』のマリー・アントワネットからピンクのバラを、秋に咲く桜という意味で『龍の宮物語』の桜蓼(さくらたで)っぽいお花を入れつつ、本名の“みほ”って感じかな。外の世界へ羽ばたきたいという思いから、羽根も入れました。天使も大好きなんです。

こちらは『1789』東京公演大千秋楽のブーケ。(有沙さんインスタグラムより)

――宝塚と東京でガラッとイメージを変えたんですね。

自分が本当に好きなもの、好きなこと、やりたいことにこだわる。それをしていると自分の心が幸せなんです。ネガティブな気持ちだったり、「まぁいいか」という妥協をしていると、ちょっといやな気持ちになってきちゃうんですよね。それがわかったのも、自分を見つめるようになったからかも。

――美も、自分と向き合って追求されていますか?

そうですね。私にはどんなことが必要かと考えたら、マッサージできちんと流すことなんです。冷えやすくてむくみやすいのが悩みで、在団中はかなり悩まされました。そこで、1日の疲れを流してリセットすることを意識するようになったんです。朝起きたときにスッキリしていると「よし、今日も一日頑張ろう」という気持ちになれますが、疲れが残っていると一日のスタート地点がマイナスなんですよね。

――ご自身でマッサージをするときは手でやるんですか?

エステにも導入されている機器のホームケア用「イーポレーション コンプリート」を使っています。

Miho’s Photo

「高額だったのですが、やっぱり体が資本ですし、ケガにもつながるからちゃんと効果を感じられるものがいいなと思い切って。フェイシャルからボディまで使える本格的なもので、これを使うとくすみがなくなって透明感が出る感じです」(有沙さん)

衣装が重いと変に力が入ってしまい、無理に何かをすると痛めちゃうんですよね。体の補正もするため、コルセットで腰や背中に疲れがたまったり。そうすると肺呼吸みたいに浅くなって歌がみなさんに伝わらなくなるんです。ショーの振りでも左右違うことが多いから、お稽古を含めて4〜5カ月やっていると骨格がゆがんでくるんですよ。公演が続く(休演日の間の)1週間はコンディションをキープしなければなりませんが、セルフケアをしていた1週間と怠っていた1週間では土日の体のもちが全然違います。

――とはいえ、完全なセルフケアだけではコンディションを維持するのはむずかしそうですね。

はい。休演日や1回公演の日などにメンテナンスしています。お客さまにちゃんと伝わって自分が満足できる舞台を務めるためにも、プロの手を借りてきちんとケアをすることは必須です。だからマッサージやエステに行くことは欠かせないです。

――一日の疲れをためないということは、お風呂タイムも大事にされていますか?

大好きです。お風呂での夜のケアは大事ですね。私は役に没頭すると、気で太っちゃうタイプ。気をため込まず切り離すために、神社の塩などをお風呂に入れて清めることも。地元の二見興玉神社の「無垢塩草」という、清められた海藻を干した御霊草を浴槽に入れると本当にスッキリ、まっすぐ、汚れがなくなったような気がします。

Miho’s Photo

「そのまま浴槽へ。1回だけだともったいないから何度か使うこともできると思いますが、でも基本はお清めで1回かな。パサーッと全部が落ちた気分になれるから、真っ白な初心に戻りたい勝負の前日に使うことが多いです。こちら300円なんですよ。お風呂に入れるだけでなく、お守りとして持ち歩くのもいいみたい。おみやげにもおすすめ」(有沙さん)

神社の話をすると身構えられてしまうこともあるのですが、私が興味を持ったのはコロナがきっかけです。それまで自分と向き合うことをしなかったし、時間もとれなくてできなかった。強制的に何もできない時間ができ、「私は何をしたいんだろう」「何をしているときが楽しいんだろう」と考え、食のこと、体のこと、そして神社をめぐったり景色のいい所に行ったりすると心地がいいことに気づきました。そしたら舞台で出るものも変わった気がしたんです。なんだか、役に対してまっすぐの感覚になれたというか。『ロミオとジュリエット』の乳母のころですね。私は一人じゃなくて、照明や衣装やセットなど舞台を作っているいろんなものを含めて自分がいて、お客さまもいる。そう考えることができるようになり、なんだかちょっと無敵になった気がしました(笑)。

――素敵な感覚ですね。乳母は本当に無敵だったと思います。これを入れると体がリセットされる感じなんですか? 

そうですね。夜に清められて、翌朝起きたときに「今日はどんな感覚が生まれるだろう」って前向きになる感じ。

――お風呂自体の温度や長さはいかがですか?

気持ちがふっとゆるむ副交感神経を優位にするためには、熱すぎない40℃くらいのお湯がいいと聞き、それで10分くらい。ぬるいお湯に長く入っていることや熱いお湯にザッと入るのが少し体に負担で。季節によって変わりますが、だいたいそのくらいの温度です。

最近いただいていいなと思ったのが、アユーラの「薬用ハーバルホットスパ」。しっかり汗が出てデトックスされ、疲労回復します。寒くなってくるこれからの季節におすすめです。

Miho’s Favorite

発汗や代謝を促し、一日の疲れやこり、冷えを改善する生薬成分を配合。お湯の中で揉むと、生薬成分がじわじわ溶け出す。湯上がり後もポカポカの温浴効果が持続。
アユーラ 薬用ハーバルホットスパ [医薬部外品] 1回分 ¥385/アユーラ 0120-090-030

お風呂って集中できるところでもあるんですよね。リビングだとだらだらしちゃうから、セリフとか重要なものを覚えるのにはお風呂。台本は持っていけないから、スマホで写真を撮ってお風呂に持ち込みます。そういうときはけっこう長風呂になっちゃうんですけどね。なんででしょうね、お風呂は邪念がないからかな。

――お風呂はオンとオフのスイッチングにもなっているんでしょうかね。有沙さんのストレス対処法はどんなことですか?

うーん、なんだろうなぁ……。私、以前はこんなにポジティブ思考ではなかったんです。雪組の下級生時代は、たとえば先生や上級生に言っていただいたことを1週間以上引きずるタイプだったんですよね。いやいや続けていた時期もありました。頑張って劇団に行っても「いつ辞めようかな」と思っていたり。そんなときに自然に目に入ってくるのが神社とか、いい気が流れているようなところだったんです。コロナ禍に入り、あらためて向き合いはじめた感じですかね。

それは浄化面というかフラットになるためにしていることで、マインドを上げるためにはハッピーずくめにすることですね。『宝塚おとめ』(生徒名鑑)にも書いたんですけど、好きなことは「幸せなこと探し」(笑)。ものはとらえようだなと思うんです。もちろんマイナスなことや試練もたくさんありますが、それが今の自分に必要なことを教えてくれているのかなと強みになっていく。いただいたお役からそう思わせてもらうことが多くて、ポジティブに変換できるようになりました。

だから何かダメなことが起こったとしても、「このくらいですんでよかった」とプラスの方向に考えることがストレスをためないことにつながるかもしれない。先ほども言いましたが、後悔しないように過ごすこと、妥協せず「まぁいいか」をやめることは大事ですね。
――その思考の転換はなかなかできないことだと思います。胸にしみました。

あははは。そういえば、お風呂でやっていることでヘアケアのおすすめもあります。家では髪に合うシャンプーなどを使ってケアをしつつ、お休みの日にヘアサロンでトリートメントをしてもらっています。家で使っているのはオージュアの「ディオーラム」ライン。シャンプー、トリートメント、セラムを持っていますね。

Miho’s Favorite

毛髪内部構造の乱れを整え、みずみずしくツヤと弾力のある美髪へ導くライン。
(左から・価格はすべて税込み)
・オージュア ディオーラム シャンプー 250ml ¥4,620
・オージュア ディオーラム ヘアトリートメント 250g ¥5,720
・オージュア ディオーラム エンゲージセラム 100ml ¥4,950
/すべて美容室専売品 ミルボン 0120-658-894

リファの「イオンケアブラシ」もとってもいいです。髪がからまなくてほかのブラシとはまったく違うんです。

Miho’s Favorite

お風呂の中でも外でも使えるブラシ。頭皮の汚れをかき出す、頭皮を刺激する、髪をとかすという働きが可能。
リファイオンケアブラシ ¥6,050/MTG 0120-467-222

――舞台の上で意識している美も教えてください。お化粧やかつらにもこだわりがある印象です。

お化粧や髪型の力ってすごく強いです。役になりきらせてくれる味方ですね。『Le Rouge et le Noir ~赤と黒~』のルイーズのときは自毛だったんです。でも舞台の上でずっと同じ髪型は違うなと。場が変われば年齢や気持ちが変わるし、たとえば寝室やプライベートなスペースで髪は結わずに下ろしていたほうがいいなとか、その後なら片流しの方が大人っぽいなとか。1幕では上でまとめていたけど、2幕では年齢を重ねて精神的に悩んでいることが多いからアップにはできないなとか。役の心情とともに髪をアレンジするのが楽しかったです。自分の髪だからこそできたことでした。

あとは、舞台の雰囲気を出してくださる照明さんや小道具さんたち、ひとつずつ細かく手縫いしてくださる衣裳さん、見に来てくださるお客さま。本当にいろいろなかたに支えられてお仕事ができていたから、感謝の気持ちは絶対に忘れないようにしていました。ありがたいな、人とのつながりって素敵だなって。今回の取材もそうですが、こうして出会えることで自分にとっても発見や学びがあるので、そういう気持ちは素直に大切にしています。これは美につながるかしら?

――心の美ですね。

よかった(笑)! ちぎさん(元雪組トップスターの早霧せいなさん)が、「心を大切にして」とずっとおっしゃっていたんです。責任感で一人でやろうとしたり、やらなければならないということがたくさんあったりすると、自分の心に無理をしてしまう。するとケガにつながったり、強制的にやらされている感が強くなっていいものが作れない。「心を大切に、心を大切に」と何度も言い聞かせているから、それが私のモットーかな。

演じるときにもそれがつながると思うんです。自分の心と体が一致すると、思うままに表現できるようになる。そこで役として、自分では思ってもみなかった感情が生まれたりして、それが新鮮で揺れるんですよね。『1789―バスティーユの恋人たち―』のときにずっとマリーのことを考えて毎日公演していましたが、毎日違う感情が生まれていました。やっていることは同じなのですが感じるものが全然違って、本当に生きている感覚でした。

――雪組のころってまだ下級生ですよね。それをずっと大切にしてきたから、11年頑張って卒業を迎えられたのでしょうか。

そうかもしれないです。雪組と星組って、カラーが全然違うんですよ。ざっくりとした印象としては、繊細な雪組とすごく華やかな星組。最初から星組に配属されていたら、私の場合は勢いにまかせて進んでしまったと思うんです。でも雪組を経たことで心の機微にも目を向けることができるようになったのかも。宝塚歌劇団には一度しか入れないのに、2つの組を経験できたことってすごくいいですよね。1回で二度おいしい(笑)。私はたぶんひとつのところにとどまれないんですよ。一生、変化や進化を続けていきたいなと思っています。
最後に「すごい語っちゃった」と有沙さん。心の美を大切にしていることが、すべての美につながっているように思います。

有沙 瞳
ありさ・ひとみ/元宝塚歌劇団星組娘役。

2012年に98期生娘役として入団、組まわりを経て翌年雪組に配属。2014年『一夢庵風流記 前田慶次』で新人公演初ヒロイン後、『銀二貫』でバウホール公演初ヒロイン、『るろうに剣心』で初エトワールを経験した後に星組に組替え。2017年『阿弖流為―ATERUI―』で東上公演初ヒロインを務め、池田泉州銀行のイメージガールに就任。星組でも多くの公演で存在感を示し、2023年8月27日の『1789―バスティーユの恋人たち―』東京公演千秋楽にて退団。10月15日より長良プロダクション所属に。これからの活躍が期待される。
▶︎Instagram:@arisa_hitomi

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撮影/馬場わかな 本人提供 ミルボン提供 MTG提供 文/淡路裕子