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宮藤官九郎さんインタビュー「愚痴に余計なアドバイスはいらない。聞き役に徹しています」

脚本家・監督・俳優 宮藤官九郎さん
くどう かんくろう/ 1970 年、宮城県生まれ。91 年より「大人計画」に参加。テレビドラマ「木更津キャッツアイ」「あまちゃん」「いだてん~東京オリムピック噺~」「不適切にもほどがある!」など話題作の脚本を手がける。作・演出・出演の舞台「ウーマンリブvol.16『主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本』」を11月より東京、大阪で上演予定。宮藤官九郎 – 大人計画 OFFICIAL WEBSITE
さまざまな職業の人たちが
こぼした〈愚痴〉の中に、
思わぬ社会的な問題が
隠れていることがあります
テレビ、映画、舞台の脚本や演出を手がけ、自身も俳優として作品に出演したり、バンド活動をしたりとマルチに活躍する宮藤官九郎さん。今年1月期に放送されたドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)の脚本が大きな話題を呼んだのも記憶に新しいところ。

そんな宮藤さんの原点ともいえるのが、ラジオです。「高校時代は、一リスナーとして熱心にラジオを聴いていましたし、放送作家として最初に仕事をしたのも、ラジオのコント番組でした」。これまで数々のラジオ番組のパーソナリティを担当。現在は、「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」(TBSラジオ)で、さまざまな職業の人の〈愚痴〉を聞いています。
「ラジオが大好きなので、以前はめちゃくちゃ力を入れてしゃべっていたんですけど、この番組で愚痴の聞き役に徹したら、すごくラクだってことに気づいて(笑)。愚痴に余計なアドバイスや提案はいらないじゃないですか」
コールセンターの人、駅員、飲食店の店員……。ただひたすらに愚痴を聞く宮藤さんと匿名ゲストとの軽妙なトークに、思わず吹き出してしまう場面も。その職業の知らなかった苦労を知ることで、世の中の見方も変わってきます。
「ときどき、愚痴の中に社会の構造的な問題が隠れていることがあるんですよね。最近だと、トラックドライバーや障害者ヘルパーのかたの愚痴とか。思いもよらず、そういうまじめな方向に行くときがあります」。

この夏には、これまで聞いてきた愚痴をもとに書き下ろしたオーディオコント「宮藤官九郎が愚痴をコントにさせていただきました」を配信。「たとえば、『居酒屋店員の愚痴』からインスパイアされて書いたコントを先に聴いてもらい、その後に本物の愚痴が聞けたらおもしろいんじゃないか? と思ったのがきっかけです」。
コントといえば、今年11月からは、舞台「主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本」が控えています。「最近はもう、おもしろいとかつまらないとか、新しいとか古いとか、そういう価値観で測られることに疲弊してしまって。見た人が元気になって、免疫力がアップしてくれればそれでいいんじゃないかと(笑)」。
宮藤官九郎さんイチオシ!
コーヒータンブラー

日々のコーヒー生活に欠かせない!
大のコーヒー好きという宮藤さんがタンブラーを購入したのは1 年ほど前。「ホットコーヒーは温かいままだし、アイスコーヒーの氷はずっと溶けない。これはすごいぞと(笑)。タンブラーひとつでここまでご機嫌になれるとは!」。これまで買ってはすぐになくしていたタンブラーですが、俳優・片桐はいりさんにもらった「キネカ大森」※ の〈はいりステッカー〉を貼ってからは一度もなくしたことがないそう。
※東京・JR 大森駅前にある映画館
これに注目!
TBSラジオ「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」毎週金曜21:00~21:30 放送中
オーディオコント「宮藤官九郎が愚痴をコントにさせていただきました」 Audible(オーディブル)で配信中

宮藤官九郎さんからの直筆メッセージ

撮影/馬場わかな 取材・文/太田順子 デザイン/広瀬 匡(FEZ)
·2024年8月現在の情報です。