気になるトピックスを毎日お届け!!

将来の医療費を節約する為今できること。〈見えない負担〉を減らすには?FPに聞く

将来の医療費を抑えるためにいちばん大切なのは、病気を予防し、万が一かかっても早めに気づいて対処すること。早期発見・早期治療は、体への負担も、かかる医療費も軽くしてくれます。

まさに「健康は最大の資産」。ファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんに、家計と体の両方にやさしい医療費を節約する3つのコツを伺いました。

その①「かかりつけ医」を持つ

過剰な検査や薬の処方、複数の医療機関への通院といった無駄な出費を避けるためには、「かかりつけ医」 の存在が大。継続して同じ医師に診てもらうことで、病気の早期発見にもつながります。

また、大学病院や国立病院などの「特定機能病院」を紹介状なしで受診した場合、「選定療養費」 として初診時に7000 円以上( 多くは1万1000 円前後)の追加費用が発生します。

まずはかかりつ け医に相談し、必要に応じて専門機関を紹介してもらうのが、スムーズかつ経済的です。

その②がん検診を定期的に受ける

がんにかかる治療費は、年間50万~100万円が目安です。入院時に個室を希望したり、治療が長引けば交通費などの自己負担額もかさみます。

がんの初期段階は自覚症状がないことが多いため、定期的に検診を受けることが何より重要です。日本のがん検診の受診率は、30~40%というデータも。自治体の無料検診や会社の健康診断などを積極的に活用するようにしましょう。

その③慢性疾患を予防・管理する

生活習慣病をはじめとする慢性疾患は40代以降に発症しやすく、一度かかると完治しにくいのが特徴。1回あたりの医療費は少額でも、それが20年、30年続くことを考えると、家計の大きな負担に。また、生活習慣病が悪化すると脳卒中や心筋梗塞など重大な合併症のリスクも高まります。

気になる症状がある場合はほうっておかないこと。食事、運動、 適正体重の維持が効果的な予防・対策となります。

40代、50代からかかりやすい慢性疾患

●高血圧
定期検査や通院、降圧薬の継続投与で年間数万円の負担になることも。

●脂質異常症(高脂血症)
無症状でも治療が 必要。血液検査・薬代が長期間かかる。

●糖尿病(2型)
進行するとインスリン治療や合併症検査で医療費が高額に。

●骨粗鬆症
女性に多く、50 代以降で急増。検査・通院・注射薬代などで費用がかさむ。

●関節リウマチ
生物学的製剤などの治療薬が高額。年間数十万円になることも。

医療費は目に見えづらい支出ですが、日々の心がけで負担をぐっと軽くできます。体にやさしい選択がそのまま家計を守る力になりますよ。

※2025年7月23日時点の情報です。

教えてくれたのは…
黒田尚子さん

ファイナンシャル・プランナーCFP ® 、1級ファイナンシャルプランニング技能士、CNJ 認定乳がん体験者コーディネーター。2023 年、病気の経済的問題に悩む患者や家族の支援のため「患者家計サポ ート協会」を設立。最新刊は『がんとお金の真実 』 (セールス手帖社保険 FPS 研究所)。

『オレンジページ』2025年9月2日号より)

あわせて読みたい

監修/黒田尚子 イラスト/沼田光太郎 原文/太田順子 文/池田なるみ