さまざまなジャンルで活躍している「あの人」にフィーチャー。今、向き合っていることや日々の暮らしなどについて語っていただきます。 インタビューの記事はこちらもチェック
2024.01.19
パンサー向井慧「4つのラジオ番組のパーソナリティーはハード。肩の力を抜きながら、力を出せる方法を模索中です」
やまざき まり/1967年、東京都生まれ。幼少期を北海道で過ごし、17歳でイタリアへ。フィレンツェの国立アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。97年より漫画家として活動し、『テルマエ・ロマエ』( エンターブレイン)で第3回マンガ大賞・第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。2016年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。『ヴィオラ母さん』(文藝春秋)、『スティーブ・ジョブズ』(講談社)など著書多数。エジプト、シリア、ポルトガル、アメリカを経て、現在はイタリアと日本に拠点を置く。東京造形大学客員教授。Mari Yamazaki Official Site X(Twitter) Instagram
地道に静かに、
燃費の悪い生き方をする人たち。
今も心に残る彼らとの出会いが、
私の世界観を広げてくれました
人間味あふれる人々とのエピソードを絵とエッセイでつづった、著書『扉の向う側』。ここに登場する人たちとの出会いが、ヤマザキマリさんの世界観を広げ、人生をかたどり、想像力を触発して表現活動にも生かされているといいます。文章とたった一枚の絵で、時間も空間も超えて情景を伝える描写力は、漫画家としてもヒット作を世に送り出している彼女の真骨頂。
「私、人間観察眼が強烈なんです。どうしてこの人はこういう行動をとるんだろう? と興味深くて。だから漫画家ができるんだと思う」と話すヤマザキさんは、エッセイ、漫画、肖像画と、そのときどきで表現したいものに適した手段を使い分けてきました。この本でも、さまざまなタッチの絵で目を楽しませてくれます。
「よく『好きな絵を仕事にできていいですね』と言われますが、漫画家なんてつらくて何度やめようと思ったことか(笑)。でも私には合っているから。出さないと消化不良になりそうだから続けているだけ。人間は表現を生命力の糧としている部分もあるので、農家のかたが野菜を作るように、私はメンタルの栄養になるものを生み出す〈メンタル第一次産業〉をつかさどっているんだと思っています」
20〜30年前の詳細な情景もこれまでに記録していたわけではなく、ヤマザキさんの記憶からよみがえったもの。
「大切な思い出は全部、記憶の中。記憶に勝るものは記録できないから、日記もつけてないし、息子の子どものころの写真もほとんど撮っていない(笑)。この本に登場する人物についても文章にしようと思ったことは一度もありません。でも、記憶に残り続けてきたことだから、形にしてみたいと思ったのでしょうね」。
雑誌『ku:nel』に連載中の人気エッセイから28 編を収録。「これは私がこれまでに出会ってきた人たちのカタログ本。なかでも強烈に印象に残っている人たちの記憶を描いています」と語るヤマザキさんが、これまでの人生で偶然出会ってきた人たちや家族……時空を超えて心に刻まれている人々の人間ドラマを味わって。
(『オレンジページ』2024年1月2日号より)
撮影/馬場わかな 取材・文/高丸昌子
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