子どもを支配することが自分の存在意義に子どもを自分の思いどおりにしたい。このように思う母親の心理的な背景には、「自立心のなさ」が潜んでいることが多くあります。
自分の生き方に自信がなく、子どもが離れていくのが怖くて寂しい。だから、自分の思いどおりにさせて縛ろうとしてしまうんですね。また、自分がやりたかったけどできなかったことなど、自分の理想を子どもに押しつけることで、自己実現を図ろうとしている場合もあるでしょう。
このような母親は、世間では「毒親」などと呼ばれることもあるようですが、本人にはまったく自覚はありません。むしろ「いいことをしている」と思っています。いやがるのをわかって口出ししたり、ケチをつけたりするのも、子どもと離れたくない、からんでいたいという無意識からの行動なんですね。
子どものほうも、
小さいころから「自己主張すると否定される」ことを繰り返しているので、母親が望む自分でないことに、罪悪感を感じる心ができてしまっているのです。
「母親と自分は、違う存在」と念じてこのような母親との関係性を変えていくには、2つのステップが必要です。
まずは、心の中で「自分と母親を分ける」作業を行います。つまり、「自分と母親は違う人間だから、考えが違うのは当たり前だ」と強く心に念じるのです。すると罪悪感が薄れ、ラクな気持ちになれます。
次に、
母親が口を出してきたときのコミュニケーションを変えていきます。ポイントは、「共感」と「自己主張」をセットにすること。たとえば、考えを押しつけてきたときは、「お母さんはそう思うんだね」(共感)、「でも、私はこう思うんだ」(自己主張)というように言ってみましょう。「自分の言うことも認められた」と感じた母親は、自分に自信を持つようになります。
このような会話を積み重ねていくことで、母親の自立心が育ちます。そして、「子どもを認める生き方」を学んでいくのです。もちろん急にはむずかしいので、気長に少しずつ、ですよ!