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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.82】「PLAY 25年分のラストシーン」

2020.11.05


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
先日90年代の洋画をリバイバル上映で見る機会があり、とっても懐かしい気分に。過ぎ去ったものって、なんでキラキラしているんだろう。嬉しいとも悲しいとも違う、その中間のようなそうでもないような、不思議な気持ちになりませんか。
今回の『PLAY 25年分のラストシーン』は、まさに懐かしいのオンパレード。90年代~2010年代を追ったドキュメンタリーテイストの映画は、世代を問わず共感するところがあり、見終わったあとにふと人生を見つめ直したくなる、そんな作品です。


この映画を見る前に思い出したのが、数年前にヒットした『6才のボクが、大人になるまで。』というアメリカの作品。1人の少年の人生を12年間、同じキャスト(!)で撮り続けたその壮大なプロジェクトが話題になりました。
今回もその手法か(二番煎じか)と思っていたら、なんと逆でした。 逆というのは、まるで同一人物の25年を追ったように、10代~30代それぞれを演じる俳優を探し出したということ。違和感、まったくありません。
13歳のときにビデオカメラを両親から与えられ、その日から日々のなにげない1シーンを撮り続けてきたマックス(マックス・ブーブリル)。38歳になり、公私ともにイマイチな生活の中ふと思いついたのが、「25年分のビデオをつなぎ合わせて、そのラストシーンを撮る」というアイディアでした。
そこに映し出されるのは、両親と姉、そして親友や幼なじみとのささやかでかけがえのない日々。マックスの人生とともに、時間旅行が始まります。


1998年、自国開催でのサッカーワールドカップ、フランスチーム優勝。ミレニアムのカウントダウン。同世代の自分としては、マックス本人になったような気分で当時を思い出しながら見ていました。とはいえ、この映画の目的は同世代の人だけに「あー懐かしい!」」と共感を覚えてもらうことではありません。
例えばお母さんお手製のヨーグルトケーキ、例えば友人同士のHな会話、例えば幼なじみを初めて異性として意識した日etc. マックスが撮りためてきたフィルムに映っているのは、世代は違えどだれの人生にもあるはずの、キラキラした日々の破片。みじめで気まずくて、忘れたい瞬間もたくさんあるのに、過去を振り返るとウルっとくるのはなぜなんでしょう。嬉しかったこと、楽しかったこと。それ以上にふりかかる悲しい出来事や辛い経験。その積み重ねで今の自分が存在している、その事実に圧倒されてしまうからかもしれません。


それにしても主人公のマックスは、かなりのこじらせ男子。幼なじみのエマ(アリス・イザーズ)に25年も思いを打ち明けられないって! 本当にフランス人なのかっていう。日本人ならわかるけれど(笑)。そういう意味で、ちょっと男子のロマンスが入った作品かもしれません。
マックスが25年分の「ラストシーン」に選んだ出来事は、終わりではなく新たなスタート地点。過去をただ懐かしむのはではなく振り返ることで、これからの人生を前向きに歩いて行ける。そんな力強いメッセージが込められています。


「PLAY 25年分のラストシーン」 11/6(⾦) 新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、kino cinéma ⽴川髙島屋S.C.館ほか全国順次公開
配給︓シンカ/アニモプロデュース
©2018 CHAPTER 2 - MOONSHAKER II - MARS FILMS
- FRANCE 2 CINÉMA - CHEZ WAM - LES PRODUCTIONS DU
CHAMP POIRIER/ PHOTOS THIBALUT GRABHERR


【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和 


次回11/13(金)は「エイブのキッチンストーリー」です。お楽しみに!

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