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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.30】「アダムズ・アップル」

2019.10.24


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
この前久々に『かもめ食堂』を見てほっこりしました。
やっぱり北欧は癒されますねー。さすが幸福度ランキングの上位国ばかりですねー。

そんな、幸せの国の代名詞とも言える北欧・デンマークから届いた『アダムズ・アップル』を今回は紹介します。
癒し溢れるヒューマンドラマで、心穏やかに生きるヒントを教えてくれますよ。と言いたかったのですが、全然予想と違いました。
教会を舞台に繰り広げられるドタバタ&ブラックなコメディは、日本人が持つ穏やかな北欧のイメージとは正反対。
最後まで予想のつかない展開で、ラストも「これでいいのか?」な終わり方。なかなかの怪&良作なのでした。


『かもめ食堂』を知らない方のために。
小林聡美さん演じる主人公が見知らぬ地でカフェを開き、そこで色々な事情を持った人たちと出会って、ささやかながら幸せな人生を再発見するんですよね。
考えてみたら『かもめ食堂』は、同じ北欧でもフィンランドでした。しかもフィンランドを舞台にした日本映画でした。
思い込みって怖いですね。

この『アップル・アダムズ』も冒頭はそんな雰囲気なんですけどね~。
ネオナチ思想に染まったアダム(ウルリッヒ・トムセン)が更生プログラムのために教会に送り込まれ、彼を迎える牧師さんがイヴァン(マッツ・ミケルセン)。
映画好きの方はご存じだと思いますが、マッツ・ミケルセンさんは「北欧の至宝」と呼ばれる大人気俳優。
「マッツ」と「マツコ」はちょっと似ているので、いつも勝手に親近感を覚えているのです。
そんなマッツさん演じる牧師が、ならず者のアダムを優しく更生させていくんだろうなあと思っていたのですが……。


更生していくにあたり、アダムに何か目標を持たせようとするイヴァン。ここはマトモですな。
それに対し、テキトーに「アップルケーキを作る」と答えるアダム。教会の庭にはりんごの実が生っているのです。
数日過ごすうちに、アダムはだんだんとイヴァンがおかしいことに気が付いていきます。
彼と同じく更生プログラムに参加するも、まったく改善の兆しが見えない2人の前科者に対し、イヴァンは特に咎めるをしません。
またある日のこと、身ごもった女性が教会を訪れ、生まれてくる子どもが抱える問題についてイヴァンに相談すると、彼は自分の息子のエピソードを話して彼女を安心させる。
だけど、後日現れたイヴァンの息子は説明と全然違う……。ここはネタバレになっちゃうので詳細は避けますが。

アダムはイヴァンの周りの人間から彼に関する情報を集め、その悲惨な過去を知ることに。
イヴァンは不幸を背負いすぎて、現実に目を向けることができなくなっていたのです。


イケメンの俳優さんがぶっ飛んだキャラクターを演じて、ピタッとハマることがありますね。
この作品のマッツ・ミケルセンが、まさにそれ。
マトモに見えて、りんごの木を荒らすカラスを撃ち殺しても「良いアイディアだ」と言ったり、
間違って顔を撃たれても奇跡的に助かったり、なぜか私服では常にハーパンだったり(笑)。
顔に大怪我を負ってもマッツはイケメンです。

この映画、タイトルや登場人物の名前、そして教会という舞台からも明らかですが、宗教的テーマがちりばめられています。
もう少し具体的に言うと、「不幸や苦しみとどう向き合うか」「人はやり直すことができるのか」そんなところでしょうか。
僕はイヴァンのキャラと予想のつかないストーリーをシンプルに楽しみましたが、少しキリスト教や聖書の知識があるとさらに面白いかもしれません。
アダム×りんごの木という組み合わせだけでも色々と想起させますよね。


アダムを更生させるはずだったイヴァンですが、次第にアイデンティティが崩壊し、いつの間にかアダムがイヴァンの再生をサポートする立場に。いったいどう終着するのか……。

この映画、実は2005年製作のもの。
北欧の映画を紹介する「トーキョーノーザンライツフェスティバル2017」などで上映され、絶大な支持を得て遂に劇場公開へ。
14年前の作品なんですね、確かにイケメンマッツがだいぶ若い。
世界幸福度ランキングで常に上位を占める北欧諸国。そのイメージを良い意味で覆す極上のブラックコメディです。
「ここ笑っていいのかな」と思う場面が何度もありますが、楽しんじゃっていいんです!
アダムは結局アップルケーキを作るのか? そこにも注目してくださいね。


「アダムズ・アップル」  新宿シネマカリテで公開後、全国順次公開
配給・宣伝:アダムズ・アップルLLP
©2005  M&M Adams Apples ApS.


【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回11/1(金)は「人生、ただいま修行中」です。お楽しみに!

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