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先生は、山の自然と動物たち。子どもの笑顔がはじける、青空保育園

山の斜面に広がる牧場や畑が、まるごと全部、子どもたちの学びや。島根県・津和野町の山あい、左鐙(さぶみ)地区の京村牧場にある「山のこども園うしのしっぽ」では、日々、動物の世話をしたり野菜を収穫したりと自然の中で体を動かしながら、命をはぐくむこと、食べることの大切さを体験する保育が行われています。

子どもたちの一日は、牛のミルク作りから始まります。1頭分ごとに粉ミルクをバケツに入れ、お湯で溶いて、という動作も手慣れたもの。牛の世話を終えたら山へ散歩に出かけ、畑に寄ってお昼ごはん用の野菜を収穫します。「今年4月に開園して約半年。初めは牛を怖がっていた子どもたちも、すっかりたくましくなりました」と、代表の京村まゆみさん。「今では、畑のトマトから熟しておいしくなった実を選ぶこともできるなど、子どもたちの成長ぶりは目をみはるほど。通っているのは未就学の2~4歳児。ふだんは4人ほどで、近隣の保育園児が加わることもあります」。

散歩の途中でも、すいば(根元に酸味がある野草)やブルーベリーを見つけては、足を止めておやつタイム。どの植物が食べられて、おいしいかということを、みんなよく知っています。

畑から戻ったら、お昼ごはんを作るお手伝い。隣に大人がついているとはいえ、小さな手で上手に包丁を扱う様子はじつに見事! 「山を駆け回って過ごすことで、バランス感覚や反射神経が磨かれ、手や体の使い方がうまくなります」と京村さん。今後は、少しずつ園の規模を広げ、津和野で子育てをすることの魅力を全国へ発信していきたいそう。

ほかにも、牧場を開放して左鐙内外の子どもたちに農業体験を提供する「さぶみ牧童探検隊」を主宰する京村さん。ここで出会うさまざまな体験は、子どもたちの土台となり、豊かな人生へと導いてくれるにちがいありません。


撮影/柿崎真子 取材・文/本城さつき イラスト(ロゴ)/コダシマ アコ

一日のスタートは、子牛や豚のお世話から。

今日のごはんはなーに?

牛や豚のお世話から一日がスタート。まずは1頭ずつ名前で呼び、元気かどうかを確認。その後、子牛にやるミルクを作ったり、えさを配ったり、牛舎を掃除したりと、てきぱきと作業を進めます。その手際のよさはお見事!

山を散策しながら、野菜の収穫。

トマト、甘くておいしいね!

お楽しみの日課は山の散歩。きれいな花や珍しい虫を見るたび、みんな立ち止まって大騒ぎ! 野いちごやくわの実、びわなどの果実は、見つけたら、その場でパクリ! 畑に寄って野菜をたっぷり収穫したら、山の上の小屋をめざしてもうひと頑張りです。

お手伝いの後は、お待ちかねのお昼ごはん!

嫌いだった野菜も食べられるようになったよ!

今日のメニューは、牛肉と野菜の炒めもの、夏野菜の揚げびたし、モロヘイヤのあえものと、かまどで炊いた玄米ご飯。肉も野菜も米も全部、牧場でとれたもの。ちょっと苦いピーマンも、堅い玄米も、子どもたちは「おいしい!」とペロリ。