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「買い物が辛くてスーパーで泣きました」真野恵里菜さんが『ハロプロ魂』を発揮して料理上手になるまで

超能力者や腹黒い学園のアイドル、ヤンママや受付嬢……。そんな幅広い役柄をこなし、確かな印象を残している女優の真野恵里菜さん。プロサッカー選手の柴崎岳さんと結婚し、スペインでの暮らしは5年目を迎えます。
自身のブログやInstagramでは、彩りよくバランスがとれた料理投稿が大人気。

オレンジページnetでは、2023年3月より、日々の料理や、スペインでの外食などを綴る連載、真野恵里菜の「ふたりごはん日記」in Spainがスタートします!

と、その前に、遠く離れたスペインとオンラインでつなぎ、インタビューを敢行。2回にわたってみなさんにお届けします。

真野さんインタビュー時オフショット
スペインからオンラインでインタビューに答えてくれた真野さん

じつは真野さん、結婚するまで料理は苦手だったとか。どんな気持ちで毎日料理に向き合い、どのようにして今のスキルを身につけたのか、じっくりお話をお聞きしました。

「料理」という言葉を聞くと、頭が痛くなるくらい苦手でした

――真野さんのインスタグラムを拝見すると、品数の多さに驚かされます。お料理はいつごろから始めたのですか?

 結婚を機に、いろいろと作るようになりました。夫と出会ってから、調味料を買いそろえたというレベルなんです。

17歳から一人暮らしをしていましたが、コンビニで買ったり、ファストフードをテイクアウトしたり……とてもお見せできるような食生活ではなかったです。

「料理」という言葉を聞くと、頭が痛くなるくらい苦手でした。もしも将来、結婚しても、料理に力を注ぐことはできないし、仕事をするうえで食事が大事な人と結婚するなんて避けたいと思っていたほどです。人生って何が起こるかわからないですね(笑)。

――柴崎選手とご結婚されて、そこから少しずつ始めたということなんですね。どういう気持ちの変化があったのでしょうか?

夫と話していて、アスリートがどういうものかを知って、初めて「だれかのためにがんばりたい」と思えたんです。
そういう気持ちを持てたことが大きかったのかもしれません。彼ががんばるための糧の一つになれるなら、苦手なこともやってみよう、と。

選手のなかには、栄養士さんや調理師さんを雇ってプランニングしてもらうというかたもいらっしゃいます。ただ、私たちにとって、自宅はプライベートな空間なので、人がいると落ち着かなくなるかもしれないし、どう感じるかわからないな、と。

だから、ひとまず自分でできるかぎりやってみようと思ったんです。

豊富な品数が印象的な真野さん作の夕食 Instagramより

–{「ハロプロ魂」でアスリートフードマイスターの資格を取得}–

がんばれたのは「ハロプロ魂」。料理ギライから一転、アスリートフードマイスターの資格を取得

――そこから、いろいろと料理の勉強していったんですね。アスリートフードマイスターの資格を取られたのも、すばらしいと思いました。そもそも「自分でやってみよう」と考えられること自体がすごいな、と。

「ハロプロ魂」ですね(笑)。アイドル時代から、まずはとことんまで自分でやれることをやってきました。

 歌もダンスもとにかくやってみて、できるかぎり枠を広げてから、少しずつ減らしたり選んだりするという教えだったんです。そうしないと成長できないから、と。料理も同じだと思って、まずはやってみてから考えるようにしています。 

ただ、自分のことは後回しにするタイプなんです。ドラマの台本もぎりぎりになってやっと覚えられる。心のどこかで「なんとかなるだろう」と思う部分もあったかもしれません。
それが、自分以外の「だれかのため」だったら、そういうわけにはいかないなと思いましたし、とことんまでやってみようと資格も取ったんです。

じつは、ないしょで勉強したんですよ。まわりに言っちゃうとプレッシャーになっちゃうと思って。
見えないところでコツコツやって、結果が出たら評価してもらえたらいい。これも「ハロプロ魂」かもしれませんね(笑)。

真野恵里菜さん

 ――ハロプロ魂、すばらしいですね。実際に資格の勉強をしてみて、どうでしたか? 

もともと、暗記ものは得意なんです。こういう栄養には、こんな作用があると覚えるのは楽しかったですし、知識が増えていく感覚を実感できました。

ただ、知識があれば、料理スキルが上がるわけじゃないんですよね。こういうものを食べたほうがいいとはわかっていても、それを作れるスキルはすぐには身につかない。料理は、回数をこなすしかないんだと気がつきました。

――そこから、ほぼ毎日お料理をしているんですね。どうやってここまでの品数を作れるようになっていったのか、すごく知りたいです。献立は、どのように決めているんですか?

まずは、主菜から決めることが多いですね。

「たんぱく質をしっかりとれるように鶏肉料理」「練習がハードだったから、疲労回復で豚肉料理」「血肉をしっかりつくれるように牛肉料理」という感じで、同じものが続かないようにしています。

 スマホのメモ機能に、主菜を4〜5品書き出して、味つけかぶらないように副菜を考えていっています。
で、冷蔵庫を確認して、たりないものを買いにいって。段取りも考えて、スムーズに調理できるようにがんばっている状態です。

真野スマホメモ
真野さんのスマホ内の料理メモ

スマホの料理メモは、4、5年前からつけているのですが、最初のころは、自分で見るのも恥ずかしいくらいの料理を作っていました。それもメモには残っていますし、SNSにもアップしたままです。

当時は、厳しいコメントをいただくことも多かったんですが、それを読みながら「成長するしかない。もっと上手になりたい」と思って。厳しいお言葉のおかげでがんばれたと思います。
–{慣れないスペインでの料理奮闘記}–

慣れない場所だし、言葉もわからないし。いっぱいいっぱいになって、スーパーで泣きました(笑)

――苦手な料理で、なおかつそれをスペインでやらなければいけないというのは、大変だったと思うんです。

最初のころ、苦労したのは言葉でした。スーパーに行くとスペイン語表記しかなくて、まったくわからない状態だったんです。

話そうと思っても、英語じゃなくてスペイン語だけ。スペイン語って巻き舌が多いし、早口だから聞き取りもできなくて。たとえば、お肉を買うにも、どの部位にするか、どうやって切ってもらうか、全部スペイン語でのやりとりになるんです。

ただでさえ、料理ができないのに、難易度が高すぎて、何を作ったらいいのかわからなくなっちゃいました。英語でなんとかなるかもと思ってた自分が悪いんですけど。

――うわー、それは大変ですね。日本のように切られた肉がパックに入っていて選べればいいですけど……。

そうなんです。それで、ちょっとでも作るもののヒントにしたいと思って、夫に「何食べたい?」ってきいたら「なんでもいいよ」って。料理ができない私への配慮だったと思うんです。何を作れるかもわからないだろうし。でも、当時の私は、試されている気がしてしまって。

何をどう買ったらいいかもわからない、何を作ったらいいかも思いつかない。慣れない場所だし、言葉もわからないし、いっぱいいっぱいになってしまって。スーパーで泣きました(笑)。

真野恵里菜さん
 ――不安なことが重なってしまったんですね。選手の食事というプレッシャーも感じていたかもしれないですし。

恥ずかしいことなんですけどね。でも、そこで感情を出せたことがよかったんだなと思っていて。気が楽になったんです。家族なんだから、恥ずかしいことやダメな部分を見せてもいいんだ、と。

それ以来「こんなもの作ってみようか?」「こんな料理はどう?」と相談しながらできるようになったので、ダメな自分を早くに解放できてよかったなと思っています。

――味方がいてくれるというのは大きいと思いますし、そもそも真野さん自身が、とても努力家なんだろうなと感じます。

なんだかんだ、困難を楽しめるタイプなのかもしれません。試されているなと感じると、がんばろうと思える。隣にもっと努力している人がいるからできるんだと思います。

それに、極端な話ですが、日本と違うといっても、人が住んでいて生活しているんだから、私にだってできるはずだと思って。私だって、ここの食材を買って、和食を作ってやるぞ! って。

今では、巻き舌でガンガン話しかけられても「ちょっと待って」って言えるようになりましたし、我を通せるようになりました。

 薄切り肉が欲しいときに「これくらい?」ってきかれても「もっと薄く!」って粘っています(笑)。よく行くスーパーでは、もう慣れていて「薄切りでしょ?」っておじさんに言われるくらい認知されるようになりました。お魚も、頭はいるか、皮は取るかときいてくれるからありがたいんですよね。

お肉もお魚も新鮮で、この子が元気そうだなって自分の目で見て選んで、やりとりして買えるのでいいなぁと思っています。

インタビュー後編はこちら


真野恵里菜(まの・えりな)

1991年4月11日生まれ、神奈川県出身。B型。2006年、ハロー!プロジェクトのメンバーに加入し、アイドル、歌手、俳優として活動。13年のハロー!プロジェクト卒業後は、主に俳優として活躍。18年プロサッカー選手・柴崎岳との結婚を発表し、同年、スペインに拠点を移す。

写真/本人提供 文/晴山香織