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【教育資金の悩み】返さなくていい奨学金があるってホント?給付型奨学金の仕組みとは

教育費のなかでもっとも費用がかかる大学の学費。授業料も年々増額傾向にあり、今回は、教育にまつわる「補助金」「助成金」「給付金」「還付金」など、申請すればもらえるお金の制度を、プロである丸山晴美さんに教わりました。ぜひ、知っておきましょう。

高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付奨学金)

大学・短期大学、高等専門学校、専門学校への進学をめざす人に、返済不要の「給付型奨学金」と「授業料・入学金の免除または減額」の2つの側面から支援。これまで対象となるのは世帯年収380万円程度までの世帯でしたが、2024年度からは多子世帯※と私立の理工農系学部に進学する学生まで対象を拡大し、世帯年収の上限を600万円程度まで引き上げました。従来の奨学金からの切り替えや、他の奨学金制度との併用も可能。
※扶養する子どもが3人以上の世帯

企業財団による給付型奨学金

民間企業財団による奨学金制度も数多く存在します。近年は、理系学生、なかでも女性のエンジニアやIT人材を増やすべく、支援を行う財団が増加。所得による制限がない場合も多く、幅広い層にチャンスあり。

公益財団法人 キーエンス財団
大学新1 年生対象。募集人数700名程度、学業成績や世帯年収、専攻学部の制限はなし。月額10万円を4年間給付。

一般財団法人 トヨタ女性技術者育成基金
募集人数150名、将来エンジニアをめざす理工学系を専攻する女子学生が対象。基金支援企業に入社した場合、返済は全額免除。

公益財団法人 似鳥(ニトリ)国際奨学財団
採用人数最大450名、うち最大80名は、理工・情報系に在籍する大学生から採用。月額5万~8 万円を給付。世帯年収900万円以下が目安。成績条件あり。

塾代助成事業

学費以外に家計を圧迫しがちなのが塾代。一部の地方自治体では助成金・補助金制度を実施しています。

東京都受験生チャレンジ支援貸付事業
【対象】東京都在住の中3、高3など、高校、大学進学をめざす人
【支援内容】一定所得以下の世帯に、上限30万円の学習塾等受講料を無利子で貸し付け。対象の高校・大学等に入学した場合、返済は免除。

大阪市習い事・塾代助成事業
【対象】大阪市在住のすべての小学5 年生~中学3年生
【支援内容】月額1万円を上限に、登録されている学校外教育の費用を助成。

つくば市子どもの学習塾代助成金事業
【対象】つくば市内の中学1年生~3年生または義務教育学校に在籍する7 年生~ 9 年生の保護者
【支援内容】一定所得以下の世帯に4月から2月まで(最大11カ月分)の学習塾へ支払った授業料を対象に月額5000円を上限に助成。

現在、大学生の31.9%が奨学金を利用※している時代。「とくに返さなくてもいい奨学金=給付型奨学金に注目です」と丸山先生。「給付型奨学金」とは、卒業後に返還する「貸与型奨学金」と違い、返済する義務のない奨学金のこと。返済不要というメリットがあるぶん、世帯年収や学業成績、対象となる大学・学部などの条件があるので、高校生のうちから情報を入手して準備をしておくことが大切ですよ。
※日本学生支援機構「令和5年度 学生生活調査」より

※2025年5月9日の情報です。
※利用条件や申請方法については国や各自治体のホームページ、役所の担当窓口、在籍する学校、ハローワーク等に確認してください。

教えてくれたのは……丸山晴美さん

節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー。所持資格は宅地建物取引士(登録)、消費生活アドバイザー、調理師など。メディアや講演活動などを通じてお金にまつわるアドバイスを提供。『年間100万円! がんばらなくても貯まるお金の習慣』(宝島社)ほか著書多数。

『オレンジページ』2025年6月17日号より)

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監修/丸山晴美 原文/太田順子 イラスト/沼田光太郎 構成/編集部・鎌形