
「なんとなく放置」は命取り。血液検査「あの数値」が高かったら気を付ける脂質異常症とは?

久しぶりに健康診断を受けたら、後日届いた血液検査の結果にびっくり。「コレステロールや中性脂肪の値が、いつの間にこんなに……?」更年期を迎える女性や、働き盛りの中年男性にとって、そんな経験はめずらしくありません。
けれども、痛みや自覚症状がないために、病院に行くこともなく、食事や生活習慣をそのままにしている人も多いようです。
しかし、そのなんとなくの放置が、病気を招くおそれも。今回は、「脂質異常症」について、専門医・寺本民生先生に教えていただきました。
「脂質異常症」ってなに?
「脂質異常症」は、以前は「高脂血症」と呼ばれていた病気です。
しかし現在では、コレステロールや中性脂肪の〈増えすぎ〉だけでなく、〈少なすぎ〉も問題とされるようになり、より正確な表現として「脂質異常症」という名称が使われるようになりました。
日本人の3人に1人が「脂質異常症」
コレステロールや中性脂肪は、血液中に存在する脂質の一種。体にとって必要な成分ですが、数値が基準値を超えたり下回ったりすると、「脂質異常症」と診断されます。
「脂質異常症は、放置すると動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの深刻な病気につながることもあります」と語るのは、動脈硬化に詳しい内科医の寺本民生先生。
実際、日本人の約3人に1人が脂質異常症に該当するといわれていますが、自覚症状がないのが怖いところです。
こんな人は「脂質異常症」かも?

〈脂質異常症診断基準〉
□お腹まわりに脂肪がついている
□毎日のようにお酒を飲む
□甘いものが大好き
□肉の脂身が大好き
□家でごろごろしがち
□慢性的な睡眠不足
□ストレスを強く感じている
□閉経(50 歳前後)以降の女性
□中年(40 代以上)男性
脂質異常症の原因は、遺伝性のものから、加齢、食べすぎや運動不足(不活動)、睡眠不足などの生活習慣の乱れまでさまざまです。
気になる数値がある方はもちろん、ちょっとした生活習慣に心あたりがあるなら、一度医師に相談してみるのもひとつの方法。早めの気づきと日々の小さな意識が、これからの健康につながっていきますよ。
監修/寺本民生 イラスト/ナカオテッペイ 文/池田なるみ