料理家サルボ恭子さんの仕事場は、機能的で使いやすいキッチン。シンプルさの中にもワクワクが散りばめられているところは、サルボさんの料理にも通じるところがあります。
自由なアイテム使いや、
スムーズな動線づくりの工夫など、アイディがいっぱい! さらに、必要なものが整然と並んですっきりとしていながら、優しい温もりが感じられる空間をつくるためのヒントを伺いました。
元気をくれるグリーンを各コーナーに
キッチンカウンターとサブの冷蔵庫の上には、ハート形をした葉が愛らしい多肉植物「ホヤ・カーリー」をディスプレイ。天井に向かってのびのびと、気持ちよさそうにツルを伸ばしている姿がなんともチャーミングです。
モノトーンの鋳物鍋を収納している黒いDJラックと、無機質になりがちなエアコンのそばに飾っているのは、元気な「シュガーバイン」。
いきいきと葉が茂った姿が、キッチンに活力と心地の良い雰囲気を加えてくれます。
天然素材のかごは、キッチンと相性抜群
冷蔵庫の上のスペースは、ふだん使わない、軽い調理道具をしまっておくのに最適。「もとは鉢カバーだった籐のかごに、蒸籠(セイロ)などをしまって冷蔵庫にのせています」。
天然素材のかごはグリーンにもマッチし、通気性も良くて一石二鳥です。
キッチンクロスの収納にも、通気性に優れて運びやすい天然素材のかごが大活躍。
実用と癒しを兼ねた、簡単DIYの本棚
サルボさんの数々の著書や、各国料理の資料などが並ぶキッチンカウンター脇のコーナー。
「夫は、DIYに親しんでいる人が多いフランス出身。とはいえ、彼はほとんどDIYをしないんですけど、この本棚は作ってくれたんです」
積み上げたレンガに板を渡した即席の本棚は、本やファイルに合わせて棚板の間隔を調節でき、模様替えや引越しの際にもすぐバラせるので実用的! なかなか見かけない、がっしりとした味わい深い板は「喫茶店を開いていた親戚から、店を閉店する際に譲り受けたもの」だそう。
ニョキッと生えているように、ひっそりときのこのオブジェを置いたり、小さなかぼちゃとくるみを盛り合わせたかごを飾ったりと、ほっとなごめるアクセントも本棚に添えられています。
料理を彩る、とっておきの器
サルボさんにとって、「
器はあくまでも料理を盛るための道具で、主役は料理」。普段はシンプルな白い器を使うことが多いですが、撮影場所としても使っているこのキッチンでは、模様や色のある器が必要になることも。
今回は、特別に、お気に入りの3枚を見せていただきました。
「上は、フランスで使われるアスパラ専用のもので、くぼみはソースを盛るスペース。春を告げる代表的な野菜を、特別な器で食べる習慣って素敵ですね。よく見かけるのはアスパラの絵をペイントしたものですが、これは白なので素材の色がいっそう映えます」
左下はイギリスのヴィンテージで、陶器作家スージー・クーパーの作品。「リムに温もりのある色みがあり、盛るお料理をイメージしやすいんです。
右下もイギリス生まれ、ウェッジウッド製のヴィンテージ。白でありながら、リムに施されたぶどう柄のレリーフが、品よく華やかさを演出してくれるところが気に入っています」
老舗旅館に生まれ、フランス有数の一流レストランで研鑽を積んだ経験もあるサルボさん。また、「料理が上手で器が好きだった祖母と母、また、骨董を集めていた祖父、料理の道の師匠である叔母など、身内からの影響も大いに受けてきました」
人々に長く愛されてきたものと新しいものの便利さが融合し、食材や植物など自然への敬意も加わって、サルボさんの心地よいキッチンをつくり出しています。
今後は、対面での料理教室も続けつつ、インターネットを活用したワークショップなど、新しい企画もスタートさせるそう!
「切り方を変えてみたり、知らなかった素材を取り入れてみたり。
ほんの少しの工夫で味わえる、家庭料理ならではのおいしさと楽しさを伝えていくことができたら幸せです。
これまでに発表してきたレシピを新たに見つめ直し、今の時代にあった内容に再構築して、レシピも人との関係も〈熟成〉させていきたいと思っています」
サルボ恭子さん
料理家。フランス語教室を主宰する夫とシェアをするアトリエで料理教室やイベントを開催するほか、雑誌や書籍、テレビなどで幅広く活躍中。『ストウブでフランス家庭料理の極上煮込み』(Gakken)など著書多数。この春、オンラインとリアルを融合させた待望のサロンをスタート予定。サルボさんのInstagramを要チェック!
@kyokosalbot
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