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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.137】『コーダ あいのうた』

2022.01.21


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。新型コロナウィルスの影響でなかなか海外に行けない状況が続くこともあって、海外の新作映画がこうやってみられるのはとてもうれしいこと。コロナに限らずいろいろな場所で分断が起きている中、ひょいとその垣根を飛び越えてくれるのが、料理や映画などのカルチャーなのかもしれません。
今作は、内容もまた人と人を結びつけてくれるもので、キラキラとした希望を感じさせてくれる映画。家族の中でただ一人「健聴者」として生きる少女の優しさや葛藤がぎゅぎゅっと詰まったストーリーは、素晴らしい音楽とともに心にじんわりと染み入るはずです。


凛とした雰囲気を漂わせる彼女は、仲間外れというわけではなく、高校の同級生とは少し距離を置いています。それは、家庭の事情で急速に大人になることを求められた若者の宿命なのかもしれません。
コーダ=CODAとは、Child of Deaf Adultsの略で、ろうあの親を持つ子どもという意味。高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、耳の聞こえない両親と兄の通訳係として、忙しい毎日を送っています。早朝から船に乗り、父フランク(トロイ・コッツァ―)と兄のレオ(ダニエル・デュラント)が営む漁業を手伝っているのです。ろうあの3人は声を出さないぶん手話で思いを伝えるので、音こそ出ないものの、ルビーを交えた彼らの会話はとってもにぎやか。兄と妹が互いに「ボケなす兄貴」「プッツン娘」とふざけて言い合える、そんな家族です。
ふだん家族には言っていないものの、じつは歌うことが大好きなルビー。高校でちょっと憧れているマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ビーロ)が合唱部に入ると知り、すかさず入部を決意します。たちまち顧問の先生がルビーの才能に気付き、有名な音楽大学への入学をすすめてくれるのですが、それは家族と離れるということを意味するのであって……。


今まで家族を支えてきたという自負と、自分の夢を理解してもらえないやるせなさ。自分だけが障害を持っていないという特殊な状況による孤独感を、ルビーはずっと抱えてきたのです。「いつも3人一緒で私だけ別だった」と母親のマーリー(ジャッキー・ロッシ)に話す場面が切なくって。
この映画、歌が大きなテーマではあるんですが、歌のシーンはそこまで多くなく厳選されているのがよかったです。デュエットを組むように言われたルビーとマイルズが背中合わせで歌うシーンや、お父さんに頼まれてルビーが歌うところなど、まるで話しかけるような、気持ちがこもった歌い方なんですよね。抑えていた感情を表現する彼女の歌声は、切なくも力強さに溢れているのです。特に、音楽学校の入試で手話を用いながら歌う場面は、その歌詞もあいまって一番印象に残りました。


耳の聞こえる人と、聞こえない人。その差は大きいのかもしれないけど、いろいろな方法で同じ「音」を一緒に感じることができると、この作品は教えてくれます。その気づきは、人生をもっと豊かにしてくれるような気がするのです。


コーダ あいのうた』1/21(金)全国公開
配給:ギャガ
© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

文/編集部・小松正和

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