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【編集マツコの、週末には映画を。Vol.125】『スウィート・シング』

2021.10.22


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。朝のコーヒーがいつもより上手にいれられたり、友人や同僚とのランチ(それがファストフードでも)で話が弾んだり、料理を作った相手が喜んでくれたり。そんなささいなことで、その日は幸せだったと思えますよね。
この映画も、人生のささやかな幸せを感じさせてくれます。自身の作品が日本で公開されるのは実に25年ぶりという、アレクサンダー・ロックウェル監督手掛ける『スィート・シング』。子ども時代のきらめき、そして大人と対峙する痛みをやさしいまなざしで描いています。


クリスマスは家族が集う大切な日。15歳のビリー(ラナ・ロックウェル)は、父アダム(ウィル・パットン)には部屋履きを、11歳の弟ニコ(ニコ・ロックウェル)にはおもちゃのマシンガンをプレゼント。父からウクレレをプレゼントされたビリーは、幸せ気分です。その場にいてほしい母イブ(カリン・パーソンズ)は、家を出て新しい恋人の元へ。それ以来父は酒びたりになってしまっていて……。
その家庭環境ゆえ、急に大人にならざるをえなかったビリーの、憂いを帯びた表情が印象的です。対して、4歳違いのニコは年齢よりも幼さを感じさせ、姉と父に思いきり甘える無邪気さが愛おしい。日銭を稼ぎながら何とか暮らしていた一家でしたが、ついに父が入院措置となってしまい、ビリーとニコは母と恋人が暮らす家へ。そこで起きたある事がきっかけで、2人は友人のマリク(ジャバリ・ワトキンス)と一緒に、そこから逃げ出すことに。さあ、逃避行という名の冒険が始まります。


貧困。ネグレクト。確かにビリーとニコ、そしてマリクたちの環境は恵まれているとは言えません。ほとんどがモノクロシーンなので分かりづらいですが、彼らの肌の色も関係しているのだと思います。それでも、大人たちに抵抗するための逃亡は心躍るものであり、道中、豪邸に忍び込むシーンはいたずら心でいっぱい。子ども時代を思い出し、いや、彼らと一緒の気持ちになって冒険を楽しめるはずです。モノクロなのに、キラキラしたものが画面から伝わってくるのが不思議。そういえば、出てくる食べ物が美味しそうに見えるのも印象的でした。
時折挿し込まれるカラーのシーンは、どういう意味を持っているんだろう。ほの暗いリアルな世界を強調させているのか、それとも輝く未来が彼らにも訪れるはずという希望か……。厳しい現実の中でも、両親への愛情を持ち続ける彼らの健気な姿にキュンときてしまいます。映画館を出た後、いつまでもその余韻に浸っていたいと思える、そんな作品です。



スウィート・シング』10月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺他全国順次公開
©2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。

文/編集部・小松正和

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