
腸内フローラにも、血液型のように「タイプ」がある!?
日本人は、「血液型」の話題が好きだと言われます。「A型の人は几帳面だから、こんなふうに接するとよい」なんて、人間関係のアドバイスなどにも使われたりしますよね。
じつは、おなかのなかの「腸内フローラ」にも、血液型のようにタイプがあるんですって!
ちょっと耳よりなこの情報を、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授で、株式会社メタジェン代表取締役社長CEOの福田真嗣先生に教えてもらいました♪
◆腸内フローラのタイプは「血液型」のようなもの!?
私たちのおなかの中には腸内細菌が棲みつき、お花畑のような腸内フローラ(腸内細菌叢)を形成しています。
腸内フローラは一人一人異なりますが、その人の腸内細菌の種類やその比率によって、バクテロイデス型、プレボテラ型、ルミノコッカス型の3タイプに分類することができます。
血液型と同じように、それぞれ特徴が違っていても、どのタイプが優れているとか、劣っているということはありません。
腸内フローラのタイプは、「性別や人種・民族の違い」によって決定されるものではなく、食生活や生活習慣などのライフスタイルによって決まると考えられています。
まずは、この3つのタイプの特徴をご説明しますね!
・バクテロイデスタイプ
バクテロイデス属という腸内細菌が多いタイプ。日本人の40~50%がこのタイプに分類されます。動物性たんぱく質や脂質をよく摂取する人に多く、欧米人に多い傾向があります。バクテロイデス属の腸内細菌には、持久力を向上させる働きをする種類や、人が消化吸収できない食物繊維を分解して体に良い成分(短鎖脂肪酸)を作り出してくれる種類もいます。
・プレボテラタイプ
プレボテラ属という腸内細菌が多いタイプ。日本人の10〜20%がこのタイプに分類されます。穀物や野菜、豆類などの食物繊維を多く食べる人に多く、ベジタリアンの人や穀物食が中心の食習慣をもつ東南アジアや南米の人にも多い傾向があります。プレボテラ属の腸内細菌には、大麦を摂取した食事の次の食事で、血糖値の上昇を抑える働きをする種類がいるため、糖尿病予防などに役立ちます。
・ルミノコッカスタイプ
ルミノコッカス属の腸内細菌が多いタイプ。日本人の30〜40%がこのタイプに分類されます。食事内容との関連の詳細は明らかではありませんが、ルミノコッカス属の腸内細菌には、特定の難消化性デキストリン(トウモロコシ等の天然のデンプンから生まれた水溶性食物繊維の一種)を分解することで体に良い成分(短鎖脂肪酸)を作り出してくれる種類もいます。
–{エジプト人も和食を食べると、腸内フローラが似てくる!}–

◆エジプト人も、和食を食べると同じような腸内フローラに!
腸内フローラのバランスは永続的なものではなく、食習慣によって変化することがわかっています。
以前、「1万人の便サンプル」を収集して腸内フローラを解析する研究を行っていたという福田先生。「同じ釜の飯を食うアスリート」のサンプルを求め、相撲部屋の力士たちに協力を求めたことがありました。
「その相撲部屋にはエジプト出身の力士がいたのですが、彼の腸内フローラを調べたところ、他の日本人の力士たちとそれほど違いはありませんでした。これは数年間にわたって、同じ釜の飯であるちゃんこ鍋や日本食を食べる生活をすることで、腸内フローラも日本食に適した形に変化したのだろうと推測しています。」
つまり、「食生活」を見直せば、腸内フローラもおのずと変化するのです。
もし、お通じがすっきりしない、おなかがごろごろする……といった悩みを抱えているなら、もしかして腸内フローラの状態がよくない可能性も。
そんなときは、ぜひ食生活を見直して、ご飯に雑穀を混ぜてみたり、納豆やキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品を取り入れるなどして、腸内細菌を元気にする食生活に変えてみてくださいね!