ストレスや疲れで甘い物が食べたくなるのは何故?薬剤師&漢方専門家が対策を徹底解説
疲れたときやストレスが溜まったとき、ついスイーツをたくさん食べてしまう……ということはありませんか? 薬剤師で漢方の専門家の大塚まひさ氏によると、それは「カラダが発しているサイン」。そして「不調のサイン」でもあるのだそう。
そういうときに嗜好品ばかりで満たしていると、たちまち悪循環に。そこで、無理なく“スイーツ沼”から脱する秘訣を教えてもらいました。
「欲しい味」を満たす食養生はストレスフリー
スーパーで買える食材で全身がうるおう「うるおい漢方」をお伝えして14年、私は多くの方のお悩みを解決する食材をご提案してきました。
その中で、「辛いもの好きな人は○○が弱っていることが多い」「○○が不調な人は、甘いもの好きな人が多い」といったように、味覚ごとの共通点があることがわかりました。
たとえば、「脾(ひ)」(漢方では、消化器やリフトアップに関わる臓器)を調える味は甘味で、脾が弱っている人に甘いもの好きが多い、といった具合です。
実際、チョコレートが無性に食べたくなるという方に、「試しに、チョコを食べる前においもや栗、かぼちゃなど自然の甘味のものを食べてみて」と提案したところ、
「あんなに食べたくてしょうがなかったチョコレートに、我慢しているわけでもないのに、手が伸びなくなった」
と報告してくれました。疲れやすい、夕飯後は片づけをする前にうとうとしてしまうなどの不調も軽くなったそうです。
これは、甘味に限った話ではありません。

夕食の前後におせんべいやポテトチップスを食べてしまうという方や、コーヒーを飲み過ぎてしまう方などからも同様に、カラダが欲している「味」をキャッチすることで、「我慢しなくても自然と食べたい欲がなくなった」という話が多く寄せられています。
そう、味覚は、カラダの弱っているところを教えてくれているのです。
スイーツが食べたくなったら……これを食べよう!
漢方では、考え方のベースである「五臓」(肝・心・脾・肺・腎)に、それぞれ5つの味覚(すっぱい・苦い・甘い・辛い・しょっぱい)が関連づけられています。ごく簡単に言うと、「この味を食べると、その臓器が元気になる」ということです。
甘いものが欲しくなるのは「脾」からのサイン。脾は、甘味で調います。
脾が弱くなると栄養をつくれず、体力が落ちるので、「脾を調えて元気にならなきゃ!」と、甘いものを食べたい欲が出てくるのです。
甘味には、疲れを取ったり、体力を回復させて元気にしたり、カラダをゆるめたり、痛みや緊張を和らげる力があります。
脾を調える甘味とは、いも、栗、かぼちゃ、お米、豆類など、天然の甘味のあるものです。これらを選ぶことができれば、カラダは「そうそう、これこれ!」と喜び、調い、甘いものを食べたい欲はスーッと消えていきます。

お菓子でカラダを満たすと悪循環にハマる理由
ですが、チョコレートやケーキ、アイス、焼き菓子、和菓子などの存在を知ってしまっているのが、現代の私たち。
「甘いものを食べて脾を調えたい!」→「甘いものを食べたい」→「チョコレートを欲している」という、間違えた脳内変換が起こることがほとんど。
残念ながら、そうしたスイーツやお菓子を食べても、脾が求める甘味ではないので、調いません。そのため、チョコレートが食べたいという欲は、実際に脾が調う「天然の甘みの食材」を食べるまで続いてしまうのです。
これが、チョコレートが止まらないカラクリです。
お菓子を我慢してほしいわけではなく、大切なのは、「本当にカラダが必要としているものは何かな?」と、ご自身に聞いてあげることです。

甘いものが止まらないのは「たるみ」の前兆!?
脾の調子が崩れると、カラダは様々なサインを出して教えてくれます。特に、口、唇、食欲、味覚、そしてフェイスラインや体型に変化が現れやすいです。
具体的には、口内炎ができやすい、唇が乾燥する・荒れる、食欲が落ちる、逆に食欲が止まらない、胃もたれする、味がわからなくなるなどです。
また、位置を保つ力にも関わっているため、内臓が下がったり、美容面では「ほうれい線」など、外見のたるみといったサインも出てきます。
脾からのサインに気づかないままだと、顔やカラダの「たるみ」など、見た目の変化にまで進んでしまうことも! 早めに脾をケアしてあげましょう。
甘いものが食べたいとき摂りたい食材
・甘味のあるもの
お米、大麦、さつまいも、じゃがいも、里芋、山芋、栗、かぼちゃ、黒豆、大豆、納豆、アボカド など
・黄色のもの
さつまいも、栗、かぼちゃ、にんじん、とうもろこし、みかん など
・水はけを良くするもの
ハトムギ、あずき、枝豆、陳皮、しそ、とうもろこしのひげ茶 など
特に、甘みがあって「黄色」の食材は、脾を元気にしてくれます。
ただし、甘味には「うるおいを抱え込む」という性質もあるため、摂り過ぎると「カラダが重だるくなる」「むくみや胃もたれの原因」などにつながるので、程々にするのが大切です。
食欲不振のときはどうする?
元気なときなら楽しみな料理や食事も、「ちょっと調子が悪いな」というときは負担になることも。また、食べる元気がない場合、食べ物を消化することで体力を消耗してしまうことがあります。
そのようなとき、すぐ手軽にカラダを調えることができるのが薬膳茶(ハーブティー)です。
そこで、食欲不振のときにおすすめの薬膳茶レシピをご紹介します。

冷えなどにより「脾」の働きが弱いと、食欲が出ません。脾を温め、元気にすることが解決策となります。
上記のハーブは3つとも、脾を温めて元気にします。①しそは、ストレスで食欲が落ちているときに特におすすめです。②サンザシは、消化不良で食欲がないときの調子を良くします。③ジンジャーは胃に溜まった水分を外に出すので、二日酔いにも適しています。
*ハーブ(乾燥)の量は、250mlに対して各大さじ1〜2杯を目安に。なるべく100℃に近い高温のお湯を注ぎ、3分程度蒸らしてから飲みます。もし、飲んでみて合わないと感じたり、体調に違和感をおぼえたら無理せず、飲むのをやめましょう。
(オレンジページ刊『簡単セルフ診断! 味覚でひもとく食養生』より抜粋・一部改変)

教えてくれたのは……大塚まひさ先生
薬剤師/漢方臨床指導士(薬日本堂)/漢方エキスパート(日本薬科大学)/昭和医科大学リカレントカレッジ講師。大学卒業後、製薬会社MR(医薬情報担当者)、臨床開発受託機関にて医薬品の臨床開発職を経て、漢方に出会う。自身に漢方薬を試したところ、月に80錠服用していた鎮痛薬が2週間でゼロに。万年の不機嫌や吹き出物もなくなり、漢方のすごさを体感、漢方の道へ。心身ともに美しくなれる漢方を広めるため、オリジナル漢方茶「うるおい美漢茶®」を創る。累計11万袋超を販売。著書に『ムリなく健康体&つや肌に変わる うるおい漢方』(青春出版社)がある。
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原文/大塚まひさ イラストレーション/やのひろこ 文/編集部・嶋田







