家族の老いを感じると、不安に思う人も多いですよね。老後の生活や介護などについて、家族で話しておきたいと考える人も多いでしょう。でも話しにくいテーマであることもまた事実です。
「変化」があった時が話すタイミング
話を切り出しやすいのは、
何か具体的なきっかけがあったとき。
たとえば転んでしまった、あるいは病気になってしまったときなど。親戚や友人の入院や施設への入居なども、話をするきっかけになるでしょう。
逆に急に老後の話を始めてしまうと、「自分はまだそんなに年をとっていない」などと反発され、話がうまく進まなくなってしまう可能性もあります。自然な流れで話ができるタイミングをつくるのがいいでしょう。
元気なうちに、話しておきたいことリスト
いざ家族で老後についての話し合いをするとき、実際にどんなことを話せばいいのでしょう?
下記のリストを参考に、話しやすそうなテーマから始めてみてください。
<家族で共有しておきたいことリスト> ●友人や知人、親族の連絡先 ●現在の親の健康状態、病歴や服用している薬、かかりつけ医、アレルギー、保険証や診察券の置き場所など ●実家をどうするか ●ペットをどうするか ●老後の資金について(介護費用や施設への入居費用など) ★要介護になった場合の希望(自宅や施設など) ★緊急搬送された場合の延命治療について ★葬儀や埋葬の希望、お墓の管理について ★相続について(大切な書類や通帳、印鑑の場所などを含む)いきなり本題に入るよりも、まずは話しやすい雰囲気をつくりましょう。
「最近何か困ったことはない?」など近況の話題から始め、そこから徐々に本題に進めていく方がスムーズ。また、こちらが知りたいことを一方的に聞くというよりも、まずは本人の話に耳を傾け、思いや悩みを理解しようとすることが大切です。
★は、リストの中で特に家族で共有しておきたいこと。
相続については、資産そのものの話はもちろんですが、それに関連する銀行口座や通帳、暗証番号、印鑑の場所なども事前に知っておくと安心です。いざ必要になったときに見つからずにとても困った、というのは経験者からよく聞く話です。
また宗教・宗派のことなども含め、ゆくゆくはどんな葬儀を望んでいるのか、あるいはお墓についてはどうするのかについても、事前に本人の意思を確認できるといいでしょう。
家族の役割分担についても話し合いを
本人の希望や思いを共有することができたら、
家族の中で役割を決めておきましょう。親についてはきょうだい同士で、配偶者の場合は子供や、場合によっては配偶者のきょうだいも交え、どのように分担できるのか話し合えるといいでしょう。現実問題として、本人の希望にすべて応えるのはむずかしいかもしれませんが、共通認識をもっておくことで、事前に準備をすることができます。
家族の中には、いつも何かを決めるときに、キーパーソンになる人がいるはずです。必ずしも長男長女である必要はないので、誰か率先して話を進めていってくれる人を中心に、役割分担や決め事をつくっていくのがスムーズに進めるコツです。役割については、金銭管理や各種契約、通院の付き添いなどが特に重要になるでしょう。
誰しも漠然と不安に思う「老後」。
親や配偶者の老いを感じる変化が見て取れたら、今回ご紹介したリストで、家族の思いを確認しておきましょう。
教えてくれたのは……
橘 慶太さん 福島 実さん
橘 慶太さん 税理士/円満相続税理士法人代表。YouTube【円満相続ちゃんねる】は、わかりやすさを追求しつつも、相続の勘所を余すところなく伝えていると評判になり、チャンネル登録者数は9万を超える。
福島 実さん 一般社団法人みらいど代表。みらいどケアプランセンター管理者。主任介護支援専門員、介護福祉士、相談支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。
(オレンジページ刊『
1000人の「そこが知りたい!」を集めました 親・配偶者が高齢になったら家族で相談すること』より抜粋・一部改変)
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