今回の街は池袋。都内でも有数の巨大ターミナル駅です。
にぎやかな駅周辺のなかでも注目は、世界中から訪れた人々が開いたレストラン。中国やタイ、ベトナム、ミャンマーなど、スタッフはその国出身、メニューも現地語。「ガチな味」を紹介してくれるとあり、日本人客も増えているのだそう。
まるで海外旅行へ出かけた気分になれるレストランめぐり、さっそく出かけてみませんか?
発酵茶葉のサラダが名物!ミャンマー料理「ズー&ヘイン ミャンマーティーハウス」
「ミャンマー料理」と聞いて、どんなメニューがあるのかすぐには答えられない……。まさに私もそんなミャンマービギナー。
でも、世界中の料理店が集まる池袋に、本格的なミャンマー料理店があると聞いて出かけることにしました。
店の前に着くと、看板には大きな「肉汁水餃子」の文字。あれ? 中国料理店なのかな? 不思議に思いつつ、エレベーターで上がった店内はお客さんでいっぱい。餃子を食べている人もいれば、見たことのない料理を食べている人も……。
ミャンマー人と日本人でワイワイにぎわう店内。外観からミャンマーらしさはわかりづらいけれど、勇気を出していざ2階に!お話を聞いたのは、来日18年というオーナーの奥様テテさん。「ミャンマーは、中国やインド、タイなどさまざまな国と国境を接しています。もちろんミャンマーならではの料理もたくさんありますが、周辺国からの影響を受けた料理も多いのです。餃子もそのひとつですね」。なるほど、メニューにインド料理の「サムサ」などがあるのも納得。
スパイシーなじゃがいも入りの揚げ餃子「サムサ」(500円)。
ハナコのマストオーダー
ほろ苦おいしい「お茶の葉のサラダ」
そんななかでも、ミャンマー料理でのおすすめは「お茶の葉のサラダ」。塩漬けして発酵させた茶葉をにんにくや唐辛子、干しえび、油などであえたもので、ほろ苦くておいしい! お茶の葉を食べるなんて、これは初めての味わいだなあ……。ハイボールのおつまみとしてもよく合います。
発酵させた茶葉を使った「お茶の葉のサラダ」(950円)。
ハナコのマストオーダー
ミャンマーの朝食メニューいろいろ
「ミャンマー人は朝食を大切にします。朝は、家の近くにある喫茶店のようなお店に家族で行き、麺類などを食べるのが定番ですね」とテテさん。じつはこのお店も、日本人になじみのある餃子だけでなく、ミャンマーの朝食文化を紹介したいと徐々にメニューが増えていったのだそう。
「ナンギトッ」(850円)はきな粉入りのココナッツミルクだれで食べるあえ麺。ほんのり甘く、やさしい味わいでたしかに朝食にぴったりです。豆をよく食べるミャンマーでは、大豆をすりつぶしたきな粉も、よく料理に使われるとか。
あえ麺の「ナンギトッ」(850円)は麺と具をしっかりと混ぜていただく。意外だったのがミルクティーをよく飲むこと。北部にお茶の産地があるのと、19世紀にイギリスに統治された影響で紅茶にミルクを入れる文化が残ったのだそう。
濃厚なクリームたっぷりの「ミャンマーミルクティー」(250円)。そんなミルクティーといっしょによく食べられているのが「黒もち」。黒もち米を蒸して、ココナッツやきな粉、干し魚をトッピングして食べる料理です。香ばしい黒もち米とココナッツの甘さでスイーツのようでもあるけれど、干し魚やピーナッツの塩けが絶妙なアクセント。これも、まったく食べたことのない料理だなあ……おもしろい!
ココナッツやごまがたっぷりのった「黒もち」(650円)は干しえびをトッピング。
ハナコのマストオーダー
おつまみにぴったり! 「豆パラタ」「干し肉のサラダ」
おつまみになる料理で紹介してもらったのは「豆パラタ」。インド料理のようだけれど、中にぎっしり詰まった豆がミャンマーならでは。サクサクとしたパイのような薄い生地にココナッツがふりかけられています。これはビールがすすむ~。
揚げたてのあつあつをほおばりたい「豆パラタ」(500円)。「干し肉のサラダ」は、保存食として干したマトンを生野菜とあえたもの。甘酸っぱいレモンのドレッシングにピリ辛の唐辛子がよく合います。「これは、ミャンマー人のおじさんたちが大好きなおつまみ。ビールやストレートのウィスキーといっしょに食べるのが定番です」
カリカリしたマトンがポイントの「干し肉のサラダ」(950円)。スタッフはみなミャンマー人で、お客さんの半分以上はミャンマー人。スタッフはニコニコしていてとても感じがいいし、お客さんもリラックスして食事を楽しんでいます。「日本向けにアレンジはしない、本物のミャンマー料理を提供しています。この前も久しぶりにミャンマーへ帰りましたが、主人と二人でやっぱりうちの料理は現地のままだねと話しました。私たちは日本が大好き。ぜひ日本人の皆さんにもミャンマーの料理を楽しんでほしいですね」とテテさん。
店内にはミャンマー語のメニューもあるが日本語は通じるのでご安心を。今回いただいた料理のどれもが、初めて出会うものばかり。お店の雰囲気も含めて、本当に海外へ来たような気分を味わえました。気軽に体験できる、おいしいミャンマー。ぜひ出かけてみてくださいね!
店舗情報
「ズー&ヘイン ミャンマーティーハウス」
池袋駅から徒歩7分
東京都豊島区東池袋1-23-5 新大同ビル2階
TEL:03-6384-4233
9:00~23:00
定休日なし
ツレヅレハナコ
食と酒と旅を愛する文筆家。著書に『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳』(扶桑社)、『お酒好きに捧ぐ ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』(世界文化社)など多数。instagram @turehana1