豪雨や台風、地震による断水時、待ったなしなのがトイレ問題。
我慢できないうえに、我慢するのも体によくないので、なんとか非常用のトイレを確保したいですよね。
「震度5以上の地震の場合、下水管が無事かどうかわからないので流すのは厳禁。汚水が室内や敷地内にあふれてしまう場合がある」と防災士の草野かおるさんは言います。
そこで今回は、
災害時にトイレが流せなくなったときの対処法についてご紹介します。
トイレが流せない時の4つの対処法
①洗浄ボタンにテープを貼る
下水管の安全が確認できるまで、トイレの水を流すのは避けましょう。とはいえ、つい習慣でボタンやレバーに手がのびてしまうもの。マスキングテープや養生テープなどを貼っておくと、いつもの習慣で流してしまう前に気がつくことができます。子どもにもわかりやすいので、おすすめです。
②使わないときは、水嚢(すいのう)でふたを
台風や豪雨の場合、想定外の大量の雨水が汚水管に流れ込むと逆流してしまうことがあります。汚水があふれ出るのを防ぐには、水囊を利用しましょう。ゴミ袋を二重にして半分まで水を入れ、空気を抜いて口を縛ります。それを便器の中に置くと、重みのあるふたとなって逆流を防いでくれますよ。
③便器が無事なら非常用トイレにする
便器が通常どおりに座っても大丈夫なら、非常用のトイレとして使うことができます。まず、便座を上げ、ゴミ袋を下地袋としてかぶせ、ずれないようにテープで固定。さらに排泄用の袋をかぶせて便座を下ろします。ペットシーツや古布、古新聞などを入れ、用を足して吸水させるというしくみ。便の場合はにおいを防ぐために、非常用の凝固剤を加えるようにしましょう。使用後は排泄袋だけ取り出し、空気を抜いて縛ってまとめておき、ゴミの日に出します。
\ここがポイント/
ペットシーツや猫砂、大人用の紙おむつなら吸水・消臭でき、古新聞や古布は吸水だけ。すぐにゴミとして出せないことを考えると、便に使う際には専用の凝固剤を組み合わせたほうが安心。より消臭効果が強く衛生的です。
④便器がダメなら代用トイレを作る
便器にひびが入っていたり、ぐらついているときは、使用を控えなければなりません。便器として代用できるのは、ゴミ箱や頑丈な段ボール、大きめのバケツなど。そこに、上の便器と同じように袋を二重にセット。ペットシーツなどを入れて用を足し、排泄袋だけ捨てるようにします。
成人の排尿量は1日当たり平均1000~1500㎖。その量が吸水できるのは、古新聞なら30枚、ペットシーツなら4枚ほど。量を意識して備えておくと安心です。
我慢せずに用を足せるよう、自宅でできることを知っておくと、「もしも」の際に慌てることなく心身ともに安心です。衛生面や体調管理にもつながるので、今からできることを少しずつ備えてみるのもいいかも。
教えてくれたのは......
草野かおるさん
防災士。イラストレーターとして活躍するかたわら、PTA や自治体の防災活動で培った防災の知識や工夫をブログなどで発信して話題に。防災についての講演やメディア出演もこなす。著書に『おうち避難のための マンガ防災図鑑』(飛鳥新社)など。