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【生産者インタビュー】大きなハートのさくらんぼ「ジュノハート」で、地域の魅力を伝える沼畑俊吉さん【青森県】

2024.06.20

青森県といえば、りんご!と思ってしまいがちですが、実はさくらんぼの栽培にも力を入れています。ぷっくりと大ぶりで甘みが深くジューシー、ハートの形がキュートなさくらんぼ「ジュノハート」は、青森県が誇る農産物のひとつ。ジュノハートの栽培で町にも貢献している〈沼畑総合ファーム〉の沼畑俊吉さんに話を伺いました。

ジュノハートってどんなさくらんぼ?

青森県が24年の歳月をかけて開発・育成を行った、渾身のさくらんぼ「ジュノハート」。もともとこの地域では、昔からりんご畑の防風林として、さくらんぼの木が植えられていました。さくらんぼは観光農園としても人気があり、地域を代表する果物として、栽培が進んでいった歴史があります。

平成の時代になり、県の研究員が「収穫時期に労力が集中するため、主力品種の佐藤錦と別のタイミングで収穫できる青森県独自の大玉品種を」と一念発起し、さくらんぼの品種改良に力を注ぎました。

そして、平成10年(1998年)に交配した中に、のちのジュノハートとなる一粒の種子がありました。大きなハート形のさくらんぼの誕生です。
数年後、成長して実をつけた一本の木。今までにない際立つ甘さ、程よい硬さと果汁に大きな可能性を感じたそうです。

その後も作業を続け、大規模な山火事で一時は消滅の危機に見舞われそうになりましたが、運良く逃れることができたそう。そんな「幸運の果実」である「ジュノハート」は、平成25年(2013年)に品種登録されました。家庭の幸福をつかさどるローマ神話の女神 「Juno」と、ハート型の果実を組み合わせて「ジュノハート」と名付けられました。


いつかは農業をやりたいと心に決めていた

沼畑俊吉さんは、南部町で古くから農業を営む家に生まれました。先代である父はチャレンジ精神旺盛で、土地の特徴を活かした多種多様な作物に次々と挑戦し、ブロイラー(飼育日数が短期間の鶏の総称)も手掛け、事業を広げていったそうです。
南部町は昔から農業が中心の町。といっても食べるのがやっとの非常に貧しく厳しい時代が長く続いたんだと思います。親父はそんな状態をなんとかしたいという思いが強かったんでしょうね」と沼畑さん。

子供の頃からそんな父親の背中を見て育ち、沼畑さんは自分もいつかは農業をやりたいと心に決めていたそうです。見聞を広めるために東京の大学へ進学し、企業に就職してコンピューターのシステム開発の仕事をしていましたが、首都圏で10年を過ごし、南部町へ戻ってきました。

「今振り返ると、東京での経験は非常に良かったと思います。自分には予想外の仕事でしたが役に立たないことは何もなかった。全て大きな財産です。いろんな人に出会い、様々な価値観に触れて、田舎の素晴らしさを改めて感じ、農業に誇りを持てるようになりました。最近はもうずっと田舎なので、分からなくなってきちゃいましたけどね(笑)」

南部町は果物栽培に適した地域

〈沼畑総合ファーム〉では、チャレンジャーの父親が、品種登録される前の現地試験として苗木を植えたことが、ジュノハートを栽培するきっかけでした。もう15年以上前のことだそうです。畑のある南部町は、気候風土が果樹栽培に適しているといわれています。水はけのいい扇状地で、雪は少ないが昼夜の寒暖差が大きく、果物の甘みがぐっと引き出されます。
「果樹全体に言えることですが、大変なのは霜の害。さくらんぼは特に弱いんです。その時期になると夜はストーブみたいなものを燃やして畑を温めたりします。毎日見回らないといけないので、手間はかかりますね」

果樹栽培はきめ細やかな気配りが大切。さくらんぼは気候変動に左右されやすく、収穫量も時として不安定になります。風が吹いたら、雨が降ったら、寒かったら。いつも畑の様子を丁寧に気遣い、やらなければいけない基本をきちんと実直にやることが、おいしい果物を育てる1番の秘訣だと沼畑さんはいいます。

水はけの良い土壌のため、水の管理も重要です。〈沼畑総合ファーム〉では畑に井戸を掘り、ポンプで井戸水を汲み上げて撒くことで、畑を乾燥させないよう気を使っています。南部町は、周囲に湧き水や清流、滝などがあり、きれいな水の流れる地域。「水の力が果物のおいしさにも反映されているんじゃないかな」

農業、そして地域の可能性を次の世代に伝えたい

大玉で、糖度が高く、可愛いハート型であることが、「ジュノハート」の大きな特徴。沼畑さんが思う、ジュノハートの魅力とはなんでしょう?

「見た目の大きさのインパクトはもちろん、ハートの形に心がときめくさくらんぼだと思います。食べる以上に魅せられるところがあります。よくさくらんぼの王様といわれる佐藤錦と比べられることも多いのですが、ジュノハートはそれ以上の大きさがあり、甘さは上品でジュージー。満足度が高く食べごたえがあります

シーズン中にはフルーツパーラーとコラボしたパフェなども展開され、真っ赤なハートの形が写真映えすると特に女性に人気だそう。ジュノハートの生産者は現在200人を超えており、地域は次第に盛り上がってきているようです。あの人にプレゼントで贈りたい、いつかは食べてみたい、とどこかで思い出してちょっと憧れてもらえるようなさくらんぼになれたら嬉しい、と沼畑さんはいいます。

「さくらんぼ栽培は正直なところ苦労も多く、毎年課題があります。この地域で本当に残していけるものなのか、お客様により良い状態で届けるにはどうしたらいいのか、県や町、生産者が互いに協力しながら日々検討を重ねています」

南部町の魅力についても伺ってみると、簡単に言葉では表現できないけれど、人が人を自然に思いやれる、とても優しい町だと自分は思っている、と沼畑さん。「その中で自分は自分のやるべきことを精一杯やって、それが結果的に町の発展につながればいいなと思っています」

長年海外に暮らしていた人がこの町に移り住み、こんなに恵まれたところは世界中にもそうそうない、と褒めてもらえたことで、南部町の魅力を再認識したと沼畑さんは言います。何気なく見ている自然や、普段食べているものを素晴らしいと言ってもらい、とても嬉しかったそうです。

農業はすごい可能性があると思います。まだまだ伸び代があるんじゃないかと希望を持っているんです。人が生きていくための食べ物を作るって、とても崇高な職業ですよね。自然に感謝して、謙虚に人生を送る。農業という仕事を大切にしたいなと思っています。そうしてここでの暮らしに、農作物に、親がワクワクしている様子が子供達に伝わっていくことが、理想的な美しい風景だと思う。この感動が次の世代まで繋がっていって欲しい。だから、ジュノハートをきっかけに、この町のことを少しでも知ってもらえたら嬉しいです」

現在76歳だという沼畑さんの父親は、いまだに新しいことが大好きで、知らない苗木があれば注文し、チャレンジを続けているそう。もしどこかでジュノハートを見つけたら、青森の豊かな自然と暮らしに想いを馳せてみてください。

沼畑総合ファーム
https://n-ifarm.jp/

文/江澤香織

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