
「のもの」ショップや山梨県を訪れたら、ぜひ探してみたいのが「レイルバル」。
山梨県産のワインと、山梨生まれのおつまみのセットです。
この魅力的なマリアージュは、どのように生まれたのでしょう?
料理研究家でソムリエの資格を持つ髙山かづえさんが
「レイルバル」のふるさとを訪ねました。

透明のパッケージからのぞくのは、スパウト容器に入ったワインとおつまみ。旅先でも一人でも、楽しく飲めそうな小さなグラスつきです。
「レイルバル」は、列車内や駅ナカ(Rail)でワインとおつまみのマリアージュを楽しんでほしいというコンセプトで開発されたセット。自家農園を有するドメーヌ・久(甲府市)、アルプスワイン(笛吹市)、塩山洋酒醸造(甲州市)、東晨洋酒(山梨市)、くらむぼんワイン(甲州市)の協力を得て、年間生産量約3000本以下の希少なワインを提供しているのです。おつまみは、醸造家が自らのワインとのマリアージュを考え選定するという、心憎い趣向です。
ソムリエの資格を持ち、定期的に山梨県内のワイナリーをめぐっている料理家の髙山かづえさんも、「レイルバル」に興味津々。「おっ!と思う醸造所のラインナップですし、旅の途中で飲みきれる量がいいですね。数種類を飲み比べするのにもちょうどいい感じです」。
この日はくらむぼんワインを訪ねました。気候風土を生かし、テロワール(土地の個性)を残したワインづくりをするために、2007年からは畑に肥料を与えず、耕さず、雑草を生やしたままぶどうを育てる自然栽培に取り組んでいる、くらむぼんワイン。

くらむぼんワインは創業1913年。
日本ワインの黎明期から続く醸造所。
「レイルバル」には甘口の赤ワイン、「あじろん」を用意しました。濃厚でいてさわやかな甘みと、いちごやカシスのような華やかな香りが特徴です。社長で醸造家の野沢たかひこさんが選んだつまみは、寒天で作った信玄餅。異なる性質の甘みから生まれる、深い余韻をぜひ味わって。

濃厚な甘みとフレッシュな酸味のある「あじろん」と、黒みつきなこ味の「寒天信玄餅」は絶妙なマリアージュ。
料理研究家、ソムリエ。家族や友人、自分のために「おいしい」と喜んでもらえる料理作りがモットー。著書に『オーブンなしで焼ける フライパンちぎりパン』(オレンジページ)など。
上/テイスティングルームで試飲に余念のない髙山さん。左下/休憩室として開放されている母屋は築130年の歴史のある家屋。右下/石造りの地下ワインセラーは、初代と3代目社長が自ら作業して作り上げた。
左/従来型の栽培から自然栽培への切り替えを英断した、
4代目社長の野沢たかひこさん。
右/手作業でびん詰めしていた時代のワイン王冠打栓機。
「レイルバル」は、ワイン(140ml)、つまみ、グラス、しおり
(生産者情報入り)の4点セットで各1400円(税込み)。
「あじろん」以外にも、風味豊かで個性的なワインに定評がある。左より「ソルルケト甲州」(1330円)、「ソルオリエンス 甲州樽発酵」(2770円)、「ベルカント」(2120円)※すべて税込み
☎0553-44-0111
山梨県甲州市勝沼町下岩崎835
9:00~17:00
(売店9:00~12:00、13:00~17:00
※試飲受け付けは16:30まで)
自社畑、樽貯蔵庫、ワインセラーなどを見学できるツアーを1名500円で随時受け付け。要予約。