本好きの子に育ってほしい!
はじめまして。5歳の息子、2歳の娘を育てる母・キヨコと申します。皆さんのお子さんは週にどれくらい本を読んでいますか?
本好きな子に育ってほしいと思いつつも、仕事にかまけ、つい動画を見せがちな私。これではイカン……と思っていたところ、大阪になにやら素敵な図書施設があると聞き、息子と娘、パパ、私の4人で行ってきました。
建物は堂島川に沿って流線形を描く、のびのびとしたデザイン。
施設名の字体までおしゃれ! 期待が高まります。
「こども本の森 中之島」は、建築家・安藤忠雄さんが「子どもたちと〈自分だけの一冊〉との大切な出会いの場となるように」と提案・設計した文化施設。
大阪市の中心部を流れる堂島川と土佐堀川とにはさまれた、中之島公園内にあります。
現在は事前予約&各回完全入れ替え制。私は11:30~13:00の回を予約しました。
「お勉強させられる…!?」 息子の警戒モードをほぐした「青リンゴ」
まず、エントランスでお出迎えしてくれたのは、「永遠の青春」と名づけられた青リンゴのオブジェ。アメリカの詩人サムエル・ウルマンの詩「青春」にこめられた「若さとは、年齢でなく心の持ちようだ」というメッセージに共感した安藤さんがデザインしたもの。
こどもたちは「『はらぺこあおむし』のリンゴ!」と、さっそく大はしゃぎ。じつは息子は「本読むなんていやだー!」と抵抗していたのですが、このオブジェがすっかり気に入り、心がほぐれたもよう。すぐそばには川が流れ、なんとも気持ちのいい空間です。
〈自分だけの一冊〉に出会える工夫がいっぱい!
「こども本の森 中之島」は吹き抜けのある3階建て。入り口は2階にあり、入るとまず壁一面の本棚に圧倒されます。
表紙が見えるように飾られていて、まだ文字が読めない子も、表紙絵から本を選べます。「あ、よるくま! うちにもあるよね」「かぶとむしの本がある~!」と早速食いつく子どもたち。
高いところにある本も、一番下の棚に同じ本が並び、手に取れるようになっています。
らせん階段や橋、大階段などが入り組み、秘密基地のようでワクワク♪
ここではさまざまなジャンルの本を「自然とあそぼう」「きれいなもの」「未来はどうなる?」など12のテーマに分けて並べてあります。
まずは階段を下り、1階へ。「ものがたりと言葉」の棚で息子が手にとったのは、『怪談レストランナビ 魔』(童心社)。おばけや妖怪にハマっている息子ですが、文字が多くて小学生向き。まだちょっとむずかしいんじゃないかな~、と思いきや、パパに読んでもらい熱心に見入っていました。
じつはここにある本は、あえて対象年齢を区切らずに並べているそう。大人の先入観でこどもの本との出会いを制限してしまっていたのかも、と反省しました。おうちでも、大人と子どもの本を分けずに並べるなど、取り入れられそうですね。
一方、娘は見覚えのあるドアを見つけたもよう。開けてみると中には……。
布張りの『ドラえもん』特装版が! 出しては並べ、楽しんでいました。
この椅子は「こども本の森」のオリジナル。読書に集中できるように作られているそう。
–{さらに本の森の奥へ……}–
「生と死」、むずかしいテーマもやわらかく伝える
今回、こどもたちをいちばん連れていきたかったのが「生きること/死ぬこと」についての本を集めたお部屋。1階の奥、円筒形のその部屋には天窓があり、やさしい光が降り注ぎ、壁には「おれは、100万回もしんだんだぜ!」という『100万回生きたねこ』(講談社)の一節が掲げられています。館内には、本の一節を抜き出したこんな「言葉の彫刻」があちこちに。
少し前、大おばあちゃんを亡くし、「しんだらどうなるの?」「しなないひとっている?」などと命についての疑問でいっぱいの息子。
戦争についての本、地獄についての本など手にとり、そしてとうとう安藤さんの言う〈自分だけの一冊〉に出会いました!
それがこの本、『寿命図鑑』(いろは出版)!
「おおかみって12ねんでしんじゃうんだって!」「すずめは1.5ねんだって!」と、さまざまな動物の寿命が書いてある本か、と思っていたら、「ママ、トイレットペーパーのじゅみょうってしってた?」「ちきゅうもしぬらしい!」と、物や天体の寿命までかわいいイラストとともに紹介されています。
すべてのものには限りがあること、だから大切にしなければいけないことを自然と学べる素敵な本でした。国ごとの人の平均寿命も紹介されていて、貧困や戦争、格差などについても考えるきっかけになりそうです。
息子は「どうすればしなないの?」とパパを質問攻めしていました。
ちなみに、館内の本は閲覧のみで貸し出しは行っていません。お天気のよい日は、中之島公園に持ち出して外でも読むことができるそう。
プロジェクションマッピングで物語の世界へ
『寿命図鑑』にくぎづけのお兄ちゃんをよそに、妹が向かったのは井戸の底のような不思議なお部屋。ここは休憩室で、物語の世界に浸れる素敵な空間です。プロジェクションマッピングによって『星の王子さま』や『魔女の宅急便』の一場面が浮かび上がります。
それから二階へ戻り、ハロウィンイベントに参加(取材は10月。現在は終了)。
「もりびと」と呼ばれる館内スタッフに「トリックオアトリート!」と言うと、シールをもらえたり、おばけのフォトプロップスで写真を撮ったりできました。
これまでにも絵本作家さんのトークショーや、科学実験ショー、仕かけ絵本ワークショップなどさまざまなイベントが開かれているそうです。
〈自分だけの一冊〉に出会う
さあ、いよいよ大階段を上って最上階へ!
川に面した席や、本棚の中の席など、いろんな場所で自由に本を読めます。
『こどもオレンジページ』としてはずせないのが、「食べる」をテーマとしたコーナー。
「できた できた ほかほかの ほっとけーき」という『しろくまちゃんのほっとけーき』(こぐま社)の一節が飾られ、パンに大根、おでんにみそ汁とさまざまな食の本が並んでいます。
『おすしのずかん』(白泉社)や『へんなおでん』(グラフィック社)をめくってはにっこにこの2人。食べ物の本って元気が出ますよね。
そして、「きれいなもの」がテーマの本棚で娘が〈自分だけの一冊〉に出会いました。
それは……『ファッションマジック』(白泉社)!
ページが上中下の3分割になっていて、ぱたぱたとめくるたびにヒグチユウコさんの描くかわいい猫たちの着せ替えができるというもの。
文字がない絵本なので、小さい子でも楽しめます。
「ねこちゃん、おズボンはくの」「おリボンのあたまにするー」と、熱中しています。
帰宅後、この効果か突然自分でズボンをはいたのにはびっくりしました。
そして、ここで11:30の回の終了アナウンスが。最後にミュージアムショップで「青リンゴアメ」を買って、1時間半の濃密な本の森での探検を終えました。
ちなみにこの「青リンゴアメ」(300円)を作るのは、あの「パインアメ」で有名なパイン株式会社。大阪創業とのことで、コラボしているそう。
【まとめ】こどもと本を仲よくする4つのヒント
行く前は、「1時間半も図書施設にいられるかな……」と心配していましたが、終わってみれば親も子も「もっといたい!」の大合唱。
最後に、「こども本の森 中之島」で見つけたこどもと本を仲よくするヒントをお伝えします。
- 本の表紙を見せて並べる
- 対象年齢を分けずにきょうだいの本を1つの場所に
- 本棚のそばに落ち着ける椅子やクッションを
- 「この子にはこの本」と押しつけず、こどもの直感を見守る
私もさっそく本棚の整理をし、見やすくとりやすくしてみました。
〈自分だけの一冊〉と出会える「こども本の森 中之島」、機会があればぜひ行ってみてくださいね。
こども本の森 中之島
- 大阪市北区中之島1-1-28
- 京阪中之島線「なにわ橋駅」3番出口すぐ
- 入館料 無料
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