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馬田草織の塾前じゃないごはん
塾前じゃないごはん=お夕飯のこと。ポルトガル料理研究家で文筆家の母・馬田草織さんとJKこと女子高校生の娘さん。女2人で囲む気ままな食卓の風景をお届けします。さて今晩の「塾前じゃないごはん」は?

夏休み、ランチ問題どうするよ。三食作って仕事はかどらず。『トマトポークご飯』のレシピ

2023.08.08

トマトたっぷり!「トマトポークごはん」

[第11回]夏休み、ランチ問題どうするよ。3食作って仕事捗らず。

[第10回]無言ティーンとの、静かな闘い

夏休み、親はぜんぜん休めない。これ、私の実感。なぜなら毎日お昼やお弁当を作るから。地味に大変だぜ。ふだん家で仕事をしている私の場合、取材などがないかぎり家でお昼を食べることがほとんど。でも、自分だけのお昼なら、納豆ご飯や袋麺でささっと済ませることも多いし、時間もまちまち。ときにはうっかり食べそびれて、変な時間にチョコやクッキーや柿の種をぽりぽりしてやり過ごすこともある。でも、子どもがいるとそうはいかない。いつも納豆ご飯と袋麺というわけにもいかない。


わが家の場合、娘は小学3年生まで学童に通っていたので、その間の夏休みは毎日学童弁当を作って持たせていた。4年生からの夏休みは家にいたので、お昼ごはん作りはマストだった。大人と違って規則正しくおなかがすくのが子どもだ。12時を少し過ぎると、お母さんお腹すいたー、今日なにー、が始まる。もちろん、こちらの仕事の進捗ぐあいなどいっさい関係ない。そしてこれが毎日続くのだ。今日のお昼が何か。それはお母さんも知りたいです。だれか教えて。


夏休みのお昼ごはん作りのトラップ

何年も経験してわかったことだが、お昼ごはん作りは料理そのものが負担というよりも、仕事をいったん中断して家事モードに切り替えること自体にパワーがいる。仕事の頭をいったん止めて料理というまったく違うことを考えることで、結局自分の仕事の流れは無視せざるをえない。そして再び仕事を再開するときにも、またエンジンをかけなおす必要がある。エアコンのスイッチを日に何度もつけたり消したりすると電気代が余計にかかるように、日に何度も仕事のスイッチをつけたり消したりしていると、人間にも負荷がかかるのだ。


意外に好評「お好きにどうぞ」スタイル

朝は8時に食べ終わって次は12時、その次は夕方6時と料理作りの時間がやってくる。夏休みはずっとだ。これはきついぞ、何かいい方法はないか。で、ある日朝ごはんの片づけついでにお昼用のおにぎりにぎっておいて、おなかすいたらどうぞ方式にしてみた。お母さん今日のお昼なにーがきたら、おにぎりをどうぞーと答えればいい。これで夕方まで、家ごはんのことを考えないでいい。それだけでずいぶんと気がラクになった。

ある日のおにぎりは2種類の味。しそわかめじゃこと、小梅入りの塩にぎりならぬ梅酢にぎり。梅酢でにぎるとほんのり酸味もついて、しかもいい香り。梅酢って、あえものや炒めものや汁もの、鍋にも使えて便利。あのすっきりした塩味と酸味が好きで、スポーツドリンクの代わりに、炭酸水に梅酢を入れたりもしている。

おにぎりのほかにも、とうもろこしやオクラ、枝豆を朝からゆでておき、おなかがすいたらご自由にシステムも導入した。とくに昼から枝豆は変化球だったらしく、JC娘もおもしろがってキッチンでつまんでいる。いずれも、朝ごはんの片づけついでに作るのがおすすめ。ちなみに私は、オクラに七味マヨネーズをつけて食べるのが好き。ゆでじゃがいもを用意しておいて、食べる直前にバターやチーズをのせてグリルで焼くのもいい。塩辛や明太子と合わせるとビールが飲みたくなることもあるから、そこだけご注意を。

今回の塾前じゃないごはん


「トマトポークご飯」

トマトで食べごたえのある料理を作りたい。できれば鍋ひとつで。そんなときに試してほしいのが、ポルトガルのトマトご飯。炒めた玉ねぎやにんにくなどの香味野菜ベース(ポルトガル語でレフォガード)に生トマトを加えた野菜だしで米を炊きます。あちらでは小あじのフリットとセットで出てくることの多い定食メニューの一つですが、小あじを揚げる余力なんてなし、できれば一皿でつまみも食事も兼ねたいというとき、私はこのトマトご飯に豚肉を入れて炊き込みます。あればクミンシードを少し加えると、さらにワインやビールが欲しくなるスパイシーな夏の味に。完熟トマトが手に入りやすい今の時期にこそ試してほしい、トマトが主役のご飯です。

完熟トマト2個は乱切り、玉ねぎ1/2個とにんにく1かけはみじん切りにする。豚肩ロース肉150gは大きめの一口大に切ってかるく塩をふる。

フライパンを温めてオリーブオイル少々をひき、肉を中火で焼きつける。焼き目がついたら白ワインビネガーをふりかけ、酸味をとばしながら焼く。いったん肉を取り出し、鍋にオリーブオイル大さじ1とあればクミンシードを入れて弱火で30秒ほど熱する。オイルに香りをうつすイメージ。香りが立ったら玉ねぎ、にんにくを入れ、鍋肌についたうまみを絡めながら混ぜ、ふたをして弱火で数分蒸し炒めにする。

玉ねぎが透き通ったらトマトを加え、再びふたをして数分蒸す。トマトが柔らかくくずれたら米1/2合(90ml)と押し麦1/2合(90ml)を加え、米に油とうまみをまとわせるイメージでかるく炒める。米に油がまわったら豚肉を戻し、ローリエを折って加え、水1カップを入れて塩で味をととのえる。ふたをして沸くまで数分強火にかけ、沸いたらごく弱火に落として10~12分炊く。火を止め、水滴がご飯に落ちないようにふきんをかませ、ふたをしてそのまま5分くらい蒸らす。ご飯が堅いようなら蒸らし時間を延ばす。最後にかるく混ぜて完成。
 
トマトのうまみに豚のコクやビネガーの酸味もあり、見た目よりさっぱりした味わい。仕上げに黒こしょうをきりりとひいてもいいし、タバスコⓇやハラペーニョソースのような酸味のあるホットソースもよく合います。私は酢漬けのハラペーニョを漬けもののように添えるのも好き。食欲が落ちぎみの夏にこそ食べて欲しい、真夏のけしからんほど食がすすむ一皿です。
馬田草織
馬田草織
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイトボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
インスタグラム @badasaori

『馬田草織の塾前じゃないごはん』 毎月第2・第4火曜更新・過去の連載はこちら>>>

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