段ボールハウス誕生~すべてはここから始まった~
あれはまだ7月のこと。
長男が、保育園で段ボールの秘密基地を作ったことをとても楽しそうに話してくれました。

音楽劇『アヤとピノッキオの冒険』の全国ツアーがスタート! ピノッキオ姿で舞台に立っています。
仕事の都合で土曜日も保育園に行く日が増えていたので、せめていっしょにいられる時間は楽しめたらと思い、「それなら家でもできるよ!」と、親子で段ボールの家を建てました。
でき上がったのは、段ボール数箱をつなげただけの〈家〉というより囲いのような簡素なものでしたが、
「僕だけの部屋!」
「雨が降ってくるよ〜! でも、この中は平気」
と大喜び。
布団の上に家を移動し、枕を持ち込んで「ここで寝る!」と息巻くほど。
その家には、同じく段ボール製の小部屋がついていて、こっちはウルトラマンのソフビ専用の部屋になっていました。
役目を終えた段ボールとガムテープで……、いわばタダ同然でこれほどまで楽しんでくれるなんて!
「コスパのいい子で助かる〜」
なんて思っていました。
しかし、このときはまだ、設計図のない壮大なプロジェクトの序章に過ぎなかったのです。
増改築を繰り返し、巨大建築と化した段ボールハウス
出張から帰ってきた夫は、長男の家を見て褒めちぎりました。
同時に、自分がいないところで、楽しいことが行われていたことが寂しかったようで、材料のガムテープがなくなったと知ると
「明日、トトが買ってくるから、もっとかっこよくしよう」
と提案。
ノリノリになった長男と夫は、外から部屋の中が見えないほどの立派な家に増改築しました。入口、天窓、煙突もあります。
その家で、3匹の子豚ごっこをするのが日課になりました。
すると、窓から部屋の中が見えるとよくないからと窓にふたをつけたり、入口にも頑丈なドアが必要だといってドアノブつきの玄関を設置したり、煙突から入られたら大変だからと煙突にもふたをつけました。3歳児とは思えぬ、防犯意識の高さ!

もちろんすべて長男が作っているわけではなく、長男は現場監督であり設計士。
そのとき手があいている夫婦のどちらかが手伝い、家はどんどん頑丈になっていきました。折り紙の手裏剣や飛行機を貼りつけて飾りにしたり、七夕の笹や短冊を取りつけたり、装飾も華やかです。
0歳の弟も、自ら進んで中に入っていきます。兄は自分の家に入ってきてくれるのがうれしいようで、中でぎゅっと抱きしめたりしています。
そんな兄弟の姿を見て、夫婦のテンションも爆上がり。
気づけば、約2カ月巨大な段ボール建築が家の一部分を占める生活を送っていました。
約2カ月におよぶ、巨大な段ボールハウスとの共存生活(継続中)

来客があれば寝室へ、リビングで洗濯物を畳みたければ作業部屋へ。そのたびに巨大な家を移動させながら、なんとか「邪魔」だと思わないように過ごしていましたが、ついに「もういいんじゃないか?」と思いはじめました。
「捨てていい?」と直球できくと、即答でNG。
「ブルドーザーごっこして、解体しよう!」とポップに提案するも却下。
「ゴキブリって段ボールが好きなんだって。住みつかれちゃうかもよ?」と言うと、「じゃあ、ゴキブリのためのおうちを作ってあげるのはどう?」と。
つい、見事な返しに感心してしまいました。
思い出深い……でも捨てたい……段ボールハウスとの生活は続く(?)
今も、段ボール建築の隣でこの原稿を書いています。
粉ミルクの箱、プラレールの箱、義実家から届いたお米が入っていた箱、こどもたちの服を買った通販の箱、わが家の「今」がパッチワークのように組み合わさっていて、いっしょに手を動かして作った時間もありありと目に浮かびます。
長男が興味を示さなくなったときが、この段ボール建築の解体どきなんだと思います。とはいいつつデカイ。捨てたい。でも、惜しい気持ちもある。
もし冬まで置いてあったら、きっと中はかまくらのように暖かいでしょう。その中で食べるアイスやみかんは格別のおいしさかもしれません。

冷やし中華ランチ。わたし以外の家族は食べないので、自分のための自炊。
今回のリリックメモ


PROFILE
DJみそしるとMCごはん
1989年生まれ、静岡県御殿場市出身。
「おいしいものは人類の奇跡だ!」をモットーに、トラック、リリック、アートワーク、Music
Videoなどを自ら制作し、料理と音楽の新たな楽しみ方を提案する、超自家製ラッパー。ラップにのせて「手作り家ごはん」の楽しさを伝える「歌と料理」の5分番組『ごちそんぐDJ』(NHK Eテレ
2014~2022年度)に出演し人気に。2022年に第一子、2025年に第二子を出産し、2児の母に。

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