今回、絵本を紹介してくれるのは、三田修平さん。トラックで本を売る「BOOK TRUCK」や「BOOK STAND 若葉台」の店主です。
〈前回の記事〉京都の「子どもの本専門店 メリーゴーランド京都」の店長、鈴木潤さんのセレクトはコチラ
ユーモアがたっぷりでワクワク読めるとんカツのお話
まず、1冊目は『とんかつの ぼうけん』
塚本やすし/作
ポプラ社
なんとこの本の主人公は「とんかつ」。ある日、空を飛んで逃げ出したとんかつがカレー屋さんやパン屋さん、定食屋さんをめぐる冒険物語です。ちょっと生意気でかわいらしいとんかつから、目が離せなくなりますよ。
「大人もこどもも、ついつい笑ってしまうようなユーモアがあるのが、塚本やすしが描く物語の魅力だと思います。うちの子も大好きで、いつも大笑いしながら読んでいる一冊。主人公が『とんかつ』なので、食事の幅が広がってくる3〜5歳のこどもにおすすめです」
できたての夕食のにおいがしてきそうな一冊
2冊目は『きょうのごはん』
加藤休ミ/作
偕成社
猫が街なかを練り歩いて、いろいろなおうちの晩ごはんをパトロールしていく物語。焼きさんまあり、カレーライスあり、お祝いのおすしありと、さまざまな食卓が次々と登場します。色彩豊かに描かれているので、思わずごくりとのどが鳴っちゃうはず。
「ページをめくると、いろいろな晩ごはんが飛び込んできて、そのどれもがおなかがすいてきちゃうほどにおいしそう! 家族でニコニコと食卓を囲んでいる風景は、大切な人と食事をすることの楽しさや尊さも教えてくれます」
おもしろおかしい擬音が満載
食事の楽しさを耳から味わう
3冊目は『おいしい おと』
三宮麻由子/文
ふくしま あきえ/絵
福音館書店
「カコッ ホッ カル カル」。これ、何の音だと思いますか? 正解は……春巻きを食べる音! 「ポホッ モワーン ムッチ ムッチ」は、お茶碗に盛りつけたご飯の音。そんなふうに、とある日の夕飯をなんともユニークな音で教えてくれるから、読んでいて楽しくなってくる絵本ですよ。
「いろいろな食べ物の『音』をリズミカルな擬音で教えてくれる楽しい絵本です。料理の味への興味が強くないうちの子は、食事の途中で飽きてしまいがち。食感やかむ音などを伝えながら食への興味をなんとか高めています」
ね、おなかがすいてくるでしょう? ほかにも『こどもオレンジページ No.6』では、おにぎりの作り方がわかる絵本や、大きなりんごが落ちてくる不思議なお話まで、いろいろな絵本を紹介していますよ。ぜひ見てくださいね。
次は、広島でパン屋さんを営む中林麻衣子さんのおすすめの絵本を紹介しますよ。お楽しみに!